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第二次世界大戦中にイギリスで開発された自走砲である。


砲塔を撤去したバレンタイン歩兵戦車の上に当時のイギリス軍の主力軽野砲だった25ポンド砲(口径88mm、砲身長31口径長)を設置し周囲を箱型の装甲板で囲ったものだった。着想から量産開始までわずか半年という短期間で開発されたため、さまざまな問題を抱えていたが、イギリス初の本格的な自走砲となった。より完成度の高いセクストン自走砲が完成すると早々に前線からは引き揚げられた。


開発期間短縮のため自走砲化に当たって専用の砲架は開発されず、牽引砲型の25ポンド砲の砲架を車輪を外したうえで流用していた。25ポンド砲は単純にバレンタイン歩兵戦車の車体上に設置されたため車体内部スペースを有効利用できず背の高い自走砲となった。


大型の箱型の上部構造は一見すると砲塔のように見えるが、車体の上に設置した25ポンド砲の周りを装甲板で囲っただけで、旋回機能は無い。25ポンド砲から車輪を外しただけの砲架は左右5度ずつしか旋回できず、目標が移動するたびに射界に収めるために車体を移動させる必要が生じ使い勝手は悪かった。


上部構造を構成する装甲板は小銃弾や砲弾破片に対する防御を意図したもので厚さは15mm以下と薄く砲弾の直撃や対戦車兵器には耐えられなかった。この密閉式戦闘室は防御上は一定の効果を発揮したが、内部が狭く不評だった。


また、砲の設置方法の問題で、大仰角を採ると砲尾が車体に干渉する問題が生じ、最大仰角を15度に制限する必要が生じた。このため射程が牽引砲型の25ポンド砲(最大仰角45度、射程12km)よりも大幅に劣化し、たったの5.9kmになってしまった。これを補うために、車体を傾斜地に乗り上げさせて仰角と射程を稼ぐという面倒な運用を行わなければならなかった。


展開や撤収の準備に時間がかからない利点はあったものの、元となったバレンタイン歩兵戦車が低速・重装甲の車両だったため、路上最大速度は25km/hしか出ず、牽引式25ポンド砲の方がまだ速いと言われるぐらいだった。歩兵戦車譲りの重装甲も上部構造が紙装甲だったためほとんど無意味だった。


ビショップ自走砲はこのように多くの欠陥を抱えており、しばしば駄作兵器の1つに数えられるが、数々の欠陥の代償として早期に開発を完了できたことで北アフリカ戦線の重要な局面に間に合い、一応の活躍を見せたという点では成功だったと言える。とはいえ、あくまでも「本格的な自走砲が完成するまでの間に合わせ」という立ち位置であり、1943年になりより完成度の高いセクストン自走砲が実用化されるとすぐに前線から引き揚げられた。

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