概要
八神コウと遠山りんのカップリングを指す。『NEWGAME!』本編には青ひふ・ゆんはじ・うみねねなど、分かりやすく組み分けされたカップリングが多数存在するが、本カップリングで特筆すべきは「作者の得能正太郎氏公認で百合(曰わく「他は友情」)」という点である。
イーグルジャンプには同期入社で同い年でもある2人だが、物語開始当初は「頼りになるベテラン先輩コンビ」といった具合で、特にそれらしい描写はなかった。しかし第8話(アニメ版では第4話)を契機に読者・視聴者に与えるイメージが一変する。
基本的にコウにぞっこんのりんがのろける、時には暴走するといったことが多く、鈍感なコウはそれに振り回されたり困惑したりするパターンが目立つ。
普段は「優しいお姉さん」といった感じのりんだが、一度コウが絡めば後輩相手でも容赦なく嫉妬心を剥き出しにするほど彼女への想いが強い。
コウが他の男性と親密になるのをりんが耐えられそうにないという点もグラフィックチームに男性がいない理由の一つとなっている。もっともりんはコウが親密になる相手が女性であっても許容できない様子である。
涼風青葉や滝本ひふみがコウと何気なく話しただけで不愉快になったり、コウが母親と電話するのを「彼氏ではないか」と邪推して聞き耳を立てたりしている。コウとひふみがコミュニケーションを取る練習のため互いに「ひふみん」「コウちゃん」と呼び合うようになった際は、ひふみに自分のことも「りんちゃん」と呼ばせるようになった。
本人も自分が嫉妬深いことを自覚しており、そんな自分を諫めようとはしているのだが、なかなか上手くはいかないようである。
そこまでりんに想われていても、ひふみににぶちん呼ばわりされるレベルで気付いていないコウ。だが、りんが風邪を引いた際には泊まり込みで看病し、クリスマスには時計、ホワイトデーにはブレスレットをプレゼントするなど、彼女を大切に想っている節はある。…というより「りんになら着替え(パンツ)を見られても平気」「(休日を過ごす上で)りんとならどこだっていい」とのたまうなど、明らかに只の同期と呼べるレベルからは逸脱しており、度々りんを赤面させている。
プライベートでは自堕落なコウのためにりんが頻繁に食事を作りに家に出向く。その他、お互いに箪笥の中身を把握しており、少なくともりんの家には会社に寝泊まりすることの多いコウの着替えが常備してあることがゲーム版で判明している。
また、2017年に行われたまんがタイムきらら系作品の集まるイベント「まんがタイムきららフェスタ!2017」で行われた寸劇では(職業体験の場故の疑似的なものであるが)なんと結婚式を挙げている。
なお、2人の馴れ初めに関しては未だに描かれておらず、これは「(仕事上の人間関係が)ドロドロしてそう」という理由で作者が原作第5巻の内容の候補であったコウの過去を描くのをボツにした影響が大きい。
主要エピソード
コウの言動に対するりんのリアクションがその回の主題に繋がる場合が多いため、エピソードを語る上では必然的に一人称もりんであることが多い。
物語序盤(FS3編)
仕事に関して合格ラインの厳しいコウ、優しく気配りのできるりんという良きバランスで、入社したてでナーバスになっている青葉をフォローしていく。
りんがアートディレクターの仕事は初めてということで少し胃が痛いとコウに打ち明ける。逆にコウは「(自分がアートディレクターでは)私の性格じゃ皆ついてこないと思うし…」という弱音を打ち明ける。一方でりんが青葉のモデリングでの働きぶりを評価し、キャラデザもさせてあげるようコウに進言する。
しばしば会社に泊まって作業をするコウに、ちゃんと家に帰れとよく注意している。また、コウが深夜に履き物を脱いでパンツ1枚になる脱ぎ癖にも苦言を呈する。しかし一度、出来心でりんもパンツ1枚になったところをコウに見られからかわれるという出来事が。その時はさらに、そこに出社してきた青葉が「今日も一日がんばるぞい!」と発言。それを笑ったコウの口をりんが塞いで押し倒したところを青葉に見られるという失態を犯してしまった。
青葉が初任給をもらった際、自分達が初任給をもらったときの話題に。コウとりんは一緒に日帰り温泉旅行に行ったらしいが、コウはそのときのことをすっかり忘れており、りんは機嫌を損ねる。
大きな転機(PECO編)
完全新作である『PECO』の開発では、コウがコンペに敗れたショックで条件反射的に青葉に八つ当たりをしてしまう。そのことで落ち込んでしまったコウをりんが諭したことで、コウは青葉と共同でキャラデザを行うことにし、作品が出来上がっていった。
コウはりんの作る肉じゃがを評価する一方、りんの前でひふみの作った肉じゃがも褒めるなど、またしてもデリカシーに欠ける発言をしてしまう。ひふみに(このにぶちんめ!)と内心で毒づかせるほどであった。りんはりんでコウがひふみと仲良さそうにしていたのが気に食わなかったらしく、ひふみは2人に振り回されっぱなしだった。
劇中2年目の東京ゲーム展終了後、2人を取り巻く環境が大きく変化する。『PECO』の開発を通して成長してきた青葉に感化されたコウが、自身のスキルアップのために渡仏を決意したのである。大和・クリスティーナ・和子に希望の会社へのツテがあることを知ったコウは彼女に仲介を頼み、上司の葉月しずくにも無断で計画を立て、ゲーム展のイベント終了後に仲間達に全てを打ち明けて驚愕させた。
ちなみにコウは、りんにだけには「最初に知っておいてもらいたい」と事前に話していた。それに関してりんは、そのさらにずっと前にコウとクリスティーナの会話を偶然聞いて知っていたが、コウから打ち明けてもらうまでそのことを問いただすことはなかった。2人の信頼関係が窺える。
葉月に「それでいいのか」と尋ねられたりんは、最初こそ「理由を聞いて納得したし、数年間だけなら」と返答したものの、すぐに感極まって「行ってほしくない、ずっと側に居てほしい」と本音を零す。これに対してコウは「りんの気持ちを考えていなかった」と普段の鈍感さは嘘かと思うほどの前置きの後、「離れていてもきっとりんには迷惑をかける。だからこれからもずっと甘えさせて!ずっと見守って!」と想いを伝え、彼女を説き伏せる。
コウの渡仏中(DDB編)
日本とフランスで離れ離れになっている2人だが電話で連絡はとっている。特にりんはコウの生活習慣や上司で下宿先の住人でもある大和・カトリーヌ・十和との関係を気にし、自分の方からよく電話している。
コウが冬休みに一度、りんをパリに招待して共に年末年始を過ごした。最初は子連れでラーメン屋というシチュエーションに呆れさせられるりん。しかし2人きりになった後のコウはりんを高級レストランやパリの名所に誘い、りんを大いに悦ばせた。
次の春。りんは青葉の友人である星川ほたるがコウと同室で同居を始めたことに動揺。時差でまだ早朝であるフランスに電話し、(ほたるが誤ってコウの電話に出てしまったのもあり)コウを厳しく問い詰める。(りんの一部始終を見ていた青葉とねねが火消しのためにコウをフォローする破目になった)
同居生活(FS4編)
コウは急遽帰国後、しばらくりんの家に住まわせてもらっていた。部屋が手狭に感じるようになったりんは、コウと一緒に広いマンションの一室へ引っ越すことを希望する。しかしコウがあまり同居に乗り気でない態度を示したため、りんは機嫌を損ねてしまう。別々に暮らした方が、りんが料理をする手間も省ける…というコウのセリフに拗ねたのか、その日りんが用意した夕飯はコンビニ弁当であった。反省したコウが自分が住みたい住居の要望を話し自然に仲直り。改めて部屋探しをして引っ越す。
しかし、りんがコウの寝相に文句を言った際、コウが夫婦ではないのだからダブルベッドである必要はないのではないかと答え、またもりんの機嫌を損ねてしまうのだった。
ちなみに『フェアリーズストーリー4(FS4)』の主人公・ノアはこの部屋で誕生した。酔ったコウを青葉が送り届けた際、そのまま泊まることに。青葉はりんと話すうちにコウをモデルとした主人公像を閃いたのだった。
イーグルジャンプの社員旅行で沖縄に行った際は、途中からほたるが合流。成り行きでコウとりんの部屋に泊まることになり、りんをヤキモキさせる。しかしコウに関する話題でほたると盛り上げるうちに態度を軟化させ、「星川さん」という呼び方がすぐに「ほたるちゃん」となった。そしてコウのベッドをほたるに使わせ、コウをソファーベッドに押しやってしまった。
出資会社の都合で『FS4』が開発中止の危機に陥った際、りんは関係各所を奔走。普段は料理することがないコウだが、そんなりんに鍋料理を振舞うことで労う。しかし作り方をひふみから教わったと馬鹿正直に答えてしまい、またしてもりんの機嫌を損ねてしまうのだった。
最終回
『FS4』発売から数年後の春。
直接コウりんの絡みは描かれていない。が、最後のシーンで社屋移転後のイーグルジャンプ跡地にりんを迎えに来たコウの左手薬指には指輪がはめられていた。
本誌掲載時から「遂に結婚したのか」と話題になったが、最終13巻の後書きで法律が変わって本当に結婚したことが判明した。
余談
単行本最終巻のその発売翌日に、嵐の櫻井翔と相葉雅紀が2人で「それぞれ別の女性と」の結婚を発表をした。その際、様々なメディアで「櫻井翔&相葉雅紀 結婚を発表」と表記されていたため、法律が変わって結婚したが現実になったのかと読者に混乱が生まれる事態となった。原作者もこの事態に言及している。