ダース伍長
だーすごちょう
CV:内田直哉(リメイク版)
宇宙軍所属の軍人で、ベヒーモスの輸送を受け持つ(どこの国の軍かは不明)。
彼だけはコギトエルゴスム号のクルーではなく、航海途中に乗り合わせたため予備の部屋と予備のコールドスリープ装置を使っている(現に彼が使っていたコールドスリープ装置には彼の名前が書かれていない)。
レーザーライフルのような銃を武器として所有し、コギトエルゴスム号に乗り込んで任務を遂行しており、コールドスリープから目覚めた時に主人公のキューブと出会う事になる。
人懐こさで人気者のキューブに皆が盛り上がる中、彼だけは機械が嫌いなのか御機嫌斜めであり、キューブに接近された時には「私に近づくなあッ!」と激怒して突き飛ばすほど。
加えて宇宙で発見されたベヒーモスを軍が兵器改造したがっている事をどこか忌々しく思うなど、どこか不可解な軍人であると言う雰囲気を与えつつ、宇宙船内は不和が進んでいった。
ただし、トラブル発生にはしっかり乗務員達と協力しており、自室にも私物を置いていないなど軍人らしいストイックな一面を見せる。カーク死亡時には彼の私物を整理する際に「宇宙葬か…弔ってやれるだけ幸せってもんだ…」とやるせなさそうに呟いたり、カークを失い精神を病んでしまったレイチェルに「悲しいかもしれんが、あの男はもうこの世にいないんだ…」と彼女の心情を察しつつも現実を改めて伝えたりなどしている。
その後コギトエルゴスム号の各機械が狂い、更にベヒーモスが脱走という怪事件も連発。
カークやヒューイ、レイチェル、ホル船長など多くの人が死亡していく中、ただ一人無傷なカトゥーを疑う。
しかし、黒幕によって自室に使っていた予備の部屋にある「ベヒーモス運搬にはいかなる人的被害を出しても達成するべし」という軍事通達をキューブに読まれ、それを聞いたカトゥーに一連の事件は自分たちの命を利用したベヒーモスの実験だと疑われてしまい、「みんなあんたがやったんだ!」と罵られた。
なお、伍長本人はベヒーモスの実験については万が一の時だと語っており、むしろカトゥーの命令もなく勝手に機密文書を覗き見たキューブに疑いを持ち始めた。
非情としか言いようがない通達をした軍本部にも大いに問題があるが…。
そんな時にキューブの偽物が現れ、偽キューブを通じて全ての元凶がコギトエルゴスム号のメインコンピュータ「OD-10」と発覚(この時カトゥーがキューブに最初に名付けようとした名前を問われるのだが、間違えると伍長に射殺されてしまうので要注意)。
偽キューブの攻撃でカトゥーも負傷した為、マトモに戦えるのは伍長だけになってしまうが、伍長はこの危機を脱するべく「お前まで操られたら面倒だからな!」と言いながらキューブと共闘する。
そしてキューブの活躍でOD-10のシステム中枢「マザーCOM」への侵入経路を突きとめるが、上記のセリフと共に回線を繋げたタイミングで乱入して来たベヒーモスに応戦し生死不明になる。
やがて人間不信から暴走し、船員を死に追い込んでいったOD-10のマザーCOMを倒して暴走を鎮圧したキューブがミーティングルームに戻ると、負傷しつつもベヒーモスを射殺し生還した伍長が入ってくるのだった。
なおキューブが接触しただけでゲームオーバーになるベヒーモスを自身も重傷を負ったとはいえ単独で撃破していることから、ある意味ステータスの無いNPCなのが惜しまれるキャラでもある(二次創作などではベヒーモスを射殺せず、眠らせたものとして描く者も多いが、リメイク版ではしっかり銃器による傷が痛々しく描かれており、しっかり射殺した事が描写されている)。戦闘のプロである軍人だけあってその実力は確かだったようだが、それでも流石にはベヒーモスとタイマンには伍長自身もかなりの深傷を負わされた様である。
伍長はキューブに過去を語り始める。
若き日に大きな戦争が起こり、敵軍が作った戦闘ロボット…もといコンピュータによって仲間の将兵が多く虐殺された…まさに血が通った人間でない物によって人が大量に虐殺される恐怖が伍長を機械嫌いにさせていたのだ。
人間に作られた物に人間が殺される…正に今回の事件と同じ状況である。
この件から伍長は「この船はそんな人間に愛想が尽きたのかもしれない」とも考えていた。
そして伍長はそう呟いた上で、軍艦ではなくこの輸送船で生まれたキューブに「ヒューイはお前に『学べ』と言った…それが、これからのお前がすべき事だ。誰かを傷つけるような真似はしちゃいけない」と諭す。
その後ロボットに説教か…と自嘲気味に笑った伍長は「人間もロボットと同じじゃないか」と気づき……この船を下りる前にキューブの淹れたコーヒー(すごく苦い)を飲みたいと所望する。
「うん‥‥確かに‥‥こいつは苦いな。
だが‥‥
今はこの味が最高だな。」
こうしてダース伍長は“戦友”キューブと共に、カトゥーと亡き乗組員の棺を護衛して地球に辿り着くのだった。彼のセリフと共にSF編は静かにEDを迎える。
リメイク版ではコーヒーを渡すまでは一旦BGMを止め、ダース伍長の上記の感想と共に再度BGMが流れる演出になっている。
この時のダース伍長の声色は、内田氏の熱演もあり、彼の心境をよく表しているため必聴である。
そもそも、序盤のクルーたちへの素っ気ない対応を踏まえて考えると、そんなロボットたちの生みの親である人間に対しても、ロボットに対するそれと同じかそれ以上の敵意・失望や諦念を抱いていたフシがある。
ある意味、この局面でキューブに語ったことと気付きは、彼自身の『人間』に対する思いの吐露、そしてその答えだったのかもしれない。
輸送対象であるベヒーモスを自衛のためとはいえ射殺してしまったため、任務そのものは失敗に終わってしまい、一連の事件の後に彼は軍を退役してしまう(詳細は不明だがベヒーモスの件の責任を取る形になったと考えられる。そもそも、ベヒーモスを倒した後で「(負傷した)この体で帰ったら地上勤務だな……」と零しており、仮に罰せられなかったとしても更迭は避けられなかった模様)が、経験を生かして福祉ロボットのメーカーに再就職し、穏やかな日々を過ごしている。
それが上層部の思惑によるものか本人の意思によるものかは不明だが、ロボット嫌いだった彼が、人を生かすための機械を作る新たな人生を歩み始めたことに胸を打たれたプレーヤーは数多い。
オルステッドを操作するシナリオでは登場せず、キューブを仲間にするか主人公にしたエンドにのみ登場。
コギトエルゴスム号を整備しているカトゥーや研究員と共に、ロボットメーカーの関係者としてキューブを温かく出迎えている。