「…私は ヒストリア・レイス この壁の真の王です」
概要
『御城プロジェクト:RE』経由でここへたどり着いた殿の皆様は、ここより先はネタバレが多いため、クリスタ・レンズの記事をご覧いただくことを推奨する。
過去
ヒストリアはウォール・ローゼ北部にある貴族家・レイス卿の領地内にある小さな牧場で生まれた。
父親は領主であるロッド・レイス、母親のアルマはその使用人にして妾であった。
その生い立ちゆえに、牧場で共に暮らす祖父母や母親、牧場の周囲の領民からも存在を快く思われておらず、孤独な幼少期を過ごした。
ヒストリアの孤独を埋めるものは人間の世界にはなく、牧場の動物たちだけが友達だった。
ウォール・マリアが崩壊した数日後、父ロッドがアルマを連れてヒストリアを迎えに来る。しかし、ロッドの思惑を阻止しようとした中央憲兵によって母親と共に殺されそうになる。
その直前でロッドは「ここよりずっと遠くの地で慎ましく生きるのであれば見逃してやってはどうか」と提案し、ヒストリアにクリスタ・レンズという新しい名前を与えたのであった。
その後2年、開拓地で過ごし、12歳になって104期訓練兵団に入団することになる。
性格
父親から与えられた「クリスタ」という名前を名乗っていた頃は、周りから”女神”と評されるような「いつも他人を思いやっている優しい子」を演じていた。
彼女がそんな性格を演じていたのは、「良い人だと思われて死にたい」という感情を抱いていたからであり、調査兵団を志望したのも彼女の潜在的な自殺願望の表れであるとユミルは指摘している。
ウトガルド城にて命がけでヒストリアを助けようとしたユミルの姿に感化され、一度は自分のために生きると決意した彼女であったが、そのユミルが自分を残していなくなってしまった後、無表情、無感動な姿へと変貌を遂げた。しかしヒストリアはこれが本来の自分であると語っている。
その後王政編を経て自分のやりたいことを見つけたヒストリアは生きる意思を取り戻し、正直で活発な性格へと変化していく。
決意
レイス家は壁内の真の王家として代々巨人化能力を継承し、壁内に存在する大多数民族の記憶を操作して閉鎖的な国を維持してきた。ルーツの異なる少数民族はその影響を受けず、アッカーマン家と東洋一族を除いて、殆どが口封じの見返りに貴族になった。
後にエレンと共にヒストリアは中央憲兵団に誘拐され、実父のロッド・レイスに引き合わせられる。その際に、レイス家が所持してきた始祖の巨人の力と、失われた世界の記憶について知らされた。
元々当主であるロッドは正妻との間に5人の子どもがいた。ロッドの使用人であったアルマはあわよくば領主の妻になれればと思いヒストリアを産んだが、領民や王政にとってヒストリアは不名誉な存在でしかなかった。そのためその存在はなかったことにされようとしていたが、グリシャによってレイス家の子供達が全員殺されたため、ロッドは唯一の後継者となってしまったヒストリアを取り返そうとした。
しかしそれが叶わず彼女にクリスタ・レンズの名を与えて開拓地へ送ってから5年後、エレンの巨人化が発覚した事でレイス家から巨人の力が失われていたことが判明し、その事実を白状したロッドは王政と共にエレンとヒストリアの身柄を確保しようとしていた。
生い立ちのせいで家族からも周囲からも疎まれていたヒストリアであったが、フリーダはそんな異母妹の事を気にかけて何度も会いに行き、彼女に読み書きなどを教えて優しくしてくれていた。フリーダに記憶を操作されていたヒストリアはその事を忘れていたが、教会の地下でエレンに触れたことで優しい姉を奪ったグリシャへの怒りと、たったひとりの家族が自分を必要としてくれた喜びを思い出す。
そうして父が望むままに注射で巨人化し、エレンを捕食して巨人の力を奪還しようと決意した。
『クリスタ お前の生き方に 口出しする権利は私にない』
レイス家の血が流れる自分がエレンの力を継げば、巨人を駆逐することのできる真の力を得るのと引き換えに、自分の意識は初代王の思想に支配されてしまう。それでもヒストリアは構わなかった。
『だから これはただの…私の願望なんだがな』
人はもう祈ることしかできない。神という存在になり、壁内の人々を守ることが自分の使命であり、何よりも父が望む自分の姿であるのだから。
『お前…胸張って生きろよ』
『何が神だ‼︎ 都合のいい逃げ道作って 都合よく人を扇動して‼︎』
『もう! これ以上…私を殺してたまるか‼︎』
かつてのユミルの言葉が、あの時はヒストリアに届かなかった願いが頭によぎった瞬間、ヒストリアは注射を床に叩きつけ、逆上して掴みかかってきた父親を背負い投げで床に叩きつけた。
そして拘束されているエレンに駆け寄り、鎖をほどきながら己の気持ちを吐露する。
『いい子にもなれないし 神様にもなりたくない でも…自分なんかいらないなんて言って 泣いてる人がいたら…そんなことないよ って伝えに行きたい』
父親との離別を決意し、巨人となった父を自らの手で倒した後、自身が真の王であることを民衆に公表し女王に即位する。
女王になって以降は壁内の孤児や困窮者達を支援し、民衆からは「牛飼いの女神様」と親しまれるようになった。
マーレ編
852年、港の完成を機にパラディ島唯一の友好国となるヒィズル国の特使としてキヨミ・アズマビトが来訪する。
ヒストリアをはじめ兵団の要人が集まり行った会談でキヨミは、ヒストリアたちパラディ島とその住民を守るための手段として、ジークの計画を伝える。
その計画は
・パラディ島にある「地鳴らし」の一部を世界に公開し、その破壊力を見せつけること
・パラディ島の軍事力が世界水準に達するまで約50年かかる。その間はヒィズルが介入する
・その間は「地鳴らし」を機能し続ける必要があり、そのためには始祖の巨人(エレン)の保有者と、王家の血筋(ヒストリア)の保有者の継続的な維持が必要であり、ジークは獣の巨人を王家の血を引く者へと継承すること。
「王家の血を引く者」は13年の任期を終えるまで可能な限り子を増やすこと、そのようにして獣の巨人を王家が継承し続けるという提案をヒストリアは受け入れる。
だが、この会談に同席していたハンジは苦悩し、エレンは
「家畜みてぇに子どもを産まされ殺されて、やっと生きられることを許されるっていうのなら…オレはジーク・イェーガーの計画は到底受け入れられません」
と強く反発し、「地鳴らし」以外の選択があるかどうか模索するべきだと主張し、この件は保留された。
しかし…………
キヨミ来訪から2年後。調査兵団がマーレのレベリオ区へ遠征した854年時点で妊娠し、出産まであと数か月になっていた。
ヒストリアの妊娠は兵団でも突然のことだったらしく、婚礼もなしに妊娠したことに対し憲兵団のローグは「出産まで巨人の継承が延期されるため、わずか数か月の延命のために妊娠した」と語り、ナイルは「幼馴染との馴れ初めの末であり女王の自由意志」だと考え、リヴァイやハンジは「ジークの提案を受け入れたことの覚悟の現れ」だとしている。
実はヒストリア自身は他に最善策がなかったとジークの提案を受け入れようとしており、マーレ遠征前に牧場でエレンにその意思を打ち明けていた。
だがエレンは
「お前が良くても…俺は違う」
「お前に島の生贄になるためだけの子を産ませ、親子同士を食わせ続けるようなマネはオレがさせない」
とそれを拒否。全ての憎しみの連鎖を終わらせるため地鳴らしを実行し、世界を滅ぼすと宣言する。
エレンの覚悟に慄くヒストリアはエレンを止めなければ胸を張って生きられないと説得を試みるが、逆にエレンに「お前はあの時オレを救ってくれた世界一悪い子なんだから」と説得され「じゃあ私が子供を作るのはどう?」とエレンに提案していた。
つまり、妊娠はエレンのこれからの行動を踏まえた上で決断したことだった。
この妊娠の目的自体は作中はっきりとした形で明かされることはなかったが、パラディ島に来たジークを闇討ちして獣の巨人の力だけを得ようとするパラディ島の一部の人間が、巨人の力を得るべきヒストリアが妊娠していたことで二の足を踏み、結果としてジークの脱走、ジークとエレンの接触を許したという状況を考えると、ジーク(あるいはエレンも)から力を取り上げてヒストリアに献上しようとする壁内勢力を抑え込み、エレンの計画をスムーズに進めるための妊娠であった可能性は高い。
「悪い子」を自称する彼女らしい、嫌らしくも巧みな作戦と言える。
そんなわけである程度は計画のために為された妊娠ではあったようだが、かと言って、お腹の子に対する愛着が無いわけでは無かったようである。
(以下、記事最後のネタバレ項目へ)
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以下、最終話ネタバレ注意
最終話で例の幼馴染と3歳になった娘と3人でささやかな野外パーティを開こうとしている様子が描かれた。
平穏に暮らしているようだが、女王の地位を退いたわけではなく、相変わらずエルディアの国家元首となっている。アルミンたちが島の外から親善大使としてやって来るのを待つエルディア側の集団の中には女王として正装した彼女の姿があった。