概説
学校においては「副教科」として保険科または家庭科の時間の一部を利用して行われる。
主に
といった内容が教えられる。
傾向
上記の記述はあくまで理想的なカリキュラムであり、残念ながら現代日本にそれらを忠実に実行している学校は無いに等しいと言っても過言ではない状況となっている。これは副教科ゆえの立場の低さもさることながら、日本特有の性事情が大きく関係している。
日本が近代的な学校教育を整えた明治時代、「先進国」たる欧米諸国はキリスト教に基づいた禁欲主義が支配的であり、性に対して開放的だった日本社会は「恥ずべき野蛮人の振る舞い」と見られがちであった。日本人は「欧米では性を抑えている」として、「性教育」とは「子供達の性欲を抑えて理性的一等国民に仕立て上げる手段」として理解され、半ば脅迫する形で性のマイナス面ばかりを伝える授業が普及していった。
「そもそも知識があるから実践したくなる」という考えから、女子だけにわずかに月経の処理方法を教えた程度の学校も多く、そうした状況は戦後を経ても平成に至るまで存置された。戦後は保革対立の中でしばしば政争の道具にも用いられた。
一方、その空白を補ってきたのが性に貪欲な民間発のポルノである。だがそれは娯楽なので教育を意識したものではなかった。
R-18でなくとも、覗き、痴漢行為、スカートめくり、セクハラへの軽い扱い(制裁はあっても演出はコミカルで、被害者側との関係は良好であり続ける等)が昭和時代から平成初期にかけて漫画やアニメといった媒体で「お色気」枠として全年齢向けで表現され、その「お約束」は2010年代以降も引き継がれた。
当時の学校での性教育は「生殖」その物に比重がおかれ、レイプでも無い限り性暴力の重さを児童・生徒に広く伝える媒体はほぼ存在しなかったと言える。
欧米リベラル派の性教育拡大の動きに合わせた性教育見直し論もあったが、その論拠が明治時代の性教育の始まりと同じ「欧米では」だったことや、日本社会党・日教組への不信感(自民党によるネガキャンも含む)により、大衆的支持を得なかった。また性教育推進とポルノ規制が表裏一体の関係にあるという認識から伝統的保守派以外からの反発も強く、R-18コンテンツの多いpixivなんかではなおさらのことである。
改革の機運は過去に何度も生まれてはいるものの、こうした社会背景から「変態」「洗脳」の烙印を押されて頓挫するのが常である。
もっとも性教育によって子供に性的な事を教えることをしなくとも、人間はセックスの仕方を覚えるものである。なぜなら我々の祖先は、アダルトコンテンツやアダルト広告が無くとも性教育などしなくとも、勝手に子作りを覚えた原始人なのだから。
pixivにおいても「性教育=いやらしいもの」という認識による作品が圧倒的多数を占める。一応、百科事典各記事では極力有用な記述がされているので、それらを参照しながらあくまでもフィクションと割り切って閲覧するようにしていただきたい。