この作品は平成元年より角川書店より発売されていたマル勝ファミコン(月二回発行の雑誌であり、昭和61年より平成元年までこの名称で発売され、スーパーファミコンの発売によりマル勝スーパーファミコンとなり、平成8年まで発売された)に掲載された読者参加型ゲーム(PBMの一種、雑誌に付属したシートあるいは応募券を貼付したはがき等に能力や行動などを書き込み送付、担当者はそれを元に処理を行いストーリーを進め、目立った活躍をしたキャラクターなどを記載する)およびTRPGのリプレイである。
この作品を担当していたのはORG(Out Reach Group、TRPGの翻訳やシミュレーションなどに用いるメタルフィギュアの輸入販売を行っていた会社、設立者は大貫昌幸氏、現在この会社はTCGのデザイン等を行っているとされる)であった。
なおこの作品は第三部まで同雑誌で掲載されたが、終了理由は人気の低迷というわけではなく、角川書店のお家騒動による編集者の離脱、ORGの担当者(大貫昌幸氏)の逝去などによるものである。
また、コンプRPG(角川書店が平成3年より平成8年まで発売していたTRPGメインの雑誌、コンプティークより分割された雑誌であった)においてこの作品のスピンオフであると思われる新双月英雄伝ダブルムーンが掲載されていた(これもお家騒動の影響により途中で立ち消えになったと思われる)。
さらにメディアミックスの一環としてこのゲームのTRPGは平成3年、角川書店より発売されており、テレビゲームとしてはファミコン版がメサイヤより平成4年に発売されている。
世界設定
この世界はファンタジーでありいわば複数の神々が身近にいる世界である。二つの月が天にあり、それがこの作品の名称となっている。
この世界はファティマという創造神(中立を司る神でもある)によって造られた。またこの世界は上方世界と下方世界が存在しており、その狭間にある中間世界「ラ・モンド」は常にこの二つの世界の影響を受けている。
そして冒険の舞台はラ・モンドに存在するラディス海峡を挟むふたつの大陸。北のル・ソレイユと南のラ・リュンヌである。
掲載状況
この作品は約4年間、3部に渡り掲載されているため掲載状況が変更されたりしている。
- 第一部
この時点においてはまだ世界設定が固まっておらず、読者参加パートでは「職業」「能力値」「星座」および「提示された問題の回答など」をはがきに記載することにより参加可能であった。
また、誌上シアター(TRPGのリプレイのようなもの)が掲載されており、読者参加パートと密接な関係を持つようになっていた。
この二つはそれぞれ別の号に掲載されている。
- 第二部
このときこの種のゲームとしては初めて往復はがきを用いるようになり、「種族」「職業」「能力値」「装備」および「設問への解答」をそれに記載するようになった。また、職業も細分化した。
誌上シアターでは舞台を北の大陸に移し、戦いが行われた。最後は盛大な押しが行われ、終了した。
また本誌では別の読者参加型企画であるデスタワーが掲載されるようになったため、誌上シアターと読者参加パートが同一の号(偶数号)に掲載されるようになった。
- 第三部
第二部の設定を引き継ぐ形で行われたが、このシステムには災難が降りかかった。ひとつは角川書店のお家騒動により平成4年10月には編集していたスタッフの大多数が退社(彼らはメディアワークスにいく)、編集者が変更された(これのあおりを受けてデスタワーは打ち切られた)。さらに追い討ちをかけるようにこの作品を作っていた大貫昌幸氏が急死(この作品のほかにもうひとつ同誌で読者参加型企画を抱え、ほかに他の雑誌への記事連載などを行っており、過労によるものであると思われる)した。
しかし連載自体は何とか継続されたが、続編はほぼ不可能となった。
読者参加パートにおいては第二部とほぼ同一であったが、さらに「お助けキャラず」(6人のキャラクターのうち一人を連れて行くことが可能、ただし、その中にはトラップも含まれる)と「行動ブロック」(あらかじめ定められた行動の選択肢の組み合わせでその会の行動を決定する)が追加されている。
TRPG
TRPGに関しては、クラスと種族を選択することによりキャラクターを作成するシステムである。また、このゲームの特色として「すべての職業が何らかの特殊な力(魔法)が使用可能である」という点である。
初級システムおよび世界設定の書籍が発売されており、コンプRPGにてサポートしていたと思われるものの、執筆者の死去などによりそれ以上の展開ができなくなったと思われる。
コンシューマ
ジャンルは見下ろし式のロールプレイングゲームである。
ストーリーはオリジナルキャラクターが主人公であり、原作に登場したキャラクターを味方とし、本作品の敵であった五凶星およびサモイレンコを倒すことが目的となっている。
ファミコンのゲームに関しては開発の遅れによるものか、それとも需要がまだ続くとメーカー側が見たかはどうかは不明であるが、スーパーファミコンの発売後の発売となり、発売本数は抑えられた。
システム面で言うと戦闘時には敵の弱点を狙うことができたり、職業の壁がはっきりしていたりとバランス以外の出来自体はよいため、一時期プレミアムが発生していた。