概要
アンテオサウルスは古生代ペルム紀に生息したディノケファルス亜目の1種。
最大全長は4メートル以上に達したとされる(5~6メートルあったとも)。恐らくは当時における最大の陸上捕食動物であり、陸上生態系の頂点に立っていた。肉食性単弓類としても、それまでに現れた中では最大級だったことだろう。恐らくは他の草食性ディノケファルス類などの大型動物を狩っていた。
化石は南アフリカで産出され、頭骨は80cmにも達する大きさ。ティラノサウルスに非常によく似た分厚いがっしりした頭骨が特徴で、切歯や門歯が非常に頑丈だったとされる。胴体から後ろの化石はあまり状態のよいものが見つかっていないが、尾が長く、祖先の盤竜類にも似た幾分原始的な体型だったと推定されている。目の上から鼻の上にかけては非常に骨が分厚くなっており、この肥大した部位を仲間同士で見せつけあったり、時には闘争でのぶちかましに使っていたのではないか?と推測されている。
ペルム紀前期末の大量絶滅でディメトロドンやその近縁種が滅んだ後に、アンテオサウルスはその後釜に座る形で進化したが、比較的短命のうちにペルム紀中期末の大量絶滅で滅んでしまった。彼等の後釜に座るべく進化したのがイノストランケビアやその近縁種である。しかし、そのイノストランケビアもペルム紀末期の大量絶滅で消え去った。
頭骨を除けばあまり良好な化石がないせいか、あるいはディメトロドンのような派手な帆や、サーベルタイガーとワニを足して割ったような姿のイノストランケビアのようなインパクトがないせいか、アンテオサウルスは古生物ひいては単弓類の中でも比較的マイナーな扱いである。ディノケファルス亜目の代表種としてあがるのはもっぱら、モスコプスやエステメノスクスのような草食種や雑食種ばかりである。
尚、恐らく半直立姿勢かつ四脚歩行で、ティラノサウルスを彷彿とさせるごつい頭部を持っていた、という共通点をもつものとして、ペルム紀の次の時代である三畳紀の覇者ラウィスクス類(ワニに近い爬虫類)がいるが、ある意味で彼等はアンテオサウルスに収斂進化した動物だったと言えるかもしれない(尚、ラウィスクス類も後釜に座ることになる恐竜に比べて遥かにマイナーである…)。