概要
ローマ神話に伝わる最高神の一人。後のローマ帝国の源流となる王政ローマを建国した伝説の王ロムルスが死後、神に祭り上げられた存在で、平和を司る。
現在、ギリシャ神話の主神ゼウスと起源を同じくするユピテルがローマ神話の最高神と解説される事があるが、古代ローマではユピテルとマルス(※1)そしてクィリヌスの三神を主神として崇めていた。(インド神話でいうところのトリムールティを思わせる概念である)しかし、時代を経るごとに全盛期ほどの知名度は無くなっていき、ローマで重要視される三神のうちマルスとクィリヌスはミネルヴァとジュノーに取って変わられた。(ユピテルが今尚、最高神と呼ばれるのもこの為である。)
ギリシャ神話に登場する神と同一視される事はないローマ神話オリジナルの神だが、未だに未解明な部分が多い神でもある。
一説によればマルスの一側面だとも言われている。平和の神が軍神の一側面と聴くと疑問符が浮かぶが、そもそもローマは軍人の殆どがローマの市民権を有する者達だったという背景や、マルスが農耕神という戦とは程遠い側面を持っていたという事情が絡んでいるものと思われる。ギリシャ神話においてもマルス(アレス)の娘に調和の女神ハルモニアがいる辺り、そうおかしい事でもないのかもしれない。武力無くして平和は維持できないという事なのだろうか。
ローマ市の近くにある七つの丘の内の一つ「クイリナーレ」の語源にもなっており、現在この場所にはイタリア大統領官邸が置かれている。王政ローマ最初の王が祀られた場所で当代のリーダーが職務をしているのは正に運命的と言えよう。ローマの神々への信仰が失れても尚、クィリヌスの加護はローマを守り続けているのかもしれない。
(※1)ギリシャ神話ではオリュンポス十二神と崇められているものの、そこまで重要視されていないアレス=マルスが何故、この三神に数えられたのかと言うと、ローマでは農耕神としての側面が強く、クィリヌス=ロムルスの父親だとされる為…要はローマ人にとってはかなり重要な神だったのである。
ちなみに、この三神はギリシャ神話的に見れば親子であり、マルスらに取って変わったミネルヴァとジュノーもまたユピテルの家族である。随分とスケールの大きい同族経営である。
創作作品では
ローマ神話という比較的日本人に馴染みのある神話体系の最高神に数えられながら、登場作品が全くと言っていいほどなく、むしろ生前の姿とされるロムルスの方がかなり有名な上に登場作品も多い。
そのマイナーさをわかりやすく伝えるとドマイナーな神霊や幻獣が登場するあの女神転生シリーズにも未登場といった具合である。そんなわけなので、現代日本の創作作品を調べてもヒットするのはほぼFate/Grandorderぐらいである。
ロムルスの神としての側面「ロムルス=クィリヌス」が登場。
本来、神霊である為に通常での召喚は不可能だが、諸々の条件が重なって召喚に応じた。クラスは国造りの槍の逸話があるためにランサーとなっているが、戦闘では徒手空拳である…どうしてこうなった。