英魂士
すぴりっと
『義憤と神罰の女神ネメシス』に仕える戦士群の総称。『星矢世界』で活躍する闘士達の殆ど全て神話に登場する人物に因んだモノが定石だが、彼らは正真正銘神話の時代に生きて名を残す当人自身である。その実力は敵対した神々の勢力に属する上級闘士よりも格上で、只の拳や蹴りだけで完全装備の防具に罅を入れて破壊。修行して神に近い実力を持った現代の人間をも軽く凌駕する(それだけでなく神々の加護や血筋によるものも大きい)。一方で何らかの形で人や世、己の人生を憎み、心の闇を覗かせる。
だが、実際は肉体が永遠に在るのではなく、神話通りの最期を迎える前後、彼女の奸計を受け入れた上で与えられた防具『憑衣』を依り代に全盛期の肉体を与えられ魂を保存しているに過ぎない。事実、彼等が大ダメージを負って倒されると肉体は消え去り、憑衣のみがオブジェ形態の状態で残る。
ペガサスを愛馬に神話の時代にキマイラを討伐した英魂士。しかし、神に挑もうとして神の怒りを買い、落雷を受けて死の寸前にネメシスに救われ、英魂士となった。
憑衣は天馬を模し、戦法は天を駆けるが如く相手の武器や技に突っ込み、跳ね返す程の突進技を誇る英魂士の特攻隊長。
ポセイドンの力で撤退したソレント、シャイナ、貴鬼を追い、蘇った海将軍の場に現れ、結界を張ろうとするポセイドンの守護しようとするクリシュナと対決。
当初クリシュナのゴールデンランスも、マハローシニーの力もその突進で跳ね返して圧倒したが、自分の出会った聖闘士を思い出してクンダリーニを再燃させて真鱗衣に目覚めたクリシュナのゴールデンランスにはカウンターで両断され、敗北した。
彼の憑衣は神話時代の愛馬を模しているため、憑衣のデザインはペガサスの聖闘士を彷彿させるデザインとなっている。
弦楽器で相手を惑わす幻覚の使い手で、唯一の女性英魂士。芸術の神ミューズの一人で、芸術により平和が訪れると信じていたが、戦乱は収まらずに心が折れたところ、ネメシスに声を掛けられ、神の座を捨てて英魂士となった。憑衣はハープ型。
進軍する海将軍からソレント、バイアン、イオの3人を分断し、幻術で同じ場所を延々と走らせることに成功するが、術を見破られてソレントと対峙。
彼との対決すると、相手のトラウマを刺激する幻覚でソレントを翻弄するが、人間に諦観を抱いていた過去とジュリアンとの旅で、音楽を知らなくても自分の笛を聴いて癒された子供たちと言う人への希望を取り戻したことの狭間で真鱗衣に目覚めさせたソレントの音楽に感動を覚え、浄化され敗北した。
かつて神話の時代に竜を倒して英雄になった巨漢の男。戦神アレスの呪いで子や孫たちを喪った後悔をネメシスにつけ込まれ、神に抗う者を自らの拳で打ち砕くべく、英魂士となった。憑衣は神話のカドモスが姿を変えた大蛇の姿。
戦法は恵まれた膂力で相手の技を受け止めて跳ね返し、捕らえた相手をその力で叩きつけて圧倒する典型的なパワータイプ。
カノンとカーサのタッグの前に立ち塞がる。2人の必殺技を真正面から受け止めて跳ね返して圧倒(危うく手首がやられるところだったが、ギャラクシアンエクスプロージョンも受け止めた)し、正面からは倒せないと判断したカノンはゴールデントライアングルで足止めして、カーサに心を読む時間を稼ぐが、カーサでも心を読めない虚無を持ち、カノン達の心を1度は折る。
しかし、このまま敗北し何も成し遂げずに終わりたくない、死後に母に自慢できる功績を挙げたいと言う一心から真鱗衣に目覚めさせたカーサのエビルアイズハレーションで、過去に英雄となり妻と子宝に恵まれたが、自分以外の家族を失い、神には逆らえぬと屈して英魂士となったトラウマを暴かれ、無防備になったところをカノンが幻籠魔皇拳を受け、彼に操られてネメシスの元へ案内と神を討てと指示される。
- 天寵(グラツィア)のアイネイアース
ポルクスと並ぶ英魂士の重鎮。かつて神により滅ぶ運命から救われた一族の者で、神の力を授かった男。ネメシスの右腕である法と正義の女神ユスティティアに代わって、審判殿を預かっている。
本陣まで来た海将軍に、海将軍とならなかったifの世界を体験させるが、海将軍として生きる覚悟を決めていたバイアンとイオはその世界を拒んで戻ってきて対決。
神の力で暴風と雷を操る圧倒的な力を持つが、単純な格闘戦では未熟な面を垣間見せており、波状攻撃で打撃技は受けているが、憑衣で防がれダメージは最小限に抑えられ、イオが放ったビッグトルネードは自分の本領と性質が似ており、この技の受け流したのを機に体勢を立て直し、コロッサルタイフーンの暴風で形勢は逆転させる。
それでもイオは特攻と鱗衣の大蛇の力で羽交い締めに成功し、イオは自分ごとアイネイアースを倒せとバイアンに命じるが、逆に味方への攻撃を躊躇してしまったバイアンの隙を突いてイオを神の雷で失神させる。
そのままバイアンにとどめを刺そうとするが、自分の甘さを痛感したバイアンは空気の防御壁で必死で食い下がり、かつて敗北した少年の様な泥臭い執念がイオの意識を取り戻させ、2人の小宇宙が共鳴するかの様に増大して、真鱗衣に目覚めてしまう。
その力に圧倒されかけ、再度コロッサルタイフーンを仕掛けるも、2人がかりの必殺技サイクロンメイルストームに敗北する。
自身も他者から借りた力に慢心していたのかと潔く敗北を認めるが、そこにクリシュナとソレントが合流してきたことで、長年の心中にあった想いと託せる勇者を待っていたと語り始めるが…
- 不滅(アタナシア)のポルクス
アイネイアースと並ぶ英魂士の重鎮。双子座の神話となった双子の弟。
ネメシスの神殿の裏口を守護し、ネメシスの寝所に操られたカドモスが強引に行こうとしたため、しょうがなくカドモスを撃退する。
更に、姿を隠していたカーサの術を見抜いて撃沈し、カノンと対決。
カノンは双子座の神話の弟と戦うことに運命の皮肉を感じ、海将軍だが双子座のカノンとして戦う。
ボクシングを得意とする拳のみで戦うパンチャーで、彼の戦闘シーンはリングにかけろに近い。
ギャラクシアンエクスプロージョンも光速拳も当たらず、人相手ではなく神話の神や怪物を相手に鍛えた拳闘術でカノンを圧倒する。
ポルクスの真の脅威はパンチではなく、光速以上の動きでも説明がつかない攻撃を全てすり抜けていく正体不明の防御術であり、追い詰められたカノンはポルクスの両腕を抱え込んだクリンチからの自爆と言う手段を採るが、動けないはずなのにいつの間にか鱗衣の腹部を貫く拳を打ち込んで、カノンに再度のダウンを奪った。
- 竜牙兵(スパルトイ)
他の勢力の雑兵に値するが、骸骨の兵士で現世の生者ではない。
- 憑衣
ネメシスの軍門に降った英雄の全盛期の肉体データを記録と保存し、有事の際に再生可能で、ネメシスの尖兵として蘇る仕様となっている。
作者はその設定をヤドカリの貝殻をイメージして「シェル」と名付けたとのこと。
聖衣、鱗衣、冥衣と違い、「銀翼」「幻奏」のような称号ではなく「ベレロポーンの憑衣」「テレプシコラの憑衣」などのように、英魂士本人の名が名づけられている。
作者のnoteによると、この作品は東映まんがまつりをモチーフとした短期決戦の物語のため、敵組織も小規模でまとめられた。さらに、海将軍たちが鱗衣をパワーアップさせて逆転するにあたり、同じことを海将軍7人分、つまり7回繰り返すのは制作上も読者側も負担が大きいと考えられたことで、人数は5人に絞られた。
原典『聖闘士星矢』では、海将軍は黄金聖闘士と同格のため、彼らが神聖衣に相当する真鱗衣で戦う敵としては、常人では役不足、かといって神そのものを敵とする設定は『エピソードG』ですでに先取りされている上に、ネメシス配下になりそうな神にあまり強そうな者がいないとの理由で、ギリシャ神話の英雄との設定になった。
憑衣のデザインは原作の鎧風よりもアニメの聖闘士星矢Ωの様な、身体にフィットしたデザイン(作者曰く布クロス)に近い。
作者は原作本編に寄せた画風で連載予定だったが、デザインはΩの布クロス風のまま登場させるとバランスが崩れるのではと懸念したが、逆に原作本編風の作品にΩのデザインを登場させる実験に出来たと前向きに捉えている。