概要
SFテレビドラマ・映画『スタートレック』シリーズに登場する恒星間宇宙船、もしくは『スタートレック』シリーズのうち一つのTVドラマシリーズ『スタートレック:エンタープライズ』のこと。
ドラマシリーズの詳細については該当記事を参照。
「エンタープライズ」の名を持つ深宇宙探査用宇宙艦はシリーズを通して複数登場しており、いわゆる主役艦として扱われている(例外もある)。また、円盤型の「第一船体」と推進機関ワープナセルを有した葉巻型の「第二船体」が連結したような形状であることが多い。
歴代エンタープライズ
エンタープライズ NX-01
登録番号 | NX-01 |
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クラス | NX級 |
活動期間 | 2151年~2161年 |
船長 | ジョナサン・アーチャー大佐 |
全長 | 225m |
所属 | 地球連合宇宙艦隊 |
『スタートレック:エンタープライズ』に登場。地球初のワープ5(光速の215倍)船。
2151年4月就航。アーチャー大佐の指揮の下、地球人初の深宇宙探査を成功させた。
円盤状の第一船体に円筒形のワープ・ナセルという、後の惑星連邦宇宙艦隊の基本となるデザインの元祖だが、葉巻型の第二船体はまだ持たない。余談になるがシーズン5以降の放送が叶えば第二船体部を追加改装した「コロンビア級エンタープライズ」が登場する予定だったという。
自衛用の武装としてプラズマキャノンや空間魚雷を搭載していたが、他文明との戦闘では無効化されることが多かったので、後のフェイザーや光子魚雷の前身にあたるフェイズ・キャノン、光子性魚雷などの高性能な武装へ強化されていった。また、防御は分極メッキ装甲に依存しており、小型船の回収・捕獲などにはロープを射出して目標を捕縛するグラップラーという機器が使用されていた。
就航から2155年まで時間冷戦に巻き込まれ、2156年~2159年にはロミュラン人との戦争を経て、対立しつつ共存していたヴァルカン、アンドリア、テラライトなど近隣諸国を融和へと導き、2161年の惑星連邦成立の礎となった。
2156年以降のどこかで大規模な改装を受けて第二船体が追加されており、その後2161年に退役。2401年の時点でエイサン星系の艦隊博物館にて展示されている。
USSエンタープライズ NCC-1701
登録番号 | NCC-1701 |
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クラス | コンスティテューション級 |
活動期間 | 2245年~2285年 |
船長 | ジェームズ・T・カーク大佐 |
全長 | 289m→305m |
所属 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
『宇宙大作戦』や劇場版などに登場した「初代エンタープライズ号」。改装や歴史改変でちょくちょくデザインが変わる。
ロバート・エイプリル(アニメで言及)、クリストファー・パイク(パイロット版)指揮を経て、2264年からジェームズ・T・カーク大佐の下行われたファイブ・イヤー・ミッションは多大な功績を残し、艦隊で最も名高い艦となった。
NX-01から100年後の艦だけあって装備も進化しており、後のシリーズでも基本となる光学兵器フェイザーや、光子魚雷と呼ばれる反物質ミサイルを装備している。また、ディフレクターシールドにより防御力が大幅に増したほか、トラクタービームも搭載されているが、敵性文明がより優れた技術を有している事が多く、装備を無力化されつつも船長やクルーの機転で危機を切り抜ける事が多かった。
そもそも、これらの装備は「超光速航行時の障害物除去」の為であり、武装ではない。
何故かと言うと、この時代は戦争が消滅し資本主義による貧富の差すら無くなった理想世界が実現しており、惑星連邦に所属するエンタープライズの目的は「未知の世界を探索する」という純然たる学術的基準に基づいているからである。
(補足すると、本世界の超光速航法は現実世界において「ワープフィールド」と呼ばれる『繭』を何重にも纏って光速より速い時空間を構築する事で、相対性理論を回避している。ディフレクターやフェイザー、光子魚雷は進行方向の障害物を除去するために装備しているのである)
2273年(劇場版第1作)に大規模な改装が行われ、大きく外見が変わり、システムも大幅にアップグレードされた。その後2285年までには練習艦となっていたが、同年に惑星ジェネシス上空でクリンゴン艦と交戦し、カークは最後の一手として降伏を装って敵クルーをおびき寄せ、自分たちはジェネシスに脱出したうえでエンタープライズを自爆させた(劇場版第3作)。
ケルヴィン・タイムライン
登録番号 | NCC-1701 |
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クラス | コンスティテューション級 |
活動期間 | 2258年~2263年 |
船長 | ジェームズ・T・カーク大佐 |
全長 | 366m?/725m? |
所属 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
劇場版第11作以降のリブート版では歴史が分岐しており、エンタープライズの外見も大きく異なるものとなった。
劇中でサイズが厳密に定められておらず、シーンによって異なって見える。
2258年のヴァルカン星襲撃事件にあたって式典を後回しにしてクリストファー・パイク大佐指揮で処女航海(緊急出動)。事件解決後、カーク少尉の功績が認められ大佐に特進したカークの下で正式就航した。
2259年にはジョン・ハリソン=超人類カーン・ノニエン・シンが操るU.S.S.ヴェンジェンスとの戦闘で大破するも勝利し、カーンを再度冷凍冬眠状態に置く。
2263年4月、惑星アルタミッドにてクラール(実は2160年代に失踪していたバルザタール・エディソン大佐)の攻撃機群にはフェイザーや光子魚雷は小さすぎ&多すぎで有効打にならず、為す術もなく撃沈されてしまう。艦を失ったカーク以下クルーたちはその後、現地に不時着していた旧型艦USSフランクリンを利用してクラールからヨークタウン宇宙基地を防衛した。
USSエンタープライズ NCC-1701-A
登録番号 | NCC-1701-A |
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クラス | コンスティテューション級改 |
活動期間 | (ヨークタウンとして2240年代~)2285年~2293年 |
艦長 | ジェームズ・T・カーク大佐 |
全長 | 305m |
所属 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
劇場版第4作~第6作に登場。
カークは命令違反でのジェネシス侵入、エンタープライズの強奪やUSSエクセルシオへの破壊工作、命令不服従などいくつもの軍規違反を犯して軍法会議にかけられたが、その直前に地球を救った功績が認められ、少将から大佐へ降格のみにとどまり、修理中だったUSSヨークタウン(NCC-1717)を改名してカークと部下たちの乗艦とした。これ以降宇宙艦隊では"USSエンタープライズ NCC-1701"のナンバーを後世の艦に末尾のアルファベットのみを更新して引き継いでいく慣例が生まれることになる(他の艦名の場合はナンバーまでは引き継がない。例としてUSSディファイアントの場合、NCC-1764→NX-74205→NCC-75633とナンバーは変わっている)。
2293年、惑星キトマーで行われたクリンゴン人との和平会議に参加し、その陰で実行されようとしていたクリンゴン、惑星連邦両総裁の暗殺計画を阻止した一件を最後に退役した。
その後はNX-01などと共に博物館入りしている。
ケルヴィン・タイムライン
登録番号 | NCC-1701-A |
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クラス | コンスティテューション級(強化型) |
船長 | ジェームズ・T・カーク大佐 |
所属 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
劇場版第13作ラストシーンにのみ登場。
ヨークタウン基地襲撃事件後、基地で建造されていた新型艦に急遽エンタープライズの名称と登録番号を引き継がせて就航した2代目エンタープライズ。先代撃沈時に狙われたナセル・パイロンやドーサルネックなど各部が改良されている。
USSエンタープライズ NCC-1701-B
登録番号 | NCC-1701-B |
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クラス | エクセルシオ級 |
活動期間 | 2293年~2332 |
艦長 | ジョン・ハリマン大佐 |
全長 | 469m |
所属 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
劇場版第7作『ジェネレーションズ』冒頭に登場。エクセルシオ級の小改造艦。
処女航海で難民船SSラクールの乗員を救助したが、処女航海故に装備や乗組員が完全でなかったため手間取ってしまい、同乗していたカーク大佐が殉職してしまう事件を起こした。
その後は17の種族とファースト・コンタクトを果たし、星図を拡充した末に円満退役を迎えた。
原型となったエクセルシオ級のデザインコンセプトは、「(アメリカでのステレオタイプに沿った有能だが杓子定規な)日本人がエンタープライズを設計したら」とされているが、逆にその装飾性を排したシンプルな機能美からファンも多い。
USSエンタープライズ NCC-1701-C
登録番号 | NCC-1701-C |
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クラス | アンバサダー級 |
活動期間 | 2332年~2344年 |
艦長 | レイチェル・ギャレット大佐 |
全長 | 526m |
所属 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
『新スタートレック』「亡霊戦艦エンタープライズ"C"」に登場。
2344年にクリンゴンの植民星からの救難信号を受信し、そこでロミュラン艦4隻と交戦して撃沈、クルーも全滅した。この事件により惑星連邦とクリンゴンの友好関係、およびクリンゴンとロミュランの決裂が決定的なものとなった。
しかしこの時、高エネルギーの集中で時空に裂け目が発生、エンタープライズCがそれを通って22年後の世界に出た結果、ロミュラン艦との戦闘の事実が歴史から消え、連邦とクリンゴンの関係が悪化して戦争が発生。惑星連邦は滅亡の危機を迎えてしまう。
だが、エンタープライズDの活躍で歴史改変を知ったエンタープライズCのクルーたちが、自らの死を承知で2344年へ戻ったことで歴史の流れは再修正された。
USSエンタープライズ NCC-1701-D
登録番号 | NCC-1701-D |
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クラス | ギャラクシー級 |
活動期間 | 2364年~2371年 |
艦長 | ジャン=リュック・ピカード大佐 |
全長 | 642m |
所属 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
テレビシリース2作目『新スタートレック(TNG)』の主役艦。ギャラクシー級3番艦。
長期間の航宙調査任務に耐えるべく設計され、探査用の設備はもちろん娯楽施設などのクルーの福利厚生も充実し、さらには民間人である家族まで同乗させられる程度の生活環境維持性能を有し乗員は1000人を超える。
最大の特徴として船体分離機能を持つ。これは非常時に居住区画である円盤部第一船体を分離させ、主な武装や機関部を備えた第二船体で対処に当たるというものである。が、対ボーグ戦に於いては分離した第一船体側と第二船体側とで二方向攻撃の奇策を行った事もある(この戦術は後にプロメテウス級などに端を発する船体分離多方向攻撃システムとして確立する)。
また、ホロデッキと呼ばれる仮想現実システムを搭載しており、艦内に居ながら惑星上で生活している様な体験をしたり、自在な創作世界を作り出すことでクルーに娯楽を与え、閉鎖空間居住ストレスを抑えることが出来る。その反面、ホロデッキが原因となって騒動が起こる事もあった。
ピカード大佐によるセブン・イヤー・ミッションは銀河系内のヒューマノイド種族の起源を発見するなどの功績を残したが、同時にボーグなどの恐るべき敵対生命体種族、敵対的惑星国家にも遭遇し、以後、宇宙艦隊は軍事面の見直しを迫られることになった。
多くのミッションを成功に導いたものの、最後はクリンゴン帝国の過激派との戦闘で敵の策にかかって大ダメージを受け、敵艦を撃破するも第二船体が爆発。直前に分離した第一船体もヴェリディアン3号星に不時着し、就航8年で艦歴を終えた。
7年に渡ったシリーズと劇場版一作に登場したことで、『画面に映った期間が最も長いエンタープライズ』でありながら、作中世界において『最も短命であったエンタープライズ』でもある。
ほぼ原形を保っていた第一船体は回収され(放置した場合、4号星の住民が数百年もすれば惑星探査を始めて発見してしまうであろうためでもある)、退役した同型艦とニコイチした上で艦隊博物館にて展示に向けて修復・整備が進められていたが、修理中の旧式艦ゆえに艦隊の最新システムに接続していないことから2401年に発生したボーグによる宇宙艦隊乗っ取り計画を阻止するために再起動された。
なお、パラレルワールドの一つではウィリアム・T・ライカー提督が自らの専用艦として私物化しており、武装を大幅に強化した「ドレッドノート級」に改装したうえで、就航から32年後も現役で活躍しているという。
USSエンタープライズ NCC-1701-E
登録番号 | NCC-1701-E |
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クラス | ソヴェリン級 |
活動期間 | 2372年~ |
艦長 | ジャン=リュック・ピカード大佐 |
全長 | 685m |
所属 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
劇場版第8作『ファースト・コンタクト』~第10作『ネメシス』に登場。ソヴェリン級2番艦。
ボーグやドミニオンといった脅威に対抗すべく最初から戦闘用に設計されている為、当時最新鋭の従来の光子魚雷を凌ぐ破壊力を持つ「量子魚雷」の搭載といった武装面の強化や、ディファイアントに採用されている融除装甲、高速ワープ時の亜空間断裂を起こし難いワープシステムを装備している。また、戦闘任務を重視する様になった仕様の為クルーの家族は搭乗していない。
映像作品では『ネメシス』でロミュラン帝国最強の戦艦「シミター」との戦闘の際に受けた損傷を修理するシーンが現状最後の出番。
『Star Trek:Online』の設定では、その後生命体8472との戦いで撃沈され艦歴を閉じたとされているが、『Online』と『ピカード』は時系列が合わないためTVシリーズでの去就は現状不明である(『ピカード』の小説作品では2385年にウォーフが艦長になったとされているらしい。今後TVシリーズに反映されるかは不明)。
ただ、S3第9話でラフォージが「どう頑張っても(修復は)無理」、ウォーフは「あれは私のせいじゃない」と話していたことから破壊された可能性がある。
USSエンタープライズ NCC-1701-F
(中央の艦)
登録番号 | NCC-1701-F |
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クラス | オデッセイ級→ヨークタウン級(STO) |
活動期間 | 2386年~2401年/2409年~(STO) |
艦長 | ?/ヴァケル・ショーン大佐(STO) |
全長 | 1041m |
所属 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
MMORPG『Star Trek:Online』に登場。25世紀初頭の主力となる新世代艦である。
まず航宙システム関連では従来のワープドライブのみでなくU.S.S.ヴォイジャーが持ち帰った量子スリップストリームドライブを搭載し、従来より航続距離・速力が遥かに向上した。
戦闘面に関しては量子魚雷を標準装備し、更にプロメテウス級で確立した「船体分離多方向攻撃システム」の強化版を導入、第一、第二船体の分離のみでなく第二船体尾部に内蔵された専用の「アクエリアス駆逐艦」も用いて最大計三隻での多方向攻撃を可能としている。
その後『ピカード』が始まると、2285年を舞台とした前日譚コミックにSTOより就航時期が大幅に早められて同型艦が登場。
そして初登場から10年後、PICシーズン3にてついに映像作品に登場を果たす。
2286年に就航し15年にわたって活躍してきたが、とある惑星での難民輸送任務中にシステム中枢に大きな損害を受けてしまい、2401年4月の「フロンティア・デー(NX-01の出航記念日)」250周年記念式典に合わせて早期退役が決まっている。
式典では華々しくフォーメーションを披露してパレード航行を披露したが…
NPC艦であるが、プレイヤーも同型艦を使用可能。
外見デザインはプレイヤーから公募したもので、スタッフによる一次審査を経てプレイヤーによる投票で決定され、CBS監修のもとでクルーや内装が設定された「みんなで作ったエンタープライズ」である。
USSエンタープライズ NCC-1701-J
登録番号 | NCC-1701-J |
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クラス | ユニヴァース級 |
活動期間 | 26世紀 |
全長 | 3200m |
所属 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
『エンタープライズ』第3シーズン「爬虫類族の攻撃」に登場。
現状では最も未来のエンタープライズだが、劇中で具体的な艦の姿は描かれておらず船内図が少し映っただけ。登場した区画も船内通路だけなので、艦の全貌は不明である。
時間エージェントのダニエルスが、ある理由でアーチャー大佐を説得するため招いた。
球体創造者と呼ばれる異次元生命体による通常世界への侵略を阻止するための決戦に旗艦として参加し、勝利したという。
デザイナーのコメントによれば、娯楽施設のみならず公園や大学まで艦内に存在し、宇宙船というよりは一つの都市とも言うべき巨大艦だとされる。
関連項目
USSエンタープライズ NCC-1701-G
登録番号 | NCC-1701-G |
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クラス | コンスティテューションIII級(ネオコンスティテューション級) |
活動期間 | 25世紀 |
全長 | - |
所属 | 惑星連邦宇宙艦隊 |
ドラマ『ピカード』第3シーズン最終回のエピローグに登場。
旧艦名は"USSタイタン NCC-80102-A"。作中において、ピカード提督一行が搭乗し、物語の舞台となった"タイタン"そのものである。
ボーグによる宇宙艦隊同化事件でのピカードの活躍に敬意を表し、本艦は歴代「エンタープライズ」に加えられることとなった。
ちなみに、改名後の初代艦長はあのセブン・オブ・ナイン(直前に大佐に昇進のうえ、"タイタン"時代の副長職→艦長代理から引き継ぎ)。