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アフーム=ザー

あふーむざー

アフーム=ザー(Aphoom-Zhah)とは、クトゥルフ神話に登場する架空の神性。
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概要

アフーム=ザーはクトゥグアの子にあたる旧支配者で、その姿は親であるクトゥグアやその配下の炎の精に似通っており、生ける灰色の炎とされる。
アフーム=ザーの炎は触れた物すべてを凍てつかせる極地の冷気そのものであり、燐光のように病的で有害な青白い光を伴う。
ルリム・シャイコースは彼の配下であり、預言者リスが『彼(ルリム・シャイコース)』の来訪を知らせた言葉の第二節において、アフーム=ザーは『ほかなるもの』の名で暗示されている。

アフーム=ザーはクトゥグアが旧神に封印された後に産み落とされた存在で、封印された旧支配者たちを解き放って仇敵である旧神へ再び立ち向かわせるという役目を負っている。アフーム=ザーはその特殊な出生ゆえに旧神の束縛を受けることがなく、生まれてすぐにクトゥグアが封印されているフォマルハウトを自ら離れてヤークシュ(海王星)へ向かい、地球へ降り立った。そして、アフーム=ザーは地球において反攻の機をうかがっていたが、それを察知して地球へ来訪した旧神によって北極に位置するヤーラク山に封印されてしまった。
だが、幽閉されたことで激怒に駆られたアフーム=ザーの冷気までは旧神の封印を以てしても止められず、周辺の大陸は激しい寒波にさらされて氷河の底に沈んでいったという。また、寒波と氷河の侵攻によってヴーアミ族とノフケー族(グノフケー族)は住処を追われて荒野での生活を余儀なくされた末に野蛮人にまで落ちぶれ、この当時のヴーアミ族の祈祷師がいつか現れる“救世主”の予言を『ヴーアミ碑板群』に記したとされる。

登場作品

アフーム=ザーの名前が初登場するのはリン・カーターが1976年に発表した「ゾス=オムモグ(改題名:陳列室の恐怖)」である。作中では語り手が『ネクロノミコン』を読むシーンにおいてクトゥグアがアフーム=ザーを生み出し、アフーム=ザーが地球に飛来した旨の記述に終始しており、この時点では設定程度の存在だった。

後にC・A・スミスの「白蛆の襲来」の草稿を発見したリン・カーターは合作名義で「極地からの光(The Light from the Pole)」を1980年に発表しており、この中で封印されたアフーム=ザーの暗躍が描かれている。
この物語は「白蛆の襲来」の登場人物エヴァグと同門だった魔術師のファラジンが主人公である。
 ファラジンは真夏の空に浮かぶオーロラや漁師が怪物を釣り上げる等の度重なる凶兆から日ごとに恐怖と不安を募らせていた。ある夜、ファラジンが住む地域一帯が極地の方向から差し込んだ青白い光に照らされ、彼を除くすべての生物が大理石のように凍てつき死に絶えてしまった。
 何者かからの魔術的な干渉を察したファラジンは持てる知識を尽くして打開策を探すがまるで歯が立たず、その中でリスの予言の第二節とエヴァグの末路を思い起こしたことで、かつてハイパーボリアを席巻したルリム・シャイコースすらも従僕として扱う“極地の者”、アフーム=ザーの存在を見出す。
 ファラジンはアフーム=ザーの目的を追求した末に、自分とエヴァグはフォマルハウトが東の地平に昇った時に生まれた者であり、フォマルハウトに関連深いアフーム=ザーの影響を強く受ける存在─旧神の封印を解くために操る下僕として適任者─であることを知ってしまう。
 そして、抵抗かなわぬ絶望的な相手と従えば数多の者に災厄をもたらすという事実を前にしたファラジンは、自害して果てることでアフーム=ザーの魔手から逃れる道を選んだ。

そして、1989年発表の「炎の侍祭(The Acolyte of the Flame)」でアフーム=ザーはその姿を現すことになる。
この作品はリン・カーターが「最後のナコト断章」を翻訳した際に見出した“ナコトの同胞”の修道士アスロックの記述という設定で書かれている。
 アスロックが生まれた時代のハイパーボリアは氷河の侵攻によって滅びを迎えつつあった。既に首都ウズルダロウムが放棄されて久しく、あらゆる宗派の魔術師の秘儀はおろかエイボンが遺した呪文すらも押し寄せる氷河の前に無力だった。
そんな中、文書管理人だったアスロックは古文書の中に『灰色の炎のような徴を胸に持つ“救世主”』というヴーアミ族の予言を見つけて愕然とする。アスロックは生まれつき奇妙な傷、渦巻く炎の形に似た灰色の鱗状の傷を胸に持っていたからだ。彼は災厄から大陸を救う手立てを見つけたと歓喜するが、同時にハイパーボリアは巨大な氷河に飲み込まれるというアフィロスの予言を思い出し、二つの予言の齟齬に一抹の不安を覚える。
 だが意を決したアスロックはビヤーキーを駆って一躍、ヤーラク山へ向かった。苦心の末にヤーラク山の地下に広がる洞窟に辿り着いたアスロックは深淵に突き出た岩棚へ行き着く。深淵の底には色の無いアフーム=ザーの光が明滅しており、近くの氷の支柱には旧神の印があった。アスロックは何者かのささやきを聞くと旧神の印を真っ二つに叩き壊したが、同時にアフーム=ザーの光は輝きを増し、その炎から凄まじい寒気が噴出した。
 アスロックは辛くもその場から逃げ延びたが、ハイパーボリアは勢いを増した大寒波に覆われて凍結し、一部の生き残りを除いて住人もほとんどが冷気の中に命を失った。“救世主”とはハイパーボリアではなくアフーム=ザーの救世主であり、アスロックは皮肉にも二つの予言をその手で成就させてしまったのだ。
そして、海を隔てたロマールの地へ逃げ延びたアスロックは、いずれアフーム=ザーの冷気がロマールにも到達すること、旧神が再びアフーム=ザーを捕縛するのは遥か未来の話であることを語ったところで記述を終える。

アフーム=ザーが登場する作品は過ぎ去った古代のハイパーボリア大陸を舞台にしているが、彼の前では人類など封印された状態でも容易く破滅させられるものでしかなく、それどころか封印自体の弱点や抜け穴を知悉して復活すら遂げているのである。
旧支配者の復活を主題にしたクトゥルフ神話作品は数あれど、アフーム=ザーはわずかな均衡の上に人類は命脈を保っていることや旧神が人類の視点ではさして頼りにならないことを改めて読者に認知させる存在なのである。

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