アカヴィル(TES)
あかゔぃる
『アカヴィル(Akavir)』とは、作中で舞台となるタムリエル大陸の遥か東方の海の果てに浮かぶ大陸のこと。アカヴィリとも。
及び、たびたびそのアカヴィル大陸から渡来する蛇人の民『ツァエシ』を意味する言葉でもある。
彼らの詳細な情報は未知に包まれており、ある文献内では彼らを人と主張し、別の資料は明確に蛇の顔を持った異形の種と主張している。
また英語でのツァエシの種族名であるTsaesciの発音はˈseɪ.ʃiで、英語本来の発音ではどちらかといえば「シェイシィ」に聞こえる。
これまでに帝国の歴史の中で記録されたアカヴィリとの遭遇は彼らが少なくとも人の形に見える種族であり、彼らの一部に至ってはほぼ完全に人間と区別がつかず、帝国人と全く同じ外見のように見えることを示している。
一方でツァエシを完全なる獣人とする文献は彼らの外見の特徴として「象牙色の滑らかな肌」や「ウナギみたいな顔」に長い大蛇の尾と鱗状の足を持ち、蛇のような切れ長の瞳孔を持つ……など、どう見ても人間とは異なった身体的特徴を持っていたとしている。
これらの矛盾した主張に加えて、ツァエシ族はかつてアカヴィル大陸に僅かに残っていた普通の人間を「喰らい尽くして」しまったとしている。(この発言は様々に解釈できる)
これらの文書によって矛盾する形態は謎に包まれているが、ツァエシがエルスウェアのカジートたちと同様に何らかの要因で同族内で差異が現れるシェイプシフターである可能性も示している。
また、文献上では彼らは不老不死の種族とされているものの、リムメンというエルスウェア地方に住むツァエシ族の血を引いた人間たちによると、不死や長寿自体は種族そのものの特徴ではなく、ポテンタートなどの人物たちの不可解なほどの長寿は恐らくツァエシ独自の魔法体系などに由来するものと推測している。
そしてシロディールにおいて特にツァエシ族と帝国族の祖先を持つ者は純粋なインペリアル由来の従兄弟とほとんど見分けがつかないと言われており、ツァエシ族の祖先を最も認識できる特徴は彼らの切れ長の蛇状の瞳孔と髪の色に微かな痕跡として残っている。
タムリエル大陸の帝国側の歴史では第1紀の2703年、ツァエシ達アカヴィリの軍団は遥か東方の大洋を渡り、タムリエルの地に突如侵攻を開始したとされている。
その際に戦場で対峙した帝国軍の皇帝レマンI世がドラゴンボーンであることを見抜いた彼らは彼に忠誠を誓い、配下に加わることを申し出る。
レマンはアカヴィリの軍団を新たに軍団に加えることとし、彼らは皇帝を守護する「ブレイズ」という皇帝独自の直属部隊としてレマン王朝の皇帝達に代々仕えていくこととなる。
しかし、彼らがレマン王朝の系譜の者に数世代仕えた後、第一期2920年に皇帝レマン3世がアカヴィリのヴェルシデュ・シャイエ達に謀殺され、彼らに見限られたレマン王朝は突如として終焉を迎えてしまった。
帝国の実権を握ったアカヴィリによる第二帝政と呼ばれる時代が始まり、それは第一期の終わりと第二期の始まりを意味するものであったが、彼らは実質約4世紀の長きに渡って帝国を中枢から支配していくこととなる。
彼らは帝位の簒奪者ではあったが実務的能力は極めて高く、後年のOblivionの時代に見られる帝国の国家制度や法律はこの頃の彼らが原型を作ったとされている。
そして第2紀の324年に彼等が闇の一党の原型となるモラグ・トングに暗殺されると、それまで続いたアカヴィリの王朝も終わりを迎えることとなった。
やがてインターレグナム(Interregnum)と呼ばれた5世紀にも渡る動乱と混沌の時代を迎える頃には、足並みの揃わなくなった大陸中の各地の小王国と国家間で争いが続いた。
帝国の支配下にあったタムリエルの各地方は各々が独自に蜂起し、シロディールでは第二帝国の残党が辛うじてシロディール帝国として名目上存続したものの、帝国はその支配地域をシロディール地域のみに限定した国家として軍閥によってぎこちなく統治された。
王朝の血は長らく絶えてしまうこととなるが、後にセプティム朝を興す皇帝となるタイバー・セプティムによるタムリエル大陸統一という覇業が成されるまでは、帝国にとって暗黒の時代が到来する。
彼らの信仰については、イルニ(天候/空気)、ミン(太陽/火)、ナイファ(大地)、ゼン(海/水)という異なる要素を象徴する4つの神が知られており、タムリエルのモロウィンド地方に多く暮らすダンマーとは祖先崇拝の文化を持つ面などで共通している。
また、ツァエシの信仰において特に水という物質は特別な位置を占めており、彼らはすべての川や海、水路といったものが死者の生者の世界の境界となり、繋がりを持っていると信じている。
その他にも証明の祭事という彼らの祖先を鎮めるための祭りを執り行うことで知られており、そのうちの一つである「恭敬の証明(Proof of Reverence)」という祭りでは先祖の霊を現世に招き入れた後、紙で象った蓮を川へ流す風習を行うことで知られている。
アカヴィール大陸文化verのお盆と考えていいはず。
- ツァエシの謎
アカヴィール大陸に暮らす人間についてしばしば言及される「ツァエシに喰われた」という言葉が意味する真相については明らかになっていない。
蛇型の吸血鬼のように描写されるツァエシたちの描写は文字通りの意味を示唆しているかもしれないが、喰われる=支配されることの比喩である可能性もある。
匿名の作家による『神秘のアカヴィール』には、ツァエシ族は「すべてのドラゴンを食べようとした」と記されており、「赤き竜は奴隷にする事が出来たが、残った黒い竜たちはポ・トゥンへと逃げてしまった」としている。
- アルドゥインの壁
彼らには記述や伝説を石造りの寺院や壁画に残す文化があり、後に帝国へと帰属したアカヴィリ達がスカイリムの地に残した「アルドゥインの壁」という帝国の興亡を予言した巨大な壁画が存在する。
ここでは、東方から現れたアカヴィリたち(※ブレイズのメンバー達)は鎧兜を装着した人型に近い姿で描かれているように見える。
- 意匠
ツァエシたちは文字通り蛇人の一族であり、彼らが装備している東洋風の武具や甲冑もよく見ると蛇鱗や蛇の頭部をあしらった装飾で覆われている。
特に盾は菊の花の紋章と、中央に鎌首をもたげた大蛇の顔があるのが特徴的。
片手剣・両手剣は室町時代の日本刀風の太刀を装備することができる。
- アカヴィリ大陸
余談だが、アカヴィリ大陸はタムリエル大陸から見て東北の方角、即ち鬼門に位置する。
ベセスダ社のTES制作班がこの手の設定作りに見せる凄まじい執念を考えるとこれも偶然とは言い難い。