CV:小室正幸
自由惑星同盟軍イゼルローン駐留艦隊の分艦隊司令官。
経歴
宇宙暦797年に自由惑星同盟で勃発した救国軍事会議のクーデターに対しイゼルローン要塞駐留艦隊司令官・ヤン・ウェンリー大将はこれに同調せず、救国軍事会議に従ったルグランジェ中将率いる第11艦隊と交戦する事となる。
このドーリア会戦で、グエンはすでに兵力を二分していた第11艦隊の本隊の右側面に切り込み役として突撃し、これを突破・分断することに成功し、包囲してのヤンの勝利に貢献した。
宇宙暦798年、司令官・カール・グスタフ・ケンプ大将、副司令官・ナイトハルト・ミュラー大将に率いられた帝国軍がガイエスブルグ要塞ごとワープアウトしてイゼルローンに襲来。
おり悪く、イゼルローン要塞に司令官は後述する理由により不在となっていた。
クーデター鎮圧に出動したヤンの演説を同盟首脳は問題視、査問会に出席させたことにより要塞司令官は不在、軍事的才能が皆無なイゼルローン要塞司令官代理・アレックス・キャゼルヌ少将は恐慌を起こしかけるが、ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ客員中将に艦隊の指揮権を移譲して出撃させ、グエンの艦隊もメルカッツの指揮下に入った。出動した駐留艦隊はメルカッツの指揮のもと、イゼルローン要塞後背から装甲擲弾兵の制圧部隊を送ろうとしていたミュラー艦隊を迎撃、痛打を与えて後退させている。
帝国軍の来襲を知った同盟首脳はヤンにライオネル・モートン少将、サンドル・アラルコン少将らが率いる五千隻ほどの援軍を与え、帝国軍に見えるように堂々とイゼルローン回廊に到着、ケンプはまず艦隊を率いて援軍を撃破した後にイゼルローン駐留艦隊に痛撃を与える各個撃破策をとったが、ユリアン・ミンツ曹長に作戦を読まれており、絶妙なタイミングでイゼルローンより出撃した要塞駐留艦隊と援軍艦隊は共に連携をとりケンプ艦隊を挟撃、ガイエスブルグ要塞に帝国軍を撤退させることとなる。このときも要塞駐留艦隊のなかにグエン艦隊の姿があった。
敗北を悟ったケンプは窮余の策としてガイエスブルグ要塞をイゼルローン要塞にぶつけることを思いつくがヤンに読まれ失敗、この結果、致命傷を負ったケンプが戦死し艦隊は壊滅、負傷したミュラーがわずかに残された敗残の帝国軍を率いて敗走するなか、グエンは援軍の一艦隊司令官であるサンドル・アラルコン少将と共にこれを追撃。深追いの果てに、帝国軍の援軍として派遣されていたウォルフガング・ミッターマイヤー上級大将、オスカー・フォン・ロイエンタール上級大将率いる艦隊の逆襲を受け、アラルコンと共にグエンは戦死を遂げた。(※)
人物
猪突猛進を絵に描いたような人物で、帝国軍・ビッテンフェルト大将を小型化させたような猛将と記述されている。しかし、ビッテンフェルトはいささか乱暴であっても、ちゃんと戦理をわきまえているのに対し、グエンにはそのような資質がなく「引くべきことを考えなかったために一流の将帥(ロイエンタール、ミッターマイヤー)に敗れることになった」とヤンはユリアンに語っている。
戦いを好み、ドーリア会戦で敵陣に先頭で切り込んで四方を敵に目の前にして「こいつはいいぞ! どちらを向いても敵ばかりだ! 撃てば当たるぞ!」の言葉は一部の部下の士気は上げたかもしれないが、ある部下の「頭の螺子が緩んでいる」という言葉に表される印象を与えるものであった。
司令官の冷静なコントロールさえあれば絶大な破壊力を振るえるとされるタイプであり、事実、ドーリア会戦、第8次イゼルローン攻防戦ではヤン、メルカッツの指揮の下、存分にその戦闘力を発揮している。
そして司令官の手綱を離れた時、ミッターマイヤーがこれがヤン艦隊なのかと呆れるほどの脆さを見せて戦死することとなった。(※)
旗艦はアニメ版では虎柄模様が印象的なマウリア。
(※)ただし、作中における戦死はいささか唐突な面があり、グエン自身も出撃前には冷静にメルカッツへの支持を表明し彼の指揮下では優勢になっても深追いしたり暴走することがなかったために、その後の命令無視の理由にも疑問や矛盾が生じている。
このことから、『元々、ストーリー構成ではアラルコンのみ暴走して戦死するはずだったが、ガイエスブルグ要塞の損失と艦隊の9割もの大損害を出してしまった帝国軍に対するヤン艦隊の損害のバランスを取るために構成を直さないまま、無理矢理殺された』とも推察されている。
関連タグ
南ベトナム - 名前の元ネタはベトナム共和国2代目大統領グエン・バン・チューである。