概要
ルーマニアで伝承される吸血鬼。赤毛で青い目をしており、生きている心臓と死んだ心臓の2つを備えているとされる。女性形はストリゴアイカまたはストリゴアイエ。
「ストリゴイイ」と書かれる事があるが、これはルーマニア語で複数形の定冠詞がついた形であり、種の名称としては「ストリゴイ」となる。単数複数同形なので複数でも同じ言い方をする。
甲高い叫び声を上げると伝わり、語源は「叫び」を意味するストリガである。
「モロイ(ムロイ・ムロニ)と呼ばれる生ける吸血鬼が、死後に更なる力を得たものである」とも伝わり、「吸血鬼に血を吸われた者だけではなく、自殺者、犯罪者、嘘吐き、魔女などの反社会的な者が死ぬと化する」とも恐れられた。
更に不可抗力ではあるが、『7番目の息子(※1)』や『胞衣をまとって生まれた者(※2)』『死体を猫にまたがれた者』『胎内にいる時に吸血鬼に睨まれた者(※3)』『片思いの末に未婚で死んだ者』も化しやすいともある。
ルーマニアはローマ帝国の属州であった歴史もあり、邪悪な精霊ストリガエや吸血梟ストリゲス、イタリア語で魔女を表すストレガなどに影響をあたえた。
なお、西欧の伝承におけるヴァンパイアはスラブ民族の伝承であるヴァンピールが元となっているが、ルーマニアの吸血鬼もほぼ同一視されている。『吸血鬼ドラキュラ』がルーマニアからイギリスにやってきた描写は、この伝承から題材をとったものである。
注釈
※1:より厳密には「7番目に産まれた兄弟・姉妹の末っ子を親にして産まれた7番目の子供」。このケースの場合、吸血鬼の他に「強大な魔術師になる」との異説もある。
※2:こちらは吸血鬼よりも、吸血鬼の敵であるベナンダンティなどになる可能性が高い。
※3:異説では「邪眼に睨まれた者(=吸血鬼どころか、悪魔や魔女でも起こりうる)」ともある。
創作での扱い
- 水木しげる作品
ストリゴイイ名義で、妖怪画としてひょろ長い顔をした黄色い男のような姿で描かれた。
- 女神転生シリーズ
初出は世界の吸血鬼が敵の尖兵として登場した『真・女神転生デビルサマナー』。外見は黄色いコートを着た鋭い爪をもつ大男で、種族は”幽鬼(女神転生)“。名前は「イ」が一つ多いストリゴイイ名義で、”鬼女”ストリゲスとともに中ボスとしてデビルサマナーに立ちふさがった。
- ストレイン 沈黙のエクリプス
2014年に放映されたギレルモ・デル・トロによるアメリカのホラードラマ。
人類をストリゴイ化しようとする勢力とアメリカ疾病予防管理センターの戦いを描く。
2周目以降の黒呪島で頻繁に出現する、巨大な赤い蝙蝠のようなハーピー系の飛行モンスター。尾で吸血することでダメージを与え自身を強化する。氷属性に弱く、吸血後に倒すと「レッドクリスタル」を落とす。
2010年のアップデートで実装されたアンデッド類ヴァンピール族の亜種で、白い身体に紫の翼を持つ。
吸血鬼の伝承を元にしたカボチャ型から、吸血コウモリ型に変形するメカローバーの名として登場した。
2011年6月1日開始イベント『レクイエム -月下の執行人-』に登場。イベント・ストーリーの主役キャラ(所謂「英雄」)キリエと共に、その後のイベントで何度も登場している(下記の関連小説参照)。