概要
世界最古の双六とも言われるボードゲームの一種で、紀元前3千5百年前の古代エジプトでプレイされたセネトと呼ばれるゲームが原型とされている。
日本の飛鳥時代の頃に雙六・盤双六という名前で伝来し流行していたが、朝廷や幕府に賭博の一種として禁止され、バックギャモンとして再上陸まで衰退していた。
海外(特に北米、欧州、中東) ではメジャーなゲームとされており、世界のプレイ人口は約3億人程いる。日本ではややマイナーだがチャンピオンを何人も輩出している。
サイコロを使うため運要素もあるが、後述のルールで運以上にどこにコマを動かすかが重要にて戦略性も問われる。
ボード
24箇所の地点(ポイント)と、一時的にゲームから取り除かれた駒を置く場所(バー)、ゴールからなっており、各プレイヤーは、第6ポイントに5つ、第8ポイントに3つ、第13ポイントに5つ、第24ポイントに2つの駒を初期配置する。
ルール
自分の15個のコマをサイコロを振って出た目の数だけ進ませ自分のゴールに全て集めさせたら勝ちだが、いくつかの細かいルールがある。
ゲーム用語
ここでは説明するうえで重要なものの一部を説明する。
名称 | 意味 | 備考 |
---|---|---|
インナーボード(インナー) | ゴールに近い6マスの部分 | 全てのコマを集めるとゴール可能 |
アウターボード(アウター) | ゴールから遠い6マスの部分 | ヒットされた際のエンター先 |
バー | ヒットされたコマを置く中央の場所。 | バーからコマを出さないと他のコマを動かせない |
ポイント | いわゆるマス目の事で、三角形一つ一つが1マスになり、本ゲームでのポイントは24マスになる。 | バーとゴールを合わせると実質26マス |
ブロック | 同じポイントにコマが2コ以上ある状態。 | 本ゲームの重要要素 |
ブロット | 同じポイントにコマが1つしかない状態。 | 良くも悪くも形勢逆転の要因 |
バックマン | 初期配置の時、最も振り出しの地点にある2つのコマのこと。 | 最優先で進ませたいところ |
ヒット | 相手のコマを取ること。 | 相手のブロットに進入 |
エンター | ヒットされた状態からアウターに復帰すること。 | ブロックのないマス |
ダンス | ヒットされた状態で出た目のアウターに相手のブロックがあって復帰できないこと。 | 1回休み |
クローズアウト | ヒットされた状態かつアウター全てに相手のブロックがある状態。 | 詰みに等しい状態 |
ゲームの進め方
- 最初は双方とも一個ずつサイコロを振り、大きい目を振ったほうが先手となり、出た目にしたがって駒を動かす。先手後手を決めた後は、交互に二個ずつサイコロを振って出た目にしたがって駒を動かす。自分側のコマは反時計回りに、逆に相手側は時計回りに動かす。
- 二つのサイコロの出た目の数だけ自分のコマを進ませる際、一つのコマを多く進ませたり、別々のコマを出た目ごとに進ませたりすることができる。振った出た目の進ませ方に順番はないが、動かせる状況であれば必ず二つのサイコロの出た目の数だけ進ませる。
- ゾロ目が出た場合、出た目の数を4回分進められる。
- (例)1・1が出た場合、一マス進ませることを4回もできる。
- 敵のブロックが置いてあるポイントには自分のコマを進ませることができない。
- 自分のコマを進める際出た目の先に相手のブロットがあれば、そのブロットを取りバーに置かせる(ヒット)ことができる。(これは双六でいえば相手のコマを振り出しに戻させるようなもの。)
- ヒットされたプレイヤーは次の自分の番の時に取られたコマを振ったサイコロの出た目の先のアウターに復帰させないと進ませることができない(エンター)。出た目の先が置けない所だとダンスとして一回休みで相手の番になる。
- 2つの目のうち、どちらかの出た目の数だけ進ませることができるが、どちらか一方しか動かすことができない場合、必ず大きい目を使用する。
- (例)ゴールから13番目に離れているポイントのコマの場合、4と5の目が出て目の数の合計9の移動先に相手のブロックがあれば5の目の数だけしか進ませられない。
- 自分のインナーボードに15個のコマを集めさせたらゴールへ進ませる。基本的にゴールにピッタリの目がでたらゴールできるが、そうでない場合はゴールできない。ただし、自分の全てのコマの中で最後尾のコマに限っては、ゴールまでの数以上の目が出たとしてもゴールすることができる。
- (例)最後尾のコマがゴールから2番目のポイントにある場合、3の目以上が出てもゴールさせることができる。
- なお、この時に自分のブロットが取られてしまった場合も復帰させない限り進ませることができない。
- (例)最後尾のコマがゴールから2番目のポイントにある場合、3の目以上が出てもゴールさせることができる。
ポイントマッチと勝ち方
ポイントマッチとは、ゲームに勝ったその時の状況で点数を加算し規定の点数に達した方を勝利するゲーム形式の事。基本的には奇数点であることが多い。勝ち方には次の3通り存在する。
勝ち方 | ポイント | 相手のゴール状態 |
---|---|---|
シングル | 1 | 1個以上 |
ギャモン | 2 | 0個 |
バックギャモン | 3 | 0個かつ自分のインナーもしくはバーに1個以上残っている |
ダブル
ゲームのプレイ中にサイコロを振る際、そのゲームの得点を2倍にする提案を「ダブル」という。この提案を受け入れなかった場合、その時点でゲームを終了し提案した側のプレイヤーに1ポイント獲得する。受け入れる行為は「テイク」、断ることを「パス」という。
現在の倍率の表示はダブリングキューブと呼ばれる2、4、8、16、32、64の記されたサイコロを使用し、そのキューブの置かれた位置によって次にダブルをかける権利のあるプレイヤーを示す。初期状態ではキューブは中央に置かれ、また通常のダブリングキューブには1の面がないため、64の面を上にしてその代わりとする。
まだダブルを提案していなければどちらのプレイヤーがやっても構わないが、2回目以降のダブル(これをリダブルと呼ぶ)は前回のダブルを受け入れた側のプレイヤーが提案できる。この場合は4倍、8倍……と倍々で大きくなる。
リダブルの提案の場合、パスすると2ポイント相手に得点が入り、テイクすると得点が倍の4点になり、これはその都度リダブルすると得点も倍になっていく。
ダブルにはポイントを2倍にする事と、終盤になっていくにつれ単調になっていくゲームを終わらせる(優勢な方は勝利できる状況であれば単なる作業と化し、劣勢な方は一発逆転にかけてダイスを振り続けなければならないという無意味な事をしなければならなかった。)という2つの特徴があり、ダブルの導入は、バックギャモンの今を作ったとされている。
名前の由来
サクソン語で「後ろ」と「ゲーム」という物とウェールズ語で「小さい」と「戦い」という意味の二通りが存在する。NintendoSwitchのゲームソフト 「世界のアソビ大全51」のドヤ知識では後者の方が採用された。
(注)ゲーム内での表記
「バックギャモン」はウェールズ語で「小さな戦い」という意味。
関連タグ
逆之上ギャモン:ファイ・ブレインのキャラクターで名前の由来がこれである。
妖逆門:直接は関係ないが、こちらの名前の由来もこれだと思われる。
すぎやまこういち…バックギャモン協会の名誉会長を務めた。1977年日本選手権優勝・ファミリーコンピューター・ディスクシステムのバックギャモンのゲームの作曲も担当した。