もしかして
・1997年夏の東映アニメフェアに公開された映画→『キューティーハニーF(映画)』
・2016年に公開された映画『CUTIEHONEY-TEARS-』
概要
『新世紀エヴァンゲリオン』で一躍時の人となっていた庵野秀明監督が制作した永井豪原作の『キューティーハニー』を実写化した作品。『エヴァ』や実写映画『ラブ&ポップ』『式日』とは打って変わって、庵野は大衆観客に向けて開いた作品作りを心掛け、明朗快活なアクション映画となった。
主演は、佐藤江梨子。
本作品の最大の特徴は、アニメ独特のスピーディで迫力のある画を実写で再現すべく用いられた「ハニメーション」と名づけられた撮影手法である。これは、あらかじめアニメ製作同様に作画されたカットにしたがって、1コマずつ役者に実際にポーズをとらせて撮影するという、実写スチールを使ってアニメーション化したものである。実際の撮影には、かなり無理な姿勢をキープする必要があるため、主演の佐藤の体の柔らかさが大いに活きたという。
庵野が元々「デビルマン」などの永井の作品が好きなファンであることから、基本設定は踏襲しているが、「空中元素固定装置」にまつわる設定や、如月ハニーがOLであったり、「おにぎり好き」であることや、衣服をIシステムによって生成するので普段はブラジャーとパンティのみのランジェリー姿で過ごしているなど、コンプライアンス等の都合による原作との違いも見受けられる。
企画自体は2000年に上がり、2001年秋ごろ劇場公開予定だったが、ハニー役の選定に難航し、企画のリニューアルや予算見直しなどを余儀なくされる。ようやくハニー役が佐藤江梨子に決まったのは2003年で、そこからはスムーズに映画製作が進んだという。しかし、スポンサーにテレビ局がついた時点で、表現が放送コードの自主規制を受けることになった。
結果、完成までは4年を費やしたが、その間に佐藤の知名度が上がったことや、友情出演した倖田來未がカバーして歌った主題歌「キューティーハニー」の大ヒット、公開当時は人気漫画やアニメの実写映画が多数公開されたために話題になったことなどが追い風となった。しかし、映画制作費を前半の海ほたるパーキングエリアのパートで使い切ってしまい、庵野は後に「後半の映画制作が大変苦労した。」と語っている。
このように話題性は豊富だったものの、やはり実写映画の性故に映画興行成績は4億2000万円と制作費を上回ることができず失敗に終わり、元々ヒット作に恵まれていないこともあって制作会社のトワーニは倒産。本作品が、トワーニの製作する映画としては最後の作品となり、(結果的に)庵野が一つの制作会社にトドメを刺して倒産させる形になってしまった。それでも、後年においては「庵野監督のヲタク心を理解するには適任の作品。」「原作の要素を良い形で活かしているため、実写版デビルマンよりは遥かにマシ。」といった再評価の声が多い。(ただ、興行収入に関してはデビルマンの方が5億円と本作より8000万多かった。)