現代において、冥王ハーデス、ヒュプノス、タナトスの三柱もの神々が、人間たち(聖闘士たち)によって倒されたことを、「天地始まって以来の大罪」と見なして現世に甦り、紀元前に存在したネメシスの聖域を甦らせて居城とし、英魂士たちを率いて神罰に乗りだす。
聖闘士たちが神々を殺めた理由が「地上を守るため」であることから、その守るべき地上そのものを消し去ることが相応しい罰として、自身の分身である小惑星アドラステアを地球近くへと導き、それを地球の引力によって崩壊させ、無数の破片として地上へ降り注がせることで、地上を焼きつくし、人類すべてを滅ぼそうとしている。
地上と人間たちに対する脅威という点では、星矢たち聖闘士が戦っていた海皇ポセイドンやハーデスと同じだが、ハーデスは「人間とは生かさず殺さず支配するもの」「生あってこそ我が死の恐怖も力を持つ」として人間の全滅や地上の破壊を望んでおらず、地上の一切を滅ぼして無とするネメシスのやり口を「何の価値があろうか」と批判している。同様にポセイドンもネメシスの神罰で海にまで被害が及ぶことを望まず、「あのじゃじゃ馬は加減というものを一切知らぬ」と批判している。このことで、星矢たちに敗れた海闘士(海将軍)が、ハーデスの力によって冥界から現世に甦り、ポセイドンのもと、ネメシスと英魂士たちとの闘いを繰り広げることとなる。
余談
本作の企画時には、アテナと聖闘士たちが、有史以前から何度も神罰を阻止してきたことから、未遂に終わった神罰のエネルギーから生まれた神罰の化身がネメシスという設定だった。また、ポセイドンの妻であるアンフィトリテがポセイドンを甦らせるために聖域を侵攻するという案もあり、このアンフィトリテの性格や口調は、一部ネメシスに引き継がれている。
原典『聖闘士星矢』では、アテナが天帝ゼウスの娘であるなど、ギリシャ神話の人間味に満ちた細部を切り捨てて、神々を超然とした存在にアレンジしていることから、ネメシスもまた、ヒュプノスとタナトス、『聖闘士星矢ORIGIN』に登場した女神ケールの妹にあたることや、ゼウスとの間に双子座の神話のモチーフとなったディオスクロイを産んだという説も切り捨て、単に神罰と義憤の化身という性格と外見だけが採用されている。