ナイトラス・オキサイド・システム
ないとらすおきさいどしすてむ
名称にはニトロ(以下ニトロとする)、ナイトロ、NOS(ちなみにこの名称は登録商標でもある)とも呼ばれる。
専用のボンベ「ニトロボンベ」に注入された亜酸化窒素(別名:笑気ガス)をエンジン内部に噴射させることにより車の加速をさらに引き出すことが可能。
液体の亜酸化窒素を吹き込むことで、気化する時に周囲の熱を奪い、同時に酸素を分離するのでより多くの燃料を燃やすことができる…という仕掛けである。
噴出方法はノズルの取り付け位置の違いで3種類あり、ガスのみをインテーク内で噴出し燃料量は既存のインジェクタ側で調整するドライショット、ガスと燃料を混合した状態でインテークへと噴出するウェットショット、ウェットショットのノズルを各ポートへ独立して設置する(4気筒であれば4か所)ダイレクトショットがある。
当初はマイナーな存在とされていたが映画ワイルドスピードで使われていたこともあり、映画のヒットとともに普及していった。
なお、名前が同じニトログリセリン、ニトロメタンは使用されない。
日本においてはD1グランプリでも使用されていたが2014年より使用禁止になっている。また、ニトロに用いられる亜酸化窒素も違法薬物に指定されているがニトロ専用の亜酸化窒素は販売規制対象とならない模様。
「ニトロボタンを押すことでニトロを放出することにより一時的に大きくパワーアップする」というわかりやすい演出であることや派手な演出でもあることから先ほどのワイルドスピードといったカーアクション映画、ニード・フォー・スピード、リッジレーサー、バトルギア4(正確には「オーバーテイクスイッチ」。NA車ならニトロを使用するがターボ車ならスクランブルブーストを使用)といったレースゲームにおいて必殺技あるいは超必殺技(マリオカートでいうならアイテムであるスーパーキノコ)として使用されている。
現実においてニトロはガスに充填されている分使用可能で一例としてニード・フォー・スピードアンダーグラウンドはゲージがある分、バトルギア4は1レースにつき最大3回まで使用可能。ただNFSの場合はサーキットシム系(プロストリート及びシフトシリーズ)や上記UG(アンダーグラウンド)シリーズ以外の作品に於いて時間経過(もしくは一定速度以上での走行)もしくは何らかのアクション(ドリフトやニアミス等のスタント走行、HP2010やMW2012では相手や警察車両をクラッシュさせる(テイクダウン)等のラフな走り)を行う事によりゲージを回復させる事が可能となっており、ゲージ内の残量が少量でも残っていれば(但し残量が殆ど無い場合は使用不可。またMW2012では『パワーショットナイトロ(1回の使用でゲージ内のニトロを使い果たすが、強烈な加速が可能)』なるものが使えるが、こちらはゲージがフルチャージにならないと使えない)1レース中に何度でも使用可能になる。
また、リッジレーサーの場合は基本的にドリフトでゲージをため、ゲージがたまればニトロが使用可能(ゲージは最大3本まで貯められる)というものだがシリーズによっては先ほどのニード・フォー・スピード同様に時間経過でチャージされるもの、ニトロの発動時間が短くなる分性能が飛躍的に上がるもの、ゲージの上限が2本しかなくなる代わりにニトロの持続時間が長くなるものなどニトロの性能が変えられることもある。
カーレース漫画「よろしくメカドック」においてもキャノンボールトライアル編において主人公の風見潤がセリカXXにニトロを搭載して参戦、ニトロを使用しデッドヒートを繰り広げたがゴールと同時にエンジンに限界が迎えてしまいエンジンブローしてしまった。
実はナイトラス・オキサイド・システムは元々はモータースポーツ用に考えられたものでは無かったりする。
第二次世界大戦当時のレシプロ航空機のエンジンブーストの一手法として考案されたもので、ドイツ空軍で「GM-1」と称する同様の装置が戦闘機などに装備され、出力と高高度性能の向上を狙ったものだった。
スクランブルブースト - ターボ車の過給圧を上げてニトロ同様にパワーアップさせる手法の1つ
ブースト:新世紀GPXサイバーフォーミュラに登場する出力上昇機構。こちらはガスを噴出するのではなく吸気した空気中の酸素イオン化して濃縮する方法。