概要
『D.Gray-man』の主人公・アレン・ウォーカーと、メインヒロイン・リナリー・リーによる男女カップリング。
黒の教団に所属する同じエクソシスト同士。アレンは亡き養父・マナへの誓いを胸に人とAKUMAの両方を救済するために戦っていて、リナリーは最愛の兄・コムイを中心に仲間で構成された「世界」を守るために戦っている。
自己犠牲に走りがちで複雑な事情を抱えてもいるアレンのことをリナリーが心配したり叱ったりする関係が主だが、リナリーが辛い時にはアレンの方が彼女を思いやることもある。そうした優しさと思いやりの応酬がこの2人の大きな魅力である。
アレンの実年齢は不明だが、推定年齢ではリナリーより1つ年下である。物語当初は、黒の教団に幼少期より在籍しているリナリーが新人のアレンを守る描写が多かったが、途中からはアレンの方がリナリーを守る描写も増え、現在では対等に肩を並べて敵に挑める関係を築いている。
ビジュアル面でのこの2人の変化も美味しいものがある。アレンの髪型は長さはもちろんのことそのハネ具合や分け目が時期によって異なり、リナリーもまたツインテールやベリーショートなどの様々な髪型に変化する。2人の身長差も最初は2㎝と大変可愛らしい雰囲気があったが、現在では6㎝となりいかにも「少年と少女」という趣があるのが魅力的である。
また、アレリナは「対比」も魅力的な2人である。
・「白」髪と「黒」髪
・「銀灰色」の瞳と「黒」の瞳
・「腕」のイノセンスと「足」を拘束するイノセンス
・「ウォーカー(歩く人)」と「靴」のイノセンスの適合者
・「傷だらけ」の少年と「人を癒す」属性を持った少女
などがあり、2人が隣に並んだときのバランスは最高である。
「立ち止まるな。歩き続けろ」というマナの言葉を胸に「ウォーカー」として地を歩くアレン。
胡蝶のように天空を舞い鋼鉄の破壊力で地に堕ちる「靴」のイノセンスの適合者として、「世界」を守るために空を駆けるリナリー。
過酷な運命を背負う2人は、本来的には、安全な場所で家族と安定した愛情関係を築きたかったごく当たり前の少年少女である。
異例の2人
イノセンスは本来その適合者であるエクソシストの命を守ることはないのだが、アレンとリナリーの2人に関してだけはイノセンス自らが命を守るという異例の事態が起こっている。
6巻で黒の教団と敵対するノアの一族の1人・ティキ・ミックによってアレンの心臓が破られてしまった際に、イノセンス自らがその心臓の穴を塞いで命を助けている。また、21巻で神田ユウの刀型のイノセンスで腹を刺された際も、イノセンス自らがその傷を塞いで命を守ったことが後に確認されている。
リナリーの方は、8巻でレベル3のAKUMAと一騎打ちの戦闘を行った際に、自ら結晶化したイノセンスによって命を守られており、10巻でも同様に守られている。
全部で109個存在するイノセンスの中には、全イノセンスの力の根源とされている「ハート」が存在する。黒の教団とノアの一族双方がその「ハート」の行方を追っているのだが、アレンとリナリーのイノセンスがその「ハート」に関係しているのではないかと睨まれている。もっとも2人の命が守られたのは何か別の意味があってのことかもしれないが、いずれにしてもこの戦争において2人が重要な役割を担わされていることは間違いないだろう。
お互いへの想い
アレン→リナリー
アレンはリナリーに対して仲間以上の感情を抱いているのではないかと思われる。
例えば、7巻の談話室でラビが「へ? (リナリーに)興味あるよ」と言ったことに対してアレンが「えっ、あるんですか!?(汗)」と慌てたことがある。
他にも、ファンブックの「キャラグレ」のおまけ漫画にて、酔いつぶれてしまったリナリーの「いかないで、アレンくん……」という寝言を聞いて、赤面してしまったアレンがその場から動けなくなってしまったこともある。
「キャラグレ」では、アレンにとってリナリーは「大事な人」であると明言されている。
12巻ではリナリーが危険にさらされることがアレンの地雷だということがわかるシーンがあり、さらに25巻ではアレンが「安らかな死」を選択してしまいそうになったときに、リナリーの顔と彼女と交わした約束を思い出して、「苦しみの生」を選択するシーンもある。アレンがいま生きていく上で、リナリーの存在が大切なのは間違いないだろう。
リナリー→アレン
「キャラグレ」に書かれている通り、リナリーからアレンに対しては「ムリしちゃダメ!」という心配の気持ちが大きい。
3巻でリナリーはアレンの命を救い、自分自身を犠牲にしてAKUMAの魂を救おうとした彼の頰を叩いて怒っている。4巻でその展開が引き継がれ、再度彼女は彼の仲間を頼ろうとしない在り方を叱り、「何度だって助けてやるんだから!」と言い放つ。
この台詞は以降のリナリーからアレンへの気持ちの中心軸となっている。
リナリーは、6〜8巻で戦線を離脱せざるを得なくなったアレンを助けられなかったことを後悔した後、アレンは生きて戻ってくると信じることを決意し、10巻で無事に戻ってきた彼と「おかえりなさい」「ただいま」のやりとりをする。その後、22巻で自分の運命と向き合うためにアレンが黒の教団から旅立つことになった際に、リナリーは彼に追いついたにもかかわらず、何も言うことができなかったことを強く後悔することになった。
23巻で、リナリーは以下の後悔の台詞を口にしている。
「仲間ってなんなのかな…。私は何も言えなかった。アレンくんを信じるっていいながら、あの時…何も言わずに私たちのもとから去ろうとする彼に、何も言えなかったの。同時にわかったの。私には、彼を助ける覚悟なんてできてなかったんだって。『仲間だ』なんていっといて、私はアレンくんより教団を選んだ…っ」
これまでのリナリーがアレンを助けると言った流れが詰まった台詞であった。
『D.Gray-man』という作品は、過去の台詞を踏まえてキャラクター同士の関係や心情を発展させていくことが多い。アレンと神田の関係を例に出してみると、2巻で「俺たちは『破壊者』だ。『救済者』じゃないんだぜ」と言った神田に対してアレンが「神田…。それでも僕は誰かを救える破壊者になりたいです」と言うシーンがある。21巻でアレンが命を賭して神田の過去を解決するのを手助けした後、神田は「…礼を言う。アレン・ウォーカー。お前がいてくれて助かった」と微笑む。まさしく2巻で描かれた展開が素晴らしい形で昇華された名シーンであった。
そのような展開を見せる本作において、リナリーの「何度だって助けてやるんだから!」が、23巻の後悔で終わるとは考え難い。彼女が本当の意味でアレンのことを助ける展開がくる可能性があるのではないだろうか。その時に彼女の中にあるアレンのことを心配する気持ちがどのような発展を見せることになるのか、アレリナファンとしてはちょっと期待したいところである。
ちなみに、小説版では、リナリーの好みの異性のタイプはアレンのような人と明かされてもいる。
エピソード・巻ごとの様子
1巻
アレンが黒の教団に入団。彼を最初に案内してくれたのが、室長助手兼エクソシストのリナリーであった。
以降、何かとリナリーの方がアレンのことを気にかけたり、一緒に任務に行ったりするようになる。
3巻
黒の教団室長でありリナリーの兄でもあるコムイのつくったロボット・コムリンが暴走。「黒の教団壊滅未遂事件」が起こる。
ここでは、意識を失って倒れていたリナリーをアレンが背負って必死に逃げる展開や、「アレンくんの声が聞こえた…」と言ってリナリーが目覚める展開があるのが大変美味しい。さらに事件解決後には、リナリーが「おかえりなさい。アレンくん」と笑いかけ、アレンが「た、ただいま…」と言いながら(かわいいな)と思う展開もあり、ここでアレリナに落ちたという方も多いだろう。
この巻では他にも、2人が「巻き戻しの街」の任務に臨んだ姿も描かれている。
「先輩リナリーと新人アレン」という関係から生まれる2人のやりとりが全体的に美味しいのだが、特に印象深いのがリナリーがアレンの頰を叩いて叱ったシーンである。
自爆するように命じられたAKUMAに内蔵された魂を救うために、自分の命も顧みずに飛び出してしまったアレン。リナリーはそんなアレンを引き止めてその命を守ったのだが、AKUMAの魂が消滅してしまったことを知ったアレンからは「何で止めた!!!」と怒鳴られてしまう。リナリーはアレンの頰を思いきり叩くと、「仲間だからに決まってるでしょ…!!」と言って涙を零すのである。
その過去と優しさ故に、アレンは他者を悲しみから救うためなら自分を犠牲にしてしまいがちな少年である。リナリーがその彼の命を助け、自己犠牲的な在り方を叱った名シーン。これぞアレリナと言いたくなるようなシーンであった。
4巻
リナリーがまだ「巻き戻しの街」での一件を怒っていることに気がついたアレンは、「あの時のこと…すみませんでした」と言って深く頭を下げる。
リナリーはアレンの自分ひとりを犠牲にしようとする戦い方を叱り、「私達、何のために仲間なの?」と尋ねる。そして、AKUMAの魂が見えるが故にアレン自身に無茶をさせる「アレンくんの左眼なんかキライ…」と言って涙を流すのである。
アレンにとってこの左眼は、AKUMAにしてしまった養父・マナからの呪いを受けたものであると同時に、彼から確かに愛されたという証でもある。言わば、今のアレンの生き方の道標となっているものであるが、それに対してリナリーは真っ向から怒りをぶつけたのである。
「ごめん…。リナリー、助けてくれてありがとう」と言うアレンに対し、リナリーは「何度だって助けてやるんだから!」と言い放つ。そのままリナリーが去っていってしまった後に、アレンが微笑んだのが印象深い。
前述した通り、この「何度だって助けてやるんだから!」という台詞は、その後6巻でアレンを助けられなかったリナリーの後悔、さらに22巻で教団を去るアレンに対して何も言えなかったリナリーの後悔に繋がってくる。その後のリナリーからアレンへの気持ちの軸となる重要な場面であった。
6巻
咎落ちしたエクソシスト・スーマン・ダークを狙って、大量のAKUMAが襲来。
その大群に取り込まれてしまったアレンを、リナリーがイノセンス「黒い靴(ダークブーツ)」の能力を駆使して助け出す様は必見である。その後に2人が手を繋いだまま「は、速いね、リナリー」「ごめん。大丈夫だった?」「うん!」というやりとりをするのが大変かわいい。
その後、スーマンが咎落ちしたことを知ったリナリーは、過去に黒の教団で行われた凄惨な実験を思い出して崩れ落ちてしまう。アレンがそんなリナリーを支えるために軽く抱き寄せた様、リナリーがアレンの団服の腕部分を縋るように握る様もまた2人の信頼関係を感じられるので必見である。
2人はスーマンを救おうと決意するが、スーマンの中に取り込まれていた一般人の少女を助け出したアレンは逆にその中に取り込まれてしまい、リナリーは呼吸が止まっているその少女を助けるためにアレンの傍を離れることになる。
スーマンを救うためにアレンは自分自身の全てを賭けるのだが、スーマンは精神崩壊をしたあとにノアの一族の1人・ティキ・ミックによって殺されてしまい、アレンもまたイノセンスを破壊されて死にかけることになる。こうしてアレンはリナリーたちの元から離れることになり、リナリーはアレンのことを助けられなかったことを強く後悔することになったのであった。
8巻
リナリーがレベル3のAKUMAと命を賭けた激闘を繰り広げた名展開。
その途中で回想として差し挟まれた第69夜は、もはやアレリナファンにとっては伝説と言っても過言ではないだろう。
リナリーは黒の教団の仲間たちのことを自らの「世界」だと思い、それを守るためにエクソシストとして戦っている。その「世界」が滅ぶ夢を毎晩のように見るようになってしまった彼女は、目を覚ましたときにアレンがいなくなっていることに気づき、嫌な予感がして探しにくるのである。
左眼の疼きを隠そうとしたアレンが後ろに下がったとき、リナリーは彼が闇の中に消えてしまうように感じてその手をとる。そして彼から「怖い夢でも見たんですか?」と尋ねられた彼女は、なんと涙をこぼしながら彼の胸に飛び込んでしまうのである。
この時のアレンががっちがちになりながらリナリーの背をぱんぱんと叩く流れは、悶えざるをえないので必見である。
6巻でいなくなったアレンは必ず生きて戻ってくると信じることに決めたリナリーは、レベル3のAKUMAに命がけで打ち勝った末に、イノセンスを使用できない状態に。さらに長い髪も焼失してベリーショートになる。この巻に収録されたスタッフ紹介ページには、アレンとベリーショートになったリナリーが学生服のような格好をして並んでいる姿が可愛く描かれているので必見である。
10巻
エクソシストたちの宿敵である千年伯爵に囚われ、危機的な状況に陥ったリナリー。それを見事に復活を果たしたアレンが後ろから抱えるようにして助けるという美味しすぎる展開がここでは見られる。
リナリーが目を覚ましたとき、アレンは「すみません。すみませんでした、リナリー」と言って、これまでのことを謝罪。リナリーは「どうして謝るの…?」と言い、彼の頰に手を添えながら「スーマンの心はきっとアレンくんに救われてた…」と言うのである。
命を賭けてもスーマンを救えなかったことはアレンの心に深い傷を残していたはずだが、アレンがスーマンの名前を出さなかったにもかかわらず、リナリーは自らアレンのことを思いやってその傷を癒したのである。
「おかえりなさい。アレンくん」と言ったリナリーに対し、アレンが「ただいま…リナリー」と、彼女の手に自らの手を重ねながら涙を流したのも納得であった。
ちなみに、2006年版アニメでのこのシーンのBGMは、2人をイメージしてつくられたという「恋心」という曲である。
11巻
方舟内でノアの一族の双子・ジャスデロ&デビット(2人合わせてジャスデビ)と戦うことに。
リナリーがジャスデビに捕われてしまったことを知ったアレンは、ここで珍しく極めて焦った憤りの表情を見せる。ヘドロのような怨念の塊から抜け出したアレンは「リナリーから離れろっ!!」と言い放ち、デビットは「おおっ!? 奴の地雷を踏んだか!?」と思う。まさしくリナリーが危険にさらされることがアレンの地雷だと判明したシーン。
その後、エクソシストの1人であるクロウリーを残して、アレンたちは先に進むことになる。彼の身を案じて戻ろうとするリナリーをアレンは制し、「ダイジョーブですッ」と言いながら彼女の両頬をぷにっと包む。そして「いつも強いリナリーらしくないですよ。僕よりお姉さんでしょ? リナリー」と言ってにこっと微笑むのだが、シリアスな展開ながら、ファンにとっては「痴話喧嘩かな?」と思わざるを得ないシーンであった。
12巻
8巻の戦いの影響で足に痛みを覚えているリナリー。アレンは彼女のペースに合わせ、その手を紳士的に引っ張りながら長い階段を上っていく。
イノセンスを使えなくなっているリナリーは、心まで戦えなくなるのはダメだと「頑張らなきゃ」と口にする。それを聞いたアレンは足に無理をしているのだと思い「おぶる!!」と言い出す。
物語序盤ではリナリーがアレンを守る展開が多かったが、この頃はリナリーが戦えないこともあり、アレンの方が彼女を守ろうとする展開が多いのが特徴的である。
13巻
崩壊が進んだ方舟の中にまだ仲間たちが残されていることを心配したアレンは、自分だけが残って助けにいこうと思い始める。リナリーは彼の気持ちを言い当てて自分も残ろうとするが、アレンはこの場にいるメンバーの中では自分が一番動けるからリナリーたちは先に外に出てほしいと言って微笑んでしまう。
「ひどいって思ってるよ…っ。アレンくんはいっつもそうやって笑う…っ」と、リナリーが流した涙を指で拭うアレン。そうして2人は、お互いが仲間を大事に思っている気持ちを重ね合わせるかのように手を繋ぐのである。
10巻から始まる「方舟編」は、2人の手のコミュニケーションが多いのが特徴的である。頰と髪に触れる、両頬を挟む、手を引く、指で涙を拭うなど、お互いを思いやるが故に生まれるコミュニケーションの数々は必見である(アレンがリナリーを抱きかかえたり、リナリーの危ないところで敵の攻撃を止めたりするなどの場面ももちろん美味しいが)。
16巻
黒の教団本部がレベル4のAKUMAに襲われる大事件が発生。
リナリーが戦う覚悟を示したことで、彼女のイノセンスは「装備型」から「結晶型」に進化。イノセンスを取り戻した彼女が、レベル4の腕に降り立ってアレンを助ける流れはカッコよすぎるので必見である。
なんといってもこの巻の見どころはアレリナの共闘。序盤ではアレンがリナリーに守られ、方舟編ではリナリーがアレンに守られることが多かったが、黒の教団本部という互いにとって大事な「ホーム」を守るため、2人はここで肩を並べて全力でレベル4に挑むことになる。
アレンが倒れたレベル4の腹に退魔の剣を突き刺そうとしたとき、レベル4は手でそれを防ぎ「ふ、ざんねんでした」と笑うが、アレンは「どうかな?」と笑い返す。そこで上空からリナリーによる追撃がくるのである。リナリーがアレンからの信頼に見事に応えたシーンであった。
17巻
黒の教団本部が移転することになり、アレンは一足早く船に乗ってそちらへ行くことになる。
その船の上で、アレンはジョニーから、彼やリナリーなどのよく話す人の前では敬語が外れてきていることを指摘される。
アレンが敬語で話すのは「マナの仮面」を被っているためである。彼はAKUMAにしたマナを破壊した時の精神的ショックから、まるでマナを真似しているかのような紳士的で丁寧な言葉遣いをするようになった。
アレンが他の団員たちに比べてリナリーにより大きく心を開いていることがわかるシーンであり、その後に「いいじゃない。私敬語じゃないのスキ!」と言ったリナリーに対して、アレンが「す、すきって…」とちょっと照れるのも美味しい。
新本部に着いた後、中央庁の人間に1人連れていかれたアレンは、師匠のクロス・マリアンから「14番目」のノアメモリーを宿していることを告げられる。その後にアレンが、彼のことを心配していたリナリー・ジョニーと、ソファで肩を寄せ合うようにして眠るシーンがあるのが微笑ましい。
アレンの抱える事情がより複雑で重いものとなり、リナリーが彼を心配する気持ちがより大きく膨らむことになった巻であった。
19巻
大怪我を負って熱を出したアレンが自室で寝込むことに。彼が目を覚ましたときにその隣のベッドで眠っていたリナリーも目を覚ますという、アレリナファンであれば思わずドギマギせざるを得ない展開がここでくる。
アレンのことを心配したリナリーは、任務帰りにわざわざ部屋までお見舞いに来てくれたのである。そのまま隣のベッドでうたた寝をしてしまったわけだが、2時間以上爆睡してしまったところから察するに、怪我だらけの身体で本当に疲れきっていたのだろう。それでもアレンの部屋まで行って、思わずうたた寝をしてしまうくらいに長く留まったことから、いかに彼女がアレンのことを心配していたのかが窺える。
この時、アレンは「14番目」への目覚めの片鱗を見せるのだが、リナリーから名前を呼ばれて元の自分に戻る。それを目撃したリナリーが上に報告せずに胸にしまったことからも、彼女がアレンのことを心配し、守ろうとしていることがわかる。
22巻
アレンは自分の運命と向き合うために黒の教団から去ることを決意。
リナリーは「黒い靴」を発動させて全力で彼のことを追いかけ、彼が方舟のゲートをくぐって旅立つ前に追いつくのだが、彼の笑顔からその決意を悟ると、何も言えなくなってしまう。
アレンはここまで追いかけてきてくれたリナリーのことを抱きしめ、「何があっても僕はエクソシストだ。進む道は違っても、それは変わらないから」と約束。涙を流しながら崩れ落ちてしまった彼女に手を伸ばしながら「リナリーやみんなのいる教団が大好きだよ。僕のホーム。これからもずっと」と告げると、方舟のゲートをくぐって旅立っていったのであった。
ちなみに、2016年版アニメでは、この別れのシーンに
・アレンがリナリーを抱きしめる時間が原作よりも長い
・リナリーが抱きしめられている間に、アレンの耳元にわずかに頰をすり寄せる
・リナリーが崩れ落ちた後に、アレンが彼女を軽く抱きしめ直す
などの変更が加えられている。
……アニメスタッフはいったい原作から何の行間を読んだんですか……?
23巻
アレンが黒の教団から旅立ってから3ヶ月が経過。
リナリーが同じエクソシストのマリに対し、旅立つアレンに対して何もできなかった自分を責めている気持ちを吐露し、彼からたとえ離れ離れになってもその絆がなくなってしまったわけではないと励まされる。
ファンとしては、リナリーにはアレンがこれ以上無茶をしないように捕まえて離さないか、ファンブック「キャラグレ」に書かれている通り、彼のことを蹴っ飛ばすかしていただきたいものである。
25巻
精神世界の中で、アレンは師匠のクロス・マリアンから「苦しみの生」か「安らかな死」かという選択を迫られる。黒の教団やノアの一族などから逃げ続けなければならない危機的な状況、「14番目」によって自我が侵食されていく恐怖などによって精神的に追いつめられていたアレンは、マナとの思い出の中で安らかになれる死を選びとってしまいそうになる。
しかし、ここでアレンはリナリーの顔と、彼女と交わした「何があっても僕はエクソシストだ」という約束を思い出し、苦しくとも生きる道を選択する。
『D.Gray-man』というタイトルの通り、アレンは「白」と「黒」の間にある「灰色」の男である。エクソシストでありながらノアメモリーを宿し、生きていながらAKUMAに心惹かれてしまう。常に「生」と「死」の間を揺れ動く危うさがある。その彼の心が本格的に「死」へと傾いてしまったときに、彼の心の中にいるリナリーが彼を「生」へと繋ぎとめたのである。
23巻でリナリーはアレンを助けられなかったことを悔いていたが、一番大切なときにアレンのことを間接的に助けてしまったのである。アレンにとってリナリーがいかに大事な人であるかがわかる展開であった。
26巻
本編にアレリナ展開があるわけではないが、談話室でアレリナ界には小型爆弾が落とされた。
「ティーンズはそれぞれどんな匂いがするか」という話題で、アレンは「お菓子のように甘い匂い」、リナリーは「花のような香り」がすることが判明したのだが、なんとここでリナリーが傷跡を薄くするボディオイルをアレンに塗ってあげたという話が出てくる。
「体の傷が増えたねー」みたいな話をしたことをきっかけに、リナリーが自分用に使っているボディオイルをアレンに勧めて塗ってあげたらしいのだが、何がどうなってそんな話題になっていったいアレンの身体の何処に塗ってあげたのか。
アレンは談話室でその話をした後に「下心はない! ないですから!」と主張するが、26巻で判明した事実としてリナリーはハンドケアを日常的に頑張っており、そんな柔らかい手でボディオイルを塗られていったいどんな気持ちになったんだ。
この談話室ではさらにリナリーの「人を癒す属性」が強調されている。そんな属性のある彼女が「傷跡を薄くするボディオイル」を、心も体も傷だらけのアレンに使ってあげたという事実は、今後アレリナ的には大きなポイントになってくるかもしれない。
余談
・2006年版アニメのオリジナル展開でも2人の美味しいシーンはいくつか存在する。例えば小説版に収録された話を元にしてつくられた「魂を売る者・前編」という回。この話では本来リナリーは登場しないのだが、アレンはリナリーと共に、彼が以前世話になった教会を訪れており、そこの使用人のバーバから「アレンが嫁さん連れて帰ってきた!」と勘違いされて、2人がちょっと顔を赤くする展開が見られる。他にも存在するので、気になる方はアニメもチェックしてみていただきたい。
・作者のインスタグラムのアカウントにて、2019年6月22日にアレリナのイラストが再掲された(ファンブックの「灰色ノ記録」にカラーシールとして収録されたイラストである)(インスタグラムの投稿はこちら)。そのイラストに添えられたコメントによれば、「リナリとアレンのコンビってすごく癒し。だってカワイイんだもん」なのだとか。アレリナは作者曰くのカワイイ癒し系コンビである🍡👠
・2019年10月24日に発売された「ジャンプSQ RISE 2019.AUTUMN」の表紙を、なんとアレリナ(+ティムキャンピー+(おそらくリナリーの)ゴーレム)が飾った。これは記念すべき初のアレリナのカラーイラストであり表紙である。時期的にハロウィンということもあり、給仕スタイルのリナリーと狼男姿のアレンが背中合わせに並んだなんともかわいらしいイラストとなっている。星野先生のインスタグラムによれば、星野先生自らがリクエストしてこの2人のハロウィンイラストを表紙にしたのだとか(このカラーイラストのラフも見られるインスタグラムの投稿はこちら)。
星野先生はインスタグラムに吸血鬼衣装のアレンが魔女衣装のリナリーをお姫様抱っこするハロウィンアレリナのイラストを投稿されたことがある。他にも、カボチャの被り物を持ったピエロ衣装のアレンと悪魔の羽と角のあるティムキャンピー、狼男姿のラビとミイラ男姿のジョニーが一緒にいるハロウィンイラストも投稿されたことがある(どちらも見られるインスタグラムの投稿はこちら)。おそらく今回の表紙でアレンが身につけている狼男衣装は、この時のラビの衣装と同じものだと思われる。ちなみに、この狼男衣装にはトゲ付きの首輪があってそこから鎖が伸びているのだが、今回の表紙の鎖のラインをたどってみるとリナリーの方に伸びているように見え……、なかなか妄想をかきたてられる楽しいイラストとなっている🍭
・2020年2月20日、星野先生のインスタグラムにリナリーの誕生日イラストが投稿された。空を見上げるリナリーと、一輪の薔薇を持ってリナリーを優しく見つめるアレンが描かれた素敵なイラストなので、アレリナファンは必見である(インスタグラムの投稿はこちら)。
薔薇全般の有名な花言葉は「愛」であり、1本の薔薇には「一目惚れ」「あなたしかいない」という意味がある。23巻でマリから「どんなに離れても我々は繋がっている」と励まされたリナリーが微笑みながら空を見上げ、アレンがその薔薇を持ちながらリナリーを想っている姿が描かれていることには想像を膨らませざるを得ない🍡🌹👠
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