※以下、漫画『アンデッドアンラック』の重大なネタバレを含みます。本誌派以外の者(コミックでこれからを楽しみにしている人達)は閲覧注意。
概要
戸塚慶文の漫画『アンデッドアンラック』で、組織(ユニオン)の女ボス・ジュイスと主人公のアンディに潜む主人格の男・ヴィクトルのカップリング。
本作で特殊な関係を持ち、そして数奇な運命に翻弄されている大人の女性と大人の男である。
ジュイスの思い
本作『アンデッドアンラック』は第35話~第36話にて、世界は創造主(神)の手によって物理的な「再生と破壊」が何度も繰り返している不条理な真実(ループもの)が判明した。
そんな世界で詳細不明の古代遺物(アーティファクト)・アークによって何度もループを乗り越えて、世界と、創造主(神)と闘い続けていた組織(ユニオン)の女ボス・ジュイス。しかし、その闘いは信頼をおく仲間たちには明かせない“孤独”の戦いでもあった。そして、何かしらの手段で「世界の破壊と再生(ループ)」「不条理なループを回避する術(アーク)」を知った、彼女と敵対するUNDERのボス・ビリーは組織(ユニオン)を裏切り独自の険しい道を進んだ。
そして組織(ユニオン)と敵対する集団・UNDER(アンダー)と話し合いをしようと、心当たりのあった"ある場所"にて、UNION(ユニオン)とUNDER(アンダー)のボスたち、ジュイスとビリーは対談する。
その最中で、ジュイスは「世界の破壊と再生(ループ)」について以前から〝もう一人だけ〟知っていた真実を語る。その人物とは、組織(ユニオン)最古参のメンバー・ヴィクトルだった。彼は自己対象 強制発動型である「UNDEAD-不死-(アンデッド)」の否定者(ひていしゃ:世界の理(ルール)から否定された超能力者)。ヴィクトルの場合は、如何なる殺戮がある状況であろうと、自己の「死」が否定されている身の上で、唯一生還しながら何度も、何千何億年も「世界の破壊と再生(ループ)」を物理的に経験している男だった。
他者からは不可解な行動に、男は「不条理なループを回避する術(アーク)」を欲しさの蛮行と思うだろう。ビリーは「アーク欲しさにか」と質問をして、ジュイスは「違う」と否定した。
そしてヴィクトルの行為は「ジュイスを想って」の理由だったという。彼女のループを力ずくで止めようとしたのだと。
かつての相棒であり、それ以上の仲であったジュイスが、たとえ独りでも戦いを止めない正義(もくてき)を抱いている理解があっての事だった。ヴィクトルは「一人で抱え込む必要はもうない」「誰かに任せて楽になれ」と、彼女に言い聞かせていたという。
そんな彼氏の言動に、ジュイスは「アイツは自分の為に苦しんで欲しくなかったんだろうが… 違う 私の為だ」と理解していた。
そして、一体幾年の時と死を越えてきたのか、歴戦の女戦士であるジュイスは懐かしむような柔和な微笑をみせながら―
ただ好きな人(アイツ)の笑った顔が見たくてな
自己の正義(もくてき)ではなく、一人の女として本心を告げるのだった。
ジュイスの言動とヴィクトルの心を照らし合わせれば、2人はそういう仲というのが感じられる人物背景があった。