概要
赤い毛に覆われた丸っこい身体に、4本爪のある足が生え、尾の部分にはもう一つの顔がある双頭妖怪。
漢字では二顔之相と表記され、にがんのそうと読まれることもあるようである。
幕末から明治にかけて活躍した浮世絵師・河鍋暁斎の肉筆作品に見られ、元絵では背中に小鬼のような妖怪が跨がっており、さらに前方を遮る形で着物の獣妖怪が居るため、実は正確な足の本数を含めた全身像は不明である。
この妖怪は室町時代の絵師・土佐光信筆と伝わる真珠庵蔵系統の『百鬼夜行絵巻』に描かれている、赤くて丸い一つ目の名無しの化け物を起源として、後世の絵師によって絵巻などで描かれ続け、大化やちからここ、野箆坊、赤へるなどの名で知られるものの系譜であると考えられている。
創作での扱い
第4話「不思議の森の禁忌」内において、茶碗風呂に入った目玉おやじによって赤い顔の妖怪として猩々や赤がしらとともに言及された。
実は・・・
この妖怪はpixivユーザーでもある、現代の妖怪絵師氷厘亭氷泉氏によって名づけられたもので、元々このような名は付いていなかったのであった。
そして、これに気付いたTwitterの妖怪好きたちは、この珍事を「二顔之相事件」と呼んだのである。
なお元絵を描いた河鍋暁斎は反骨の人として知られ、戯画や風刺画の一環として妖怪をキャラクター化した作品を多数残しており、特定の妖怪に限らず面白いと思う奇想の化け物を次々と考案し描いていたといわれる。
ちなみに水木しげるや荒俣宏らを含めた妖怪関連の創作者たちも、名無しや分かりにくいものに対して、新たな名付けを行っていたという現状がある。