概要
CV.大地葉
『プリンセス・プリンシパル』の登場人物。
アルビオン王国の名門クイーンズ・メイフェア校の不良学生だが、その正体はアルビオン共和国により学内に送り込まれたスパイ。
自らの抜群のプロポーションによる色仕掛け、車のドライブテクニックで活動に貢献する。ちせやアンジェには劣るが格闘術にも秀でており、成人男性数人であれば敵にもならないほど。
性格は明るく大雑把。姉御肌で面倒見が良いが、スパイとしては情に厚過ぎる面があり、本人も自分の弱さとしてそれを自覚している。
無類の酒好きでもあり、プライベートでは酔っぱらっていることも多い。
シャーロット王女、アンジェ、ベアトリス、ちせ達クイーンズ・メイフェア校の学生からなるスパイチームのリーダーであり、コントロールとの連絡役も主にドロシーが担う。
リーダーだけあって任務に対しては真面目に望むのだが、癖の強いチームメンバーに振り回されることが多く、メンバー屈指の苦労人でもある。
所持品・装備
回転式散弾銃
リボルバーのような回転式弾倉を有する散弾銃。五連発で中折れ式。
本作オリジナルの架空銃器。元々はレバーアクションの銃を持たせる予定だったが、「ドロシーのスパイ衣装だと床屋のはさみに見える」ということでこのような銃になった。
印象的な銃なのだが、残念ながら本編中での活躍機会が少ない。
スキットル
飲んだくれ御用達の酒用水筒。中身はもちろん酒。
酔いを回して色仕掛けの効果を高めるために持ち歩いている。単に飲みたいだけという疑惑もある。
自動車
工作活動時の移動に用いる蒸気自動車。OP・ED映像でも登場する。長いボンネットと4灯のヘッドライトが特徴的なクーペ型のオープンカーで、座席は2人掛けのベンチシートが前後2つとなっている。
タービン式過給機を搭載しているという設定で、アクションシーンを注意深く視聴すると独特の高音が聞き取れる。
やたら頑丈であり、階段を駆け下りようがバリケードを突破しようが不具合の描写は無い。
制作にあたっては本作の設定年代からは幾らか後の20世紀初頭に実在した自動車のうち、幾つかをミックスしてモデルとしているという。本車以外でも作中に登場する自動車は同様に複数のモデルからデザインされている。
関連タグ
以下、ドロシーの軽いネタバレ
17歳と称しているが、実は20歳。20スパイとか言うな。
本名はデイジー・マクビーン。
父親は元蒸気技師のダニー・マクビーン。ダニーは事故で片腕を失って酒浸りになっており、母親は娘を置いて逃げ出してしまった。ドロシーとは、この母親の名前である。
母親が出ていった後はダニーの暴力に晒され、耐え切れずに家出した時にロンドン革命が起こり、アルビオン共和国の人間となる。その後は共和国の諜報機関であるコントロールのスパイとなり、現在に至る。
他のメンバーのように強い動機や忠誠心があって任務に臨んでいるわけではなく、先述した弱さもこの辺りが影響しているのかもしれない。
父親のことは心根から嫌っているわけではなく、ドロシーが時たま口ずさむ歌は、父親のお気に入りの曲である。酒好きもきっちり遺伝している。
考察
判明した名字から、彼女は現実でいうアイルランド系(アイリッシュ)に相当すると考えられる。
史実のアイルランドは16世紀以降英国(イングランド)の植民地として支配されており、19世紀初頭に連合王国に併合されてからもアイルランド人の権利拡大は遅々として進まなかったばかりか、文化的にも英国への同化を強いられた。経済的にもグレートブリテン島在住の地主に搾取される立場であり、1840年代後半にはジャガイモ飢饉と呼ばれる大規模な飢饉でグレートブリテン島やアメリカ合衆国などに大量の移民者が出た上、移民先でも差別を受けるという悲劇が発生している。作中世界でのアイルランドにあたる地域は描写されていないが、仮に同時期にこのような事件が起きていたとすると、ダニーは飢饉当時の移民者だった可能性もあるだろう。
こうした搾取が原因でアイルランド独立派はついに第一次大戦中にドイツの支援下で武装蜂起し、大戦後も闘争を続けて自治権を勝ち取った(第二次世界大戦後に共和国として完全独立)ものの、英本国の影響が強かった北アイルランドが英国に残る形で分断され、現在まで続く英国・アイルランド間の領土問題となっているという経緯がある。こうした史実を踏まえると、作中でのドロシーの立ち位置はかなり意味深なものと言えるだろう。
なお、現実のアイルランド人は大の酒好きで知られ、アイリッシュウイスキーをはじめとする様々な酒類でも有名である。