概要
1970年(昭和45年)4月から同年11月まで『週刊少年チャンピオン』(秋田書店)に連載された手塚治虫の少年漫画。
ハレンチ学園などに代表される、70年代のお色気漫画の潮流に乗っており、青少年向けの性教育を意図して書かれたのだが1970年8月23日号が福岡県の児童福祉審議会から有害図書の指定を受けた。
あらすじ
父子家庭に育った暴れん坊の中学生「焼野矢八」が、ある日エクトプラズムを出産してしまう!
それは矢八の父が作ったダッチワイフの身体に宿り、マリアという名を貰って矢八と同じ学校へ通うことになる。
しかしマリアは「産みの親」の矢八から、大変やんちゃで男勝りな性格を受け継いでおり、噂を聞きつけた校内の不良グループ「タテヨコの会」も巻き込んではちゃめちゃな毎日が幕を開ける。
登場キャラクター
焼野矢八
通称「ヤケッパチ」。市立第13中学の1年生だが、2回留年している。
喧嘩っ早い一匹狼だが、一方で情に厚く正義感の強い一面もある。
ある時急に産気づき、鼻からエクトプラズムを出産してしまい、それがマリアとの出会いとなる。
マリア
本作のヒロイン。矢八が出産したエクトプラズムが、ダッチワイフに宿った姿。
見た目は可憐な美少女だが、産みの親そっくりのガサツでやんちゃな性格で、喧嘩もそれなりに強い。
ただし、矢八が幼い頃に亡くした母親の仕草を受け継いでおり、矢八が無意識に描く理想の女性像が投影されているのではないかと作中で考察されている。
矢八の父親。家業はビニール製品の製作・加工。その一環でマリアの身体となるダッチワイフを作った。
喧嘩っ早く怒りっぽい性格は矢八とそっくりであり、親子喧嘩は日常茶飯事。
秋田先生
矢八の担任で、マリアに名前を与えた。彼らにとっての数少ない理解者であり、何かと面倒を見る他、作中における性教育解説パートも担う。
雪杉みどり
市立第13中学不良グループ「タテヨコの会」のトップで、通称「ボス・ナンバーワン」。
その美貌とカリスマ性で校内の人間をひれ伏させており、逆らう者に対しては容赦がない。
実家は富豪のお嬢様であり、そのためかわがままかつ自己中な女王様に育ってしまった。
矢八とは敵対するが、実際は彼に片想いしており、マリアに激しい嫉妬心を抱く。
ちなみに作中では鼻が描かれておらず、本人も鼻が低いのがコンプレックスなんだとか。
若松
「タテヨコの会」の一員で、みどりの片腕。通称「ボス・ナンバーツー」。
不良ではあるが卑怯な手を嫌う一面もある。みどりに対しては恋慕と忠誠心を抱いているが、一方で彼女の暴走に苦言を呈することもある。
羽澄マリ
終盤に転校してきた美少女。外見はどことなくマリアに似ており、また矢八に対する良き理解者にもなる。
矢八が彼女に恋をし男として一皮むけることで、これまで彼の理想の女性であり母親代わりでもあったマリアは役目を終えたと悟り、彼のもとを去ることを決意する。
関連タグ
ふしぎなメルモ…同じく手塚作品。アニメ版に性教育的な要素がある。