概要
アイルランドを中心に各地を放浪する移動型民族アイリッシュ・トラベラー(ロマとは無関係)の末裔。父の代までベアナックルボクシングを稼業としていたらしい。
大型化が進むヘビー級の中にあっても身長206cm,リーチ216cm,体重120kgと際立った巨体の持ち主。ややピザ気味だが、それでいてモハメド・アリを彷彿とさせるボディワークを12R通して続ける運動能力と、ピンチに陥っても的確な戦略を組み立てる賢さを併せ持つ。
2015年、ベビー級絶対王者と名高いウラディミール・クリチコに完勝して名実ともにヘビー級の頂点に立つ。
しかし、以前から鬱の気があったフューリーは26歳の若さで頂点を取ってしまったことで目標を失って鬱を悪化させてしまい、ドラッグや酒に溺れ自殺すら本気で考えるほどにまでなり、引退を宣言してしまう。
ところが、キリスト教の信仰に目覚めてからは徐々に持ち直し、鬱患者や薬物依存症に苦しむ人々に勇気を与えるために引退を撤回して復帰。
復帰第3戦目に稀代のKOパンチャーデオンテイ・ワイルダーと王座をかけて激闘を繰り広げる。2度のダウンを奪われるものの、試合全体を支配したことを評価されて引き分けに持ち込んだ。その後の再選ではワイルダーの作戦を完全に封じたうえでTKO勝利を奪い、王座戴冠。
この2戦でどこかネタキャラ扱いされていたフューリーの評価はうなぎ登りになり、名実ともにヘビー級の頂点を争う一角となっている。
愛すべきクズ
ここまで書くと言うことなしの選手なのだが、実際はアウトを余裕で通り越した言動を繰り返すキャラとして有名。一例をあげると
- 「俺はボクシングなんて大嫌いだ。ただ自分でもあきれるほど強くてめちゃめちゃ稼げるからやめられないんだよ」とボクサーの代表格として最低の発言をする。
- 「女性にとって最高の場所は台所と寝室」
- ムキムキのヘビー級ボクサーはみんなステロイド野郎と放言→後に自分も禁止薬物使用疑惑浮上
- 総合格闘技の選手を「ボクシングができない落ちこぼれども」と貶しつくし、「どうせ寝ころがるんだろ」と貶したうえで間接的に逃げるetc...
と、到底最強階級の王者としてふさわしくない言動を繰り返している。
しかし、他の格闘家にありがちな暴力沙汰とは全くいってよいほど無縁であり、その茶目っ気のある言動と風貌で憎めないクズ野郎キャラを築いているのもまた事実なのである。