概要
第二次世界大戦開戦後、大西洋・地中海での枢軸国海軍との戦いで、イギリス海軍の空母戦力は大きく損なわれていた。1942年の段階で残った艦隊型空母はフューリアスとイラストリアス級4隻という状況になっていた。次の艦隊型空母であるインプラカブル級2隻の就役は2年後の1944年を予定しており、早急に艦隊任務に随伴できる空母を必要とした。
そこで「護衛空母より速力・搭載機数に優れた空母を短期間で量産する」ことが決定された。
設計
「短期間で量産建造」がコンセプトであるため、建造期間は2年弱と定められた。また軍艦の建造経験がない造船所でも建造できるよう、建造の簡易化を行ったことにより、一挙に16隻が建造されることになった。搭載機も「軽空母」とはいうものの、イラストリアス級前期艦より多い48機を搭載しており、航空艤装もカタパルトを搭載することによって、新型機の運用に十分耐えられるものとなった。
一方で機関は25ノットと低速で、さらに飛行甲板防御は無論、船体防御も弾薬庫周辺に10㎜の隔壁が張られただけの紙装甲となっている。そして艦としての耐用年数も3年に切り詰められていたが…。
艦歴
結局1番艦の「コロッサス」が就役したのが1944年12月で、大西洋のみならず太平洋でも大勢は決しつつある頃であった。戦時中に戦力としての役割を果たすことはできなかったが、コロッサス級が輝いたのはここからであった。
戦後軍縮により大型空母の運用が難しくなったイギリス海軍は、主力を軽・中型空母とすることとしコロッサス級も改装の上で使用し続けることとした。またジェット機運用のために16隻中6隻が改良型のマジェスティック級として変更された。一方で西側諸国海軍への売却も行われた。
艦名 | 艦歴 |
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コロッサス | フランス海軍「アロマンシュ」、1978年解体 |
グローリー | 1961年解体 |
オーシャン | 1962年解体 |
パーシュース | 航空機整備艦として就役、1958年解体 |
パイオニア | 航空機整備艦として就役、1954年解体 |
シーシュース | 1962年解体 |
トライアンフ | 1981年解体 |
ヴェネラブル | オランダ海軍「カレル・ドールマン」→アルゼンチン海軍「ペインティシンコ・デ・マヨ」、2000年解体 |
ヴェンジャンス | オーストラリア海軍(艦名はそのまま)→ブラジル海軍「ミナス・ジェライス」、2001年解体 |
ウォリアー | アルゼンチン海軍「インデペンデンシア」、1971年解体 |
後継艦のマジェスティック級空母とともに、空母運用国を大幅に増やすきっかけとなった。
最終的にブラジルの「ミナス・ジェライス」が2001年に解体されたことで姿を消したが、結果的に3年持てばよかった戦時急造艦は、50年以上の長きにわたり世界の海でその役割を果たしたのである。