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アクゼリュス崩落

あくぜりゅすほうらく

アクゼリュス崩落とはゲーム『テイルズオブジアビス』の劇中で起こった事件であり、歴代屈指のトラウマイベントであり、そしてターニングポイントである。
目次 [非表示]

俺は悪くねえ!!


内容編集

主人公ルークと仲間達は瘴気が充満して危機に陥っている鉱山都市アクゼリュスを救うために親善大使として訪れる。そこでルークは師匠ヴァンと再会し、彼の言うとおりに瘴気を中和するため、超振動を発動させる。


だが、ヴァンの言うことは全て嘘だった。超振動で瘴気を中和などできるわけがなく、アクゼリュスを消滅させることこそが彼の目的だった。これによってルークはアクゼリュスを支える柱を破壊させてしまい、知らずの内に万単位の人命を奪ってしまう。


何が起こったのかわからないルークはティアから自分がしてしまったことの意味を説明される。だが彼は『俺が悪いのか?』『みんな何も教えてくれなかった』『師匠(せんせい)が悪いんだ、俺は悪くない』と現実を受け入れることができず言い訳ばかりをしてしまう。これによりルークは仲間達に幻滅され孤立。

さらには直後やってきたアッシュに自分が複写人間(レプリカ)であることを知らされてしまい、絶望のどん底に突き落とされる。


このイベントはそれまでプレイヤーにも優しい印象を与えていたヴァンの本性、ルークの正体、主人公が仲間達に見放されてしまうという冷たい展開など、様々な事実が明らかになると同時にいろいろな意味でプレイヤーに衝撃を与えトラウマを植えつけられた。


なお、ルークが言い訳する際に放った俺は悪くねえ!俺は悪くねえ!!という台詞は有名。


それ以上に一方的にルークの元から離れていったように見える仲間達に憎悪の感情を抱くようになった人もいる。アクゼリュス崩落に関してはルークに対する仲間全員とアッシュの対応ミスも大きな原因である。

その中でも、保身が入り後に似た過ちを引き起こすアニスや、ヴァンの計画をある程度把握済みで可能性に気づきながらも話そうとしなかったティア、ある事情があったとはいえルークの親族を殺害しようと目論んでいたガイ、そして色々と元凶なジェイドは特に大半のプレイヤーから恨まれる事となり、他にもこの4人ほどではないがそもそも半ば強引に旅に着いてきたナタリアもプレイヤーから悪印象を持たれるなど、これでゲームを投げた人も少なくない。

イオンとミュウは批判の度合いが少なく、特にミュウに至っては一貫してルークを非難せず心配するなどプレイヤーからの評価がそこまで下がらなかったのはこの2名くらいなものである。


このあまりにもあんまりな内容から、この展開はスタッフの間でも全体的に評判が悪かったらしいが、皮肉にもそれが「このイベントがあればプレイヤーはルークに感情移入できる(※ただしルークはとっても悪いことをしたんだという方向性)」という判断に繋がり、変更無しで通ってしまった、という素直に喜べない経緯がある。


しかし、この事件の真犯人は生まれた時からルークと親身になって接することで強固な関係性を築き、言葉巧みに誘導し、更に途中不安と疑問を抱いた際に超振動によってアクゼリュスを崩落させるように暗示をかけて強制したヴァンであり、ルークにはアクゼリュスを崩落させ、人命を奪う意思は一切なく、ヴァンにその人生を狂わされた被害者だという事を忘れてはならない。


また「この件でルークは成長した」と言えば聞こえは良いが、経緯が経緯なので挫折で萎縮した子供と言った方が正しい。実際以降のルークは恐怖を感じつつも重圧から自分の命を顧みなくなり、仲間からも逆に心配されるようになっていく。

事実上「歪みが矯正されたのではなく、歪みが明後日の方向に増幅された」と言った方が近く、「アクゼリュス崩壊でルークが成長した」などと言うと不快感を催すファンも存在する。


因みに、アクゼリュスは「邪悪の樹(クリフォト)」の第五クリファの名前でもあり、その意味は「残酷」である。

ルークをはじめとしたキャラクター達にもそうだが、数多のプレイヤーに洒落にならないトラウマを刻み付けるに足る、文字通り「残酷」な仕打ちである。


なおアニメでは第8話『崩落』(直球すぎるサブタイトル)で語られ、崩落の演出も、逃げ惑う人々が容赦なく崩落に巻き込まれるという、さらにえぐい仕様になっている。ただし尺の関係からルーク達の目の前で少年ジョンが魔界の海に沈んでいく場面はカットされている。


補足(崩落~断髪までのネタバレを含むため閲覧注意)編集


それぞれがルークの傍を離れた理由

これはルークの断髪直後やサブイベントを起こさないと分からない人も一部いる。

大事なことなので先に言っておくが、ルーク以外の皆も『アクゼリュス崩落には、防ぐことができなかった自分達にも責任がある』と感じており、単にルークがアクゼリュスを崩落させたから離れたわけではない。


ただ、アクゼリュスには救助を目的として訪れていたのにもかかわらず、何が起こったのか分からないまま、結果として一万人前後の人間が命を落とし、目の前で子供が泥の海に飲まれるのを目撃すればさすがに大きなショックを受けて当然であり、しかも危機的状況は去っていないために不安しかない状態。各員が何かしらの責任や後悔や罪を感じていたはず。

このような経験をすれば、何かしらの精神的な病に罹っていてもおかしくはない。その状況で一人だけ責任から逃れようとしており、


「俺は悪くねえ!」→その場にいた当事者であり、止めれなかった別のやつが悪いとも聞こえてしまう。

「俺はアクゼリュスを救おうとしたんだぞ!」→全員それが目的で訪れている。ルーク一人だけではない。しかも街に来た時病人を汚いなどと発言していた。

「お前らだって何もできなかったじゃないか!俺ばっか責めるな!」→パーティの中で救助活動から最もほど遠い行動をしていたのはルークである。アニメではイオンも救助活動していた。

「俺は悪くないぞ!そうだろガイ!」→とことん他人に責任転嫁をした後にガイに助けを求め、ガイは距離を置くべきと判断。同時に後悔もしているが本人は気づかず。

「なんで皆俺を責めるんだ!」→そもそも誰も「ルークが悪い」とは言ってはいない。(スキットでアニスがそう言いかけたところもあるが、自分にも思い当たる節を自覚したのか、言葉にはしなかった)

にもかかわらず、反省の一言もなく周囲に喚けば距離を置こうと思うのは当然である。



旅の途中でのルークのいい面を見て心の底では見直しつつあったが、ルークの親善大使就任後からの横柄な態度に呆れ、更にアクゼリュス崩落の責任を一人だけ逃れようとしていたため。

ルーク断髪後、変わっていきたいという彼を見守ることを決意。


ルークが親善大使就任した後は、(ルークがヴァン先生との約束を優先して)ルークのことを良くしてくれていたイオンにも辛く当たるようになったため。

また、アクゼリュス崩落時の無責任な言動(俺は悪くねぇ!)に呆れたため。


ナタリアとほぼ同様だが、実は崩壊の一端をイオンも担っていたため、(そこまで考えてなのかは不明だが)彼に矛先を回避するためにも話を切り上げさせた

ただしそれだけが理由ではないことは後のセリフからも窺える。


親善大使就任後のルークの言動に危機感を薄々抱いていた(ルークが孤立し始めていたため)。

アクゼリュス崩落後、ルークが一人だけ責任を逃れようとしていたことに幻滅しつつも完全に見放したわけではない。

むしろルークなら立ち直れると信じ、今のルークには考える時間が必要だと感じ、あえて傍を離れた。

そのため、ワイヨン鏡窟へ向かう際、パーティーから離れ、アラミス湧水洞でルークを待っていた。

ちなみにルークの性格は自分達が育ててこうなってしまった事に責任を感じ、ルークの幼なじみのナタリアにもそのことを話す。



詳細な理由はメインイベント中ではなくサブイベントで判明する。

ルークを見放した理由は、『アクゼリュスを崩落させたからではなく(ジェイド自身も含めて)あの場にいる人達全員に責任があったにもかかわらず、一人だけ責任から逃れようとして思考停止した』ため。このことは「譜眼」というサブイベントをこなさないと判明しない。


ちなみに自身の「確信を持てないことは話せない性格」についても悪い部分だと感じており、この性格のせいで毎回事態が大事になるまで言い出せない悪癖について悔やんでいる。(これもサブイベントを見ないと分からないことだが、確証が持てないからこそ迂闊に思いついたことを喋ってしまえば場や状況を混乱させかねない場合もあるため、この性格を一概に悪いとは言えない。軍人としても確証が持てないことは迂闊に喋ることは許されないことである)

また、スピノザとの会話でもあるように、ジェイドは同じ罪(=人死にを招いたことや人命道徳を無視した研究)を犯したからこそ、だからと言ってその相手を庇ったりするようなこと(本人曰く傷のなめ合い)は好んでおらず、寧ろ止めなければならないこととも考えている。



チーグルの森からルークのことを本当は優しい人だけど不器用で素直に振る舞えないと見抜いていた。

今回のアクゼリュスのことについては、自身がヴァンの企みに気付かずに、更にヴァンに唆されたルークに説得されて安易に封印を解いたことを反省している。

そのため、タルタロスの甲板でハートフルボッコなルークを慰めようとしたが、ルークを見放したアニスに連れられて中に入ってしまう。



…とこのようにメンバーそれぞれ思うところ(一部を除いて)があり、ルークから離れた。

(…メンバーにはルークとは比べ物にならないほど罪や問題があるのは秘密である。ただしイオンについてはルークとほぼ同様の事情がある。)




崩落後編集

ルークと別れたパーティーメンバーはしばらくアッシュの行動に付き合うが、用件が済むと別れる。

その後、ルークはアッシュを通して世界の状況や自分が犯したことの重大さを知り、変わることを決意した。


「……ティア。確かナイフ持ってたよな」


「えぇ、持ってるけど……」


「ちょっと貸してくれ」


「ルーク!?」


すると、ルークは決意表明とこれまでの自分との別れの為に自身の赤く長い髪を束ねてバッサリ切り落とした。


今までとさよなら


「これで、今までの俺とはさよならだ」


すぐには信じなくてもいい、でも変わるから見守って欲しいことをティアに伝え、二人はユリアシティを去った。

そして他のパーティーメンバーとも合流し、誰かが言ったからではなく、自分で考えて行動を開始した。


最初はやはり冷たい態度を取るメンバーもいたが、ルークの本気で変わりたいという気持ちや行動を見ていくうちに再び信頼し始める。



アクゼリュス崩落を防ぐことは可能だったのか?編集


結論から言うと、ほぼ不可能。

理由は三つ。各メンバーの立場と状況、準備不足、そして様々な情報不足である。


・ジェイド

一番止められたのはお前なんじゃないか、とよく言われるが、立場上かなり難しい。

ジェイドがルークがレプリカだと知ったのはタルタロス襲撃後。その時すでにルークをバチカルに連れていく代わりに国王との謁見を条件に交渉している。また、ルーク自身「誘拐はマルクトがやった」と証言している。

この状況で『ルークはレプリカ』『生物フォミクリー技術について知っている理由は開発者がジェイドだから』と話したらどうなるか。ただひたすらルークは混乱し、道中荒れるだけで終わればいい方。下手をすれば信用を失うどころか、王族誘拐をしたのはピオニー皇帝の懐刀であるカーティス大佐が犯人とまで言われ、それこそ戦争の引き金になりかねない。ルークの方から「自分は偽物なんじゃ」と言い出してくれるのであれば話は別だが。

しかもルークを作ったのは誰なのか?と考えたところで、そもそもキムラスカという国家自体がマルクトが犯人だろうと考えているため、ジェイド目線、誘拐犯が誰なのかは分かるわけもない。事実、ルークもヴァンの自白とアッシュの証言があったからこそ真実の一部を知ったが、ジェイドが知ったのはアクゼリュス崩落の後。誘拐犯が分からなければ、ヴァンが怪しいと思える根拠はせいぜい、アッシュの顔を前々から知っていたのにルークやファブレ家に何も話さない疑問程度だろうか。

さらにジェイドはピオニー直々の指名で平和条約・アクゼリュス救助に赴いている為、ヴァンやルークの事よりも任務優先で動くのは当然とも言える。戦争回避を無視してでもルークを作った者の計画を挫いておこう、と行動するのはさすがに厳しい。


そして重要なのは、ルークが超振動を一人で使えるという情報を持っていない事(謁見の間でローレライの力を継ぐ若者と預言で聞いた程度)。

超振動のことを知らなければ、ヴァンがルークを利用しようとしていると考えても『剣が少し使えるだけのわがまま親善大使』という評価止まりである。仮に超振動の事を知っていても、ルークは罪のない人間に剣を向けるのを躊躇する性格だというのはメンバー全員が知っているため、人や町に超振動を放つだなんて知っていても考えないだろうし、外殻大地や魔界についてジェイドは知らない為、セフィロトで使ったら何が起こるかなんて想像できない。

万が一の可能性を考慮したとしても、親善大使を拘束なんて不可能、しかも部下がいない為監視も無理。ジェイド自身が監視しようにも「救助活動をしにきたマルクトの軍人はなにもしない」なんて噂されればピオニーに泥をぬる行為である。つまり、ジェイドは動きたくても動けない状況だった。


せめて外殻大地の情報や、ヴァンの目的である『アクゼリュスの消滅が狙い』を早く知ることができれば、別の行動もとれただろうが……。



・ティア

ティアの目的は「ヴァンの何か恐ろしい計画を止める事」であり、その計画が『大地を崩落させる』事なのか『戦争を起こす事』なのかはティア目線では不明。

戦争を起こす事が目的と考えた場合、ルーク達に協力しアクゼリュス救助を最優先とするのは当然である。

仮に『大地を崩落させる』事を想定していても、過去の技術を使って作られたパッセージリングの破壊や操作なんて無理と考えていても不思議ではない(実際ティアは魔界や瘴気の成り立ちを知っているだけで、セフィロトには詳しくないと発言している)

そもそもパーティの目的が『戦争を回避するため』として行動している為、いくらヴァンを問い詰めたりしても「〇〇については知らない」「勘違いをしている」「戦争回避やアクゼリュス救助より優先するほど大事な要件なのか?」と、戦争回避を最優先にと言われれば引かざるを得ない(これはジェイドにも言えて、ヴァンに対してルークとアッシュについて言及できないし、アクゼリュスの後に聞こうと考えていたのかもしれない)。

なんにせよ、下手に聞き出そうとして、旅の妨害になるようであればパーティから外されるだけである。



・ガイ

ほとんど情報を持ってない内の一人。ヴァンと協力を約束していたが、それはあくまでもホドの復讐の約束である。事実、ベルケンドでヴァンに対して「大地や人間をレプリカで作るのか?馬鹿馬鹿しい」「ホドは消滅したんだ」と言い対立しており、レプリカ計画については何も聞かされてなかった。(他にもドラマCDにて明かされており、ルークがティアとの間に起こした超振動でタタル渓谷に飛ばされた後にて、二人の失踪について問いただした直後、ガイはヴァンの計画についても「いつになったらその計画とやらのことを話す?」と問いただすも、ヴァンは「いずれ時が来たら」と言うだけで、レプリカのレの字も告ぐことはなかった)

ヴァンは「アッシュの性格的にレプリカ計画は反対するから黙っておけ」とリグレットに命じている為、ガイに対しても同じことを考えていてもおかしくはない。事実、屋敷にいたルークとは仲良くしており、ヴァンからすれば「あれはレプリカ」と言わない方がいいと考えたのだろう。



・アニス

こちらもほとんど情報らしい情報を持っていない。モースのスパイではあったが、あくまでも位置情報を流しているだけであり、アクゼリュスやルークの事は何も知らないし、モースも言う必要が全くなかったはず。

何ならモースからすれば、アニスはアクゼリュスで死んでいた計算だった。実際、アクゼリュス崩落後はモースと連絡を取り合っていない(平和条約成立した際、イオンとパーティの行動に対して完全にモースは後手に回っていた)。外殻大地降下後に再びアニスへの脅迫を再開しただけである。つまり、バチカルでイオン誘拐を黙認した時点でスパイの役目は終了である。


一応アニスは立場上、アクゼリュスでは救助活動よりも六神将に狙われている導師の守護を優先するべきであり、イオンの傍にいるべきではあった。もっとも、未成年で目の前に山ほど病人がいて、トクナガを使えば運ぶ力があるのであれば救助を優先しようと考えるのは仕方のないことではある。

また、ヴァンの項目で書くが、イオンの傍にいても崩落を止めるどころか足手まといになっていた可能性すらある。



・イオン

セフィロトの扉を開けた罪はあると、本人も自覚している。

しかし、パーティ内でガイ以上にルークを心配していたために、ヴァンと揉めるのは避けるが為に従ったとも言える。

そもそもレプリカイオンを作ったのはモースとヴァンであり、その教育にヴァンが関わっていたのであれば、当然イオンの信用も得ていた可能性は十分ある。また、イオンがセフィロトの扉を開いても何もできない、とザオ遺跡で語っているのでセキュリティを信用していたが、ジェイド同様、ルークが超振動を使えるという情報を持っていない為、物理的にセフィロトを破壊するなんて想像を超えていてもおかしくはない。

魔界や外殻大地の情報に関しても、キムラスカもマルクトも知らなかったため、第三者に教えることは禁じられていても当然であり、情報共有も難しかっただろう。



・ナタリア

パーティ加入直後であり、知っている情報は『ヴァンが誘拐犯』『ルークが亡命する』の二点くらいである(もしかしたら超振動を知っていた可能性はあるが)。

この情報も誰にも言わないとルークに約束した為、情報共有はできなかった。

また、もしもアッシュが本物のルークだと道中で気づいていたのであれば、ナタリアの性格的にアクゼリュスとアッシュの事以外考えられなくなっていた可能性もある。

アクゼリュス到着の際、ヒーラーとして行動する以上、ルークから目を離してしまうのも仕方がない。



・アッシュ

ヴァンのレプリカ計画を知った後は離反。しかし、なぜルークを操ってティアに剣を向けさせたのかは謎である(ルークが信用できないために、完全に操る実験でもしていたのだろうか?)。

とはいえ、ルークに情報を流せば、ルークがヴァンにそれを報告していたのは確か。アニメでもルークに呼び掛けたタイミングではタルタロスの兵士と闘いながらだったので、操る余裕もなかった様子。



・ルーク

メンバーが知りえない、超振動・瘴気の中和計画・ヴァンが誘拐犯などの重要な情報を持っており、一応フォミクリー技術は代替え品を作るもの、と名前は知ってはいた為、自分の存在に関して周りに相談すること自体はできた。

だが、この時点のルークのヴァンへの信頼を崩すのはどうやったところで無理である。付き合いの長さの差もある上に、アクゼリュス出発以前から仲間の多くは隠し事や態度からルークの悪印象を買いすぎている。唯一悪印象のないガイも放任気味で頼りにならない。さらに兵器にされる恐れがあるとのヴァンの誘導から、人を殺した感覚への忌避感も手伝って視野狭窄に陥っており、長年積み重ねてきたヴァンへの依存から抜けることは不可能といえる。何せヴァンはあの時までルークの不信感をかう行動を何一つしていないのだから。そもそも普通の人間が自分は偽物かもしれないなどと疑うこと自体不可能である。



・ヴァン

実のところ、ヴァンからすれば案外アクゼリュス崩落は簡単である。

ヴァンにとって、ルークはあくまでも「世界は預言通りになっている」と思わせる存在であり、崩落さえ始まってしまえば目撃者も消せるため、どんな手段でもいいのでイオンに扉を解呪してもらえば、自分でパッセージリングを操作して崩落させる事も可能である

また、ヴァンを疑ったパーティメンバーがいたとしても、ヴァンは譜歌を使えるため、不意打ちでナイトメアを使うだけでどうとでもなってしまう。それこそイオン以外の邪魔者全員を眠らせて、アニスやナタリアを人質に脅せば扉の解呪も容易。

それ以外にも六神将を使って兵士に町を襲わせ混乱させる、街道を封鎖する、預言に書かれている以上、モースに加勢してもらう、さらにはキムラスカ王家が預言通りになることを望んでいる為、そちらの協力すら得られてしまう。

これら全てを推理し、アッシュの協力があったとしても、預言に書かれている以上止めれたのかは怪しいところである。



・そもそも

それでも当事者は全員アクゼリュス崩落を止めれた可能性はある。

が、アクゼリュス崩落やホド消滅を預言で知っていながら世界を導いたのはユリアシティやキムラスカ王家であり、繁栄や預言の為ならば島や町が滅びようがどうだっていいと判断した世界の罪でもある、ということを忘れてはいけない。




ネット上で見られる仲間たちや開発への批判編集


ルークの成長として必要とされたこのイベントだが、仲間たちや開発に対する批判定期意見もみられるようになった。


・ティア

ヴァンが何か恐ろしい計画を目論んでいることに気づき、物語の冒頭でそれを阻止すべくヴァンを討とうとしたものの、ルークと共にタタル渓谷に飛ばされ結局それは叶わなかった。また、その後も兄を警戒して距離を置いており、もし妙な真似でもしたらと身を構えていたが、六神将の妨害も多々あり、自分たちより上の立場の者たちからの指示等で行動せざるを得なくなり、それ以前に状況からして周りの目がある以上、防ぎようがなくなってしまう。

ルークをタタル渓谷に飛ばす結果を生んだ屋敷の襲撃においても、なぜ罪に問われないのかと尋ねられることもある。しかしこれについては、この件でティアとヴァンの共謀を疑ったキムラスカによって一時的に獄中に追いやられたヴァンが妹を守るための供述をしていたことも推測される(レプリカ大地計画についても、ティアだけは殺さずに助けようと考えていた姿勢から)。

ただし、ルークに対して兄のことをなんでも鵜呑みにしていては痛い目に合う(意訳)との忠告をしたのにもかかわらず、自分が同じようなことをしていた点は擁護できないといわれる。


・ガイ

ホドの復讐のためヴァンから仲間に誘われているが、屋敷に戻ってきた(正確にはアッシュと入れ替わった)ルークの言葉をきっかけに憎しみを攻略していき、ヴァンとは距離を置くようになった。

ヴァンの計画を知っていたのでは?ならなぜ彼は批判されず、一度でもルークを見限ったのか?と批判するものもいるが、計画を知ってると言っても、それは『ファブレ侯爵に対するホドの復讐』に関することであり、レプリカ大地計画のことは恐らく含まれていない。知っていたら、最初からルークがレプリカであることにも気づいていたはずであり、自分を過去から決別させてくれたルークを、アクゼリュス崩落を招く前に助けることができたはずである。


・ナタリア

アッシュこそが、かつてプロポーズの約束を交わした方のルークであり、7年間共に過ごした方のルークが彼のレプリカで全くの別人だと知った途端、アッシュに鞍替えするような態度がファンの間で目立った。ガイがパーティ離脱する際も『本物のルーク(アッシュ)はここにいる』と、ルークを否定する言動がその象徴と言える。

しかしこれは致し方ないところが大きい。前述のように、横柄な態度と無責任な発言を目立たせたルークに対して好意や幼馴染としての情が消え失せても、人として何ら不思議ではない。

またナタリアも、アッシュが自分の想い人としてのルークだと知って改めて思いを寄せる一方で、そんな彼の事情に7年間気づけなかった目に距離感を掴みかねているところや、同時に共に過ごしたルークに対する対応に悩む姿も見られる。最終的にどちらも支えるべき大切な幼馴染で、アッシュとは様々な媒体でカップリング描写が際立つようになる。

とはいえ、本人がのちに反省したように王族として取るべき行動をしていない点はその通り。ルークの病気がうつるかもしれない発言も、言い方こそ悪いが王族がかかっては元も子もないという点は間違っていない。


・ジェイド

ある意味ヴァン以上の元凶。

…が、彼一人だけがその責務を負うべきと言われると、それもいささか腑に落ちない。本当の元凶を突き詰めていくのなら、身も蓋もないことになるが預言に執着したオールドラントに住まう人々すべてにも当てはまることになるため。

ただし、邂逅直後から続けられたルークへの必要もないおちょくり等の馬鹿にした発言は擁護できない。そもそもが和平の使者であり、繋ぎをつけてくれる王族を丁重に扱う必要がある立場である。もしルークから王に告げ口があれば王家への侮辱とみなされ和平が失敗することもあり得るのだから。ルーク自身かなり腹を立てており、仲間を信用できない一端になっている。


・アニス

後にモースのスパイであることが判明。序盤のタルタロス襲撃以後の六神将の妨害も結果として彼女が発端になったことを、アニス自身も自覚することとなる。このためルークのことを何一つ批判できる口など持たないはずなのにと嫌うファンが多い。

だがアニスも愛する両親を人質に嫌々従っていただけで、防げるなら防ぎたかったことが態度で分かる。これについては、『預言の絶対性をいいことに、騙されても懲りず反省もせず善行に酔い、愛を注いでるはずの娘に結果として苦痛を強いている』アニスの両親の方が悪いのでは?という意見もある。ただし、アニスも場面によってはルーク以上に態度が悪いため余計にヘイトをかいやすい面もある。


・アッシュ

出会い頭にいきなりルークに斬りかかったり、彼を操ってティアに剣を向けさせたこともあって、そんな人間に「やめろ!アクゼリュスを滅ぼす気か!」などと警告されても説得力がなくルークからもそうだったが、プレイヤー側からの信用は得づらいと言える。

ヴァンの計画を未然に防ぐための一環であり、表向きはヴァンの思惑のもとに行動しなければならないとしても態度が悪すぎる。初対面で罵倒から入ったのではルークの信用など得られるわけがない。



言ってみればほぼ全員が大罪人と言える。

しかし、償う機会やその姿勢さえ一切許さず、徹底して相手の痛いところを突いて批判することも果たして正しい事なのかと言われると、これも必ずしも正しいとは言い難いだろう。

(というか、ちょっとでも気に入らない存在を徹底して排除したがる短慮且つ過激なネット民のコメントともとれるものが多い)

彼らがいなければオールドラントを救い、預言に依存した世界からの成長を促すことは恐らくなかったはずであり、各々償うためにも行動している。各国の要人も、自分たちの預言への依存が結果的に本編中のあまたの災厄をもたらしたこともわかっており、ルークたちでなければ事態の収拾ができないため、ティアたちパーティメンバーを結果的に罪人として処罰できなくなったのかもしれない。


・開発

上記の通り、本来はルークの成長イベントとして製作されたアクゼリュス崩落だが、その後のルークが自身を肯定できない卑屈な子供とでもいう状態になってしまっている点もあり、世間一般の受ける印象と開発の意識がズレていると指摘されることもある。前述のとおり、仲間がルークを見放した意図を説明する部分がサブイベントしかないのを疑問に思う人もおり、仲間がルークに自分たちも悪かったと謝罪する場面があれば違和感が少なかったと指摘する人もいる。特にジェイドのキャラ設定に関しては、開発がパーティを導く大人として設計している点もあってユーザーとのずれが非常に大きいと言える。

これに始まるユーザーとのズレをキャラ人気で封殺していったテイルズスタッフは後に語るにもおぞましいキャラを生み出す事になり長きに渡るツケを支払う羽目になった。




関連項目編集

テイルズオブジアビス

ルーク・フォン・ファブレ ティア・グランツ 鮮血のアッシュ ヴァン・グランツ

みんなのトラウマ 俺は悪くねぇ! ターニングポイント


何が事前に相談だ!:小説版でルークがジェイドに発した反論。


トーティス村の壊滅テイルズオブファンタジアにおける『町の壊滅』及び『鬱そのものなトラウマイベント』繋がり。更に当事者であるメインキャラクターの心に深い傷を負わせる極めて辛い出来事になった点も共通している。



外部リンク編集

アニヲタwiki

詳細に調べられているが、推測等も多く含む点に注意。

とはいえアビスという作品を語るうえで批判と擁護が激しく入り乱れるのはもはや切っても切り離せない問題であり、喧々囂々とした様子は、本作を取り巻く評判をある意味的確に表している

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