ディアボロス教団
でぃあぼろすきょうだん
約1000年前、世界に破壊と混乱を齎した魔人ディアボロスの復活と、そのディアボロスの力の私物化を目的とするカルト教団。
表舞台には出ず権力層にも深く根を張っている邪教徒達……というのは、シドがアルファをごっこ遊びに付き合わせるためのでっち上げの嘘だったのだが、嘘の話そのままに実在していた。
しかし、シドはそんな組織は存在していないと思いこんでいる。
部下の戦闘力をドーピングで底上げすることや誘拐・洗脳による尖兵の生産を常套手段としている。
「ナイツ・オブ・ラウンズ」と呼ばれる最高戦力でもある12人の最高幹部『円卓会議』によって指揮されている。
元々はディアボロスを討伐するために各地の孤児を集めて実験する機関であり、数少ない実験の生き残りである少女・オリヴィエを英雄と祭り上げ、結果としてディアボロスの討伐を果たす。
しかし先述の通り目的は魔人ディアボロスの力の私物化にあり、封印されたディアボロスから抽出した「ディアボロスの雫」によって不老不死が実現してからは老いることの無い幹部達による強固な支配で世界を闇から操る最大最悪の組織と成り果てた。
教団内部ではナイツ・オブ・ラウンズの地位を求めて派閥争いが起こっており、一枚岩とは言い難い。
ナイツ・オブ・ラウンズ
ディアボロス教団の最高幹部。全部で12人存在し、席次が若いほど教団内で大きな発言力を有する。
ほとんどが教団の中でもトップクラスの実力者…なのだが、席次が判明しているラウンズはほとんどシャドウによって殺されている。そのため、小説6巻終了時点で五席、九席、十一席、十二席が空席となっている。
余談だが、これまで殺されてきたラウンズは何かしらの「アトミック」で殺されている。
- 第?席:ロキ
- 第?席:ヘル
- 第?席:ヨルムンガンド
- 前第五席:シヴァ(『七陰列伝』)※書籍5巻におけるフェンリルの「長きに亘り第五席に就いてきた」旨の発言と食い違うため、ミスの可能性あり
- 第五席:フェンリル
- 第九席:モードレッド
- 第十席:ペトス(前第十席がシャドウに殺されたことによる昇格)
- 前第十席:セルゲイ(前々第十席ヒカエ・オローを七武剣の座を奪う時に殺害し、そのままラウンズ入り)
- 第十一席:ネルソン
- 第十二席:空席
第十二席は空席だが、現在では結果的に「ディアボロスの雫」の不老不死を餌に信奉者と手駒を増やすための釣り餌のようになっている。
実質的な最下位は第十一席であり、その皺寄せを一手に押し付けられた結果ネルソンの頭は禿げ上がっている。
ディアボロス・チルドレン
孤児や貧しい平民の子の中から魔力適性のあるものを誘拐し、薬物投与や洗脳教育、訓練を受けさせてディアボロス教団の尖兵として作り変えられた存在。通常の騎士を遥かに上回る戦闘力を持ち、1stから3rdまでのランクがある。
1stは確かな実力を持ったチルドレンという区切りになり、世界有数の実力を持つ。
2ndは精神の安定しているチルドレン。教団員を率いるリーダーの大方はこの2ndに分類される。
3rdは純粋な戦闘のみを担当するチルドレンの総称。出来損ないとされ、強い洗脳によって精神が崩壊し、まともに会話もできない状態となっている。
将来が有望だったり、教団に大きな貢献をしたチルドレンには二つ名が与えられ、『ネームド』と呼ばれるようになる。
ほとんどの者が1stチルドレンだが、2ndチルドレンでありながらネームドとなった者もおり、教団においてはネームドとなることが、ラウンズへの登竜門と言われている。
在籍者
- ゼノン・グリフィ
CV:松風雅也
アレクシアの婚約者候補の一人。侯爵でもあり学園の剣術指南でもある。地位もあり、戦闘力もあり、顔もよくて性格もいいと欠点がないが、その欠点の無さがおかしいとアレクシアからは嫌われている。
フェンリル派のディアボロス教団に所属しており、教団の幹部であるラウンズの地位を狙っていた。
- ルスラン・バーネット
CV:大塚芳忠
ミドガル魔剣士学園の副学長でシェリーの養父。
人当たりのいい紳士という人物であるが、実は教団の人間で元ラウンズ(第何席だったかは不明)。
武神祭で優勝した剣豪であったが、その直後に病に侵され引退を余儀なくされる。ラウンズに返り咲くことを目標に病を治そうと思案を重ねてアーティファクトの研究に活路を見出し、シェリーの母親ルクレイアに研究させていた。
「強欲の瞳」というアーティファクトに治療以上の効果を見出すが、強欲の瞳の危険性を憂慮するルクレイアと対立、封印を言い出したルクレイアを手足から順に突き刺すという残虐な方法で殺害し、娘のシェリーを養子にして研究を続けさせていた。その所業は他人への関心を捨てたシドでさえも「不快」といわしめた。
CV:岡本信彦
「叛逆遊戯」の2つ名を持つチルドレン1st。
学園を襲撃し、強欲の瞳を制御するアーティファクトを捜しているところでシドに見つかり、教室にいた教団兵と共に倒された。
- ジャック・ネルソン
CV:麦人
ラウンズ第十一席。「強欲」の二つ名を持つハゲ。
中年太りした司祭。リンドブルムのドレイク大司教をヴェノムに殺させ、聖域の支配権を奪って大司教代理として現れる。
「女神の試練」でシャドウが???に勝利した際聖域の扉が開き、その時にシャドウガーデンにとっ捕まり、(重要なんてレベルじゃない)教団の情報をべらべらと喋っていた。(脅されてはいたが)聖域の内部は奥に行けば行くほど侵入者の魔力を吸い取る効果があり、聖域の奥深くに入った際にアルファ達を殺そうとするが、創り出した複製達はデルタに殺され、撤退して行った時は安堵していた。
その後聖域の中心にいたシドを見つけ、複製オリヴィエをけしかけ殺害しようとするも、中心でも吸えないほど魔力を細く練ったシドの「アイ・アム・オールレンジアトミック」によって聖域ごと消滅した。
なおこの時に聖域に封印されていた「ディアボロスの左腕」が解放。これにより「ディアボロスの雫」の生産量は減少し、ラウンズの席次の数が減るという教団にとっては大きな痛手となった。
約1000年前から存命しており、当時は科学者として悪魔憑きやディアボロスの左腕の研究に携わり、やがて「ディアボロスの雫」を発明し、ディアボロス教団設立の頃から関与していた。ラウンズでは「ディアボロスの雫」の生産、研究を担当している。
- モードレッド
CV:子安武人
ラウンズ第九席。「人越の魔剣」の二つ名を持つ赤髪の男。
長きに渡りオリアナ王国の裏社会を支配してきた。
書籍版4巻にてオリアナ国王の遺言によって失脚したばかりのドエム・ケツハットを殺害して登場。「黒キ薔薇」の解放に成功し、第四魔界の王「ラグナロク」や大量の魔物を呼び出すも、本人は七陰のベータとイプシロンに敗北し、魔物たちはシャドウガーデン達に狩られ、ラグナロクもシャドウにバラバラにされる。
気が動転し、近くにあったラグナロクの肉体に齧り付き融合して魔人となるも、最後はシャドウの「アイ・アム・アトミック」によって頭だけを残して死亡した。
ちなみにWEB版では白髪であり、不意打ちとは言えイプシロンに重症を負わせるほどには強かった。
こちらでもシャドウの「アイ・アム・アトミック」を受けているが時空の歪みによってギリギリ直撃を避けたために腕が千切れかける程度で済んでいる。
二つ名の由来はモードレッドが持つ不可視の魔剣「インビジブル」による見えない斬撃を放つことから。
しかしイプシロンが触媒を用いず魔力のみで複数の斬撃を放った事(原作書籍版に於いてはインビジブルにも斬撃を飛ばす能力は無いためイプシロンが魔力の斬撃を飛ばした事そのもの)に驚愕し、ベータからは「ただの手品」と言われた。テレビアニメ版では鎧とマントもアーティファクトになっている。
CV:速水奨
ローズの婚約者でオリアナ王国宰相。
モードレッド派のディアボロス教団に所属しており、オリアナ国王に毒を盛って傀儡とすることで王国を乗っ取ろうとする。
ブシン祭にて毒で傀儡に仕立て上げたオリアナ国王を使ってミドガル国王を殺害し、両国の関係を険悪にして戦争を起こそうと企んでいたが、たまたまアイリスがベアトリクスを近くの特別席に招いたことで実行が困難になり、更にローズがオリアナ国王を殺害し、その上ジミナの変装を解いたシャドウがローズを逃がしたことで作戦は失敗、オリアナ王国へ逃げ帰る。
書籍版4巻にて再登場、「黒キ薔薇」解放のために必要な「継承の指輪」を入手、ローズと結婚して指輪の主人となることでラウンズ昇格を狙っていたが、結婚指輪と勘違いしたシドが一瞬で強奪、しかも誤ってローズの手に渡ってしまったことで状況は一変。
指輪の紛失に結婚式直前に気づくも、結婚式にて生前の国王が残した遺言により自身の悪行が晒され、最後はモードレッドに切り捨てられ、死亡した。
1000年前の人物
- ロード・ラワガス
「マスターオブガーデン」付章「Truth Seekers」に登場。
1000年前に存在した人物で優秀な科学者にしてマッドサイエンティスト。そして都市国家群のひとつ「学術都市ラワガス」の初代学園長。
ラウンズ第十一席「強欲」の前任者でネルソンの上司でもある。1000年前にディアボロスの左腕を手に入れたディアボロス教団から不老不死の薬の開発協力を求められ、リンドブルムから少し離れた第二研究施設で「ディアボロスの雫」の理論を完璧なものに確立させたが、研究する中で「魔力の根源」と「別世界」の方に興味を持ち、やがて別世界への「門」を開ける事に成功し「第十二魔界」より魔王・ニーズヘッグを捕獲して研究に没頭した後、ディアボロス教団と袂を分かち、雫に関する研究論文など全てを封印して別世界へと旅立った。
魔力の根源と別世界の存在に比べたら不老不死はくだらなくて不必要だとの理由で雫の研究論文は完全封印しているため、ディアボロス教団は基礎論文を元に一から開発せざるを得なくなるなど大混乱を起こし、ラワガスは後任者の頭では完全に作る事はほぼ不可能だと、ストレスでハゲるだろうと預言しており、後任のネルソンは預言通りに頭がハゲた。
長きに渡り世界を支配したはいいが、自分たちの立場を脅かす存在や勢力がこれまでいなかった(もしくはいたとしてもすぐに殺されるか傘下に入っていた)ため、内部での派閥争いが深刻化。
それにより足の引っ張り合いや削り合いが常態となっており、何か異常があったとしても敵勢力では無く他派閥の存在を勘繰るほどに酷いものとなっていた。
本編開始より数年前に第六席で獣人族を統括していたシヴァが自死したが、神と崇められたその救心力の功績を讃えられ六席は永久欠番となる。
そんな時に(よりにもよって)シャドウがアルファに対してでっち上げた話によって『シャドウガーデン』が設立され、これまで食い物にしてきた悪魔憑きが自分たちの強大な敵になるという事態が発生。
発足して数年は存在がそこまで知れ渡っておらず、それもあってか前ラウンズ第十席がシャドウに殺されてもそこまで本腰を入れて潰そうとはしなかった。(五巻で五席が「前十席はシャドウに殺されている」と発言しているため、ラウンズには伝わっていたと思われる。仮にも最高幹部が殺されたのに報復しようとしない時点で、腐敗どうこう言ってるレベルではない)
そしてそうこうしているうちに十一席、九席、五席も死亡し、派閥も壊滅。
しかも十一席と同時に聖域が消し飛ばされてディアボロスの左腕が解放、ディアボロスの雫の生産量が減りラウンズの席が必然的に減少し、派閥争いがこれまで以上に激化。
九席が支配していたオリアナはシャドウガーデンの手に渡り、教団の支配から脱却。
五席が支配していたミドガルは、主流だった派閥が壊滅したことで影響力が一気に低下するという大損害を負う。
此処に至って(書籍版5巻時点で)ようやく、ラウンズたちはシャドウガーデンを潰そうと動き出す。
その計画の名は『陰を狩る顎(あぎと)』
その全容は、まだ明らかになっていない。
女神ベアートリクスを信仰する、異世界で最大の信仰者を持つ宗派。
ミドガル王国・オリアナ王国・ベガルタ帝国を挟んだ多島海峡に位置する、四つの島から形成される「都市国家群」のひとつ「宗教国家オルム」を本拠地としている。
聖教は各地の悪魔憑きを引き取り天に送る事を旨としており、秘密裏にテンプラーに処刑させている。聖教内でもディアボロス教団の手が伸びており、聖教内でも水面下では様々な派閥が闘争を繰り広げている。