概要
馬や駱駝等と同様に人間が騎乗する形となるが、象の場合は複数の人間が騎乗して前に象を操る象使い、後ろに槍や弓を持った兵が乗る。
役割としてはその巨体を生かして高所の利を持って槍や弓で攻撃するのみならず、突撃して敵陣を踏み破ったり更に敵の兵や馬を威圧して恐怖感を抱かせて戦意を砕く目的としても使用され後年の時代には銃や大砲を載せる事もあった。
反面、騎馬と比較すると小回りは利きづらく制御を失って暴走する事もしばしばであり、大きな音や火に弱い、鼻が敏感なので悪臭にも弱いという弱点も持ち、脚の付け根がが柔らかいので、そこを突かれることもしばしばだった。
象に鎧を着せる場合もあったが、その場合は大抵ラメラーアーマーや鎖帷子だったので鎧の作成には大変な時間と労力がかかった。
また、象の調教・維持には多くの時間と金がかかるという欠点もあった。しかし、象はかなり長命な動物でもあるので、調教に成功さえしてしまえば(戦死したりしなければ)長きに渡って使用できるという利点もあった。
紀元前の古代ユーラシア大陸においては現在よりも象の生息域は広かった為、ユーラシア大陸各地で使用されており古代地中海世界ではカルタゴの名将・ハンニバルが戦象を率いてアルプス越えをした事が有名で、中国においても古代においては中原にて戦象が使用された記録が残る。
紀元後の時代は東南アジア・インドの歴代王朝が使用し、中世の終わり頃から火器の発達と共に、騎馬兵同様に戦線からは姿を消していくことになるも、巨大な身体を使っての後方での工兵活動や補給に携わり、自動車が登場、活躍するようになる20世紀初頭まで活躍した。
戦象に使用される象はその多くが飼い慣らしやすいインドゾウであるが、古代地中海世界の一部においてはマルミミゾウを使用していたという説がある。