概要
漫画『ベルセルク』に登場する国家「クシャーン帝国」のこと。
鷹の団が活躍したミッドランドから見て東方の大山脈の向こうにある大国。
ガニシュカ大帝が治める。
周辺の国々や部族を武力で制圧し築き上げられた強大な帝国。大帝曰く、地上で最大の版図(領土)をもつという。宗教などの文化はミッドランドはじめとする法王教圏と全く異なり、クシャ―ン人は一様に浅黒い肌で黒髪である。自然環境にもかなり相違があり、法王教圏では見られないゾウ、ワニ、トラなどの猛獣が生息するようで(劇中での描写はないが恐らくサイも。紫犀聖騎士団があるように作品世界にサイが存在するのは確実なため。またアドンの台詞によればスイギュウもこの世界にはいるようである。)、これを戦象のように通常の戦力とするばかりでなく、後述する魔道にも用いている。
外法で操る怪物・妖獣兵(ピシャーチャ)や「魔子宮」でつくった鬼兵(ダーカ)を戦力として自軍に組み入れている。
「魔子宮」とは使徒の体を繋ぎあわせ、羊水で満たしたもので、ダイバ曰く「人造のベヘリット」。配下の兵たちに強姦させ妊娠した女性を「魔子宮」に投げ込み、そこで胎児を鬼に変じさせる。変化した胎児は母親の腹を食い破り、その命と引き換えにダーカは誕生する。使徒が幽界に属する者であることを利用し、胎児を幽界に置くことで魔物に転生させる装置といえる。
また、猛獣を素体に妖獣兵と呼ばれる怪物・魔獣を生み出し、鬼兵と共に一種の生物兵器として「妖獣兵団」(ピシャーチャ・ガナ)という部隊を組ませ、魔導士らによって制御させており、主に夜襲などの特殊作戦や警備などに用いている。鬼兵を造るための捕虜確保も兼ねて絶え間ない侵略を行い続けて国を拡大させ(男性の捕虜は奴隷兵として使い潰していた)、遂には山脈を越えてミッドランドにまで攻め込んで来た。
百年戦争の間はミッドランド王国への干渉がほとんどなかったため、原作の「黄金時代篇」の間はほぼ出番がない(クシャ―ン出身だったことがのちに明かされた暗殺集団・バーキラカが登場する程度で、クシャ―ン帝国自体は存在を語られることすらなかった)。ミッドランド国王の崩御に合わせて大軍団をもって山脈を越え、侵攻を始める。王都ウインダムを占拠し、ミッドランドの多くの拠点を攻略。さらに迎撃せんと港湾都市ヴリタニスに集結していた法王教圏の連合軍をも強襲し圧倒しようとした。
上記のような魔物を使役する部隊のみならず、侵攻軍は20万を号する正規軍を擁し、歩兵、騎兵、戦象部隊、軍艦からなる大軍団である。一方で上述のようにクシャ―ン帝国自体が武力制圧と恐怖政治によって強大化した背景から、大帝や帝国に心服していないクシャ―ン兵も少なからず存在し、新生・鷹の団の捕虜となった際に転向・帰順した者たちも現れている。
モチーフは中世の南アジア。
また、1~3世紀ごろに現在の中央アジアから北インドにかけて栄えた「クシャーナ朝」というのもある。同朝3代目の王にカニシカ(カニシュカとも表記)なる人物もいた。