概要
2019年5月13日より、週刊少年ジャンプで連載スタートした、『侍』を題材としたSFアクション漫画であり、ジャンプの令和に入って初となる新連載作品となった。
2018年12月22日・23日に開催された『ジャンプフェスタ2019』において、原作者である忍者漫画『NARUTO』で知られる岸本斉史先生が自ら発表し、「NARUTOより面白くするのに必死!! お楽しみに!!」とコメントを寄せており、岸本先生が大好きだと語っている【和】と【SF】を融合させた作風となっている。
製作形式としては岸本先生が原作を担当し、彼の推薦で弟子の大久保彰先生が作画を担当という形になっているが、ネームを岸本先生が描いてそれを元に大久保先生が作画するため、実質“合作”と言える。
なお、南総里見八犬伝を意識したテーマはNARUTO時代から何度か見られてきた。
2020年17号で連載終了した。全43話。単行本は全5巻。
あらすじ
遙か遠い宇宙の彼方のとある星。
ここに住む、生まれつき生命維持装置に繋がれていなければ数分と生きていられない病弱な少年・八丸(ハチマル)は、自分のことを心配しながら介護してくれている父をよそに、いつか星々の守護者である『侍』となることを夢見ていた。
ある日、八丸は猫の姿をした侍・達麻(ダルマ)と出会い、彼から侍になれる資質を見出されるが、それからまもなく外出していた父が野武士たちに拉致され、その頭目の『侍』でありながら浪人の男に襲撃される。
「切腹すれば父の命は助けてやる」という浪人に、八丸は父を救うためその条件を呑み、手渡された短刀で腹を切って命を落とすも、全ての侍たちの産みの親たる武神・不動明王に選ばれ、侍として生まれ変わった。
その力で見事に浪人とその一味を倒した八丸。この出来事を機に彼の出生の秘密と課せられた運命が明らかとなっていく……。
※この世界における『侍』とは体をサイボーグへと変化させた人間のこと。武士とは星を守るために働く侍候補の真人間で、浪人とはどこにも属さない『侍』や野武士を指す。そのため第1話の敵は「武士じゃねえ侍だ!浪人だがな」と名乗っている。
登場人物
主要人物
- 八丸(ハチマル)
本作の主人公。元々は生まれつき病弱なメガネ少年であったが、武神に選ばれたことで念願の侍となり、銀河の命運を懸けた冒険に旅立つ。
引きこもりを自称しているが身体が不自由なために自宅に拘束されていただけで、精神的には快活な部類。
鬱憤を晴らすように対戦ゲームにのめり込みバトルランキング1位になっていたが、後にこの経験が戦闘にも活かされる。
『すこし無鉄砲、けれどやるぜ親孝行!今、最もピュアな主人公だ。その健気な姿に心打たれる読者が続出……ッ!』という宣伝文句が付けられたが、持ち前の純粋さが空回りする傾向もある。
特にヒロインに手間のかかる料理を注文しておきながら自身は外食で済ませ(アンは特に気にしていなかったが)、そのお詫びのプレゼントを師匠の金で買い、あげく桁を間違えて使い込むという無配慮な行動の数々は、その身勝手な姿に心乱される読者を続出させた。もっとも、前述の通り、引きこもりであった為、そういった常識や配慮ができなかったのかもしれない。
- 魔噛みの達麻(ダルマ)
金剛夜叉流二代目を継ぐ凄腕の侍。
『千人斬りの一匹狼』『星砕きの犬侍』など様々な異名を持つ。
一番弟子であるアタの裏切りにあい、守る使命にあったバク姫を失い猫の姿に封じられた。
宇宙を救う『鍵』を探す使命を受け、銀河の星々を50年以上旅して『鍵』となる八丸を見つけて弟子に迎える。
八丸がやり込んでいた対戦ゲームは達麻が作った訓練用ゲームであり、図らずも研鑽を重ねさせていた。
作中で「説明セリフアレルギー」と揶揄されるほど説明セリフが多い。
- 早太郎(はやたろう)
八丸のお供。元はペットロボだったが、彼が侍になったことでその一心同体のお供『キーホルダー』となる。犬型だが鳴き声が「ニャン」。
- ナナシ
夜叉流忠道場の寮で暮らす門下生。
中性的だが男性の体と女性的な精神を持ち、自身の両手を多人格に見立てて会話する奇癖の持ち主。
外界への恐怖心から他者との関りを断っている本物の引きこもりで、対戦ゲームのバトルランキングは八丸に次ぐ2位。
八丸とは共に初の友達となるが、ナナシはそれ以上の関係を望んでいる。
宇宙へ出る八丸を見送り、後に『侍』となって八丸の元に駆けつけた。
- アン姫
侍を生み出す物質『ロッカーボール』を探し出す力を持つ『姫』見習いだったが、八丸が『運命の侍』となったことで姫として見出される。
少々吃音(どもり)で頼り無いが芯は強く、当初は八丸を受け入れようとはしなかった。
『姫』は祈りによって『侍』に力を与える能力を持つが、アン姫のそれは強力ながらも「死んだ兄の面影」に向けた歪な祈りであり、自身を「強化する道具」のように見ている八丸に不満を抱いていた。
紆余曲折を経て八丸と打ち解け、いつの間にか吃音もなくなっていた。
最終回では八丸から受け継いだ刀を背負い、髪をまとめ上げて凛々しい侍のような姿になって旅を続ける所で物語は幕を閉じる。
- 竜(りゅう)
宇宙を放浪する記憶喪失の侍。元ネタはジャイアンと思われる。
- 骨河(こつが)
竜とともに行動を共にしている侍。ツッコミ役。元ネタはスネ夫。
- 無比力のアタ
金剛夜叉流から烏枢沙魔流へと寝返った侍。
「崩れた銀河を元の姿へと変える計画」のためにいくつもの星を滅ぼし、宇宙域の消滅を企む。
威圧的な物言いだが目上の者に対しては異常なほど礼節を弁えており、元師匠の達麻に対しては敵対しながらも裏切ったことを土下座をしつつ丁寧語で詫び、現弟子の八丸に「それが師に対する口のきき方かァ!!!」と本気で激昂するほど。
(達麻が八丸の言葉使いを咎めたことはないが、これ以降八丸は丁寧語を使うようになる)
行動理念については達麻から「簡単に言うなら私欲のため」と評されるが、当人の語る所によると「裏切ったのはオレじゃない 神です」とのこと。
また、ハンナというなじみの女侍が何十年も試し斬りの素体にされながらも弟を守るという義のために死ねなかったこと、弟も侍であるため死ねずに姉を生き地獄から救えなかったこと、その弟が自身であるかのように語っており、武神が作り上げたこの宇宙のルールそのものに疑念を抱いているようだ。
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