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ビストロン

びすとろん

平沢進によるプロジェクト、核P-MODELの第一作目に当たるアルバム及び収録曲のタイトル。
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概要編集

P-MODELの核を受け継ぎ平沢進が開始した核P-MODELの記念すべき第一作目として2004年10月7日に自主レーベルのテスラカイトからリリースされた。

端的に言うならば、謎の存在「アシュオン」からのメッセージを平沢が一人翻訳して表したアーカイブで、世間を騙し続けるマスメディアとそれに踊らされる人々の様を主軸に据えている。電子的かつ攻撃的なサウンドと歌詞が特徴でそれまでのソロとは明確に作風が差別化されている。

ジャケットに書かれた文字は神代文字の一種である豊国文字で、分かりにくいが縦書きで「核P-MODEL ビストロン」と読める。ディスクに描かれている扇子はライブでも実際に使用された。


アシュオンの異変と核P-MODEL編集


不可思議な物質(あるいは生物?)「アシュオン」にまつわる

大規模な人体実験として活動を続けたP-MODELは、

その20年にも及ぶ実験レポートを即出「太陽系亞種音」の中に公開し、

静かに「培養期」へと突入した。



そして、2004年のある日。P-MODELの再編成を待たずして異変は起こった。

同じく「生物説」に基づき培養器の中で観察されていた「アシュオン」の、

核とも呼べる中心部に突如生じた能動的活動パターン。

執拗に繰り返されるパターンに「意志」を見たヒラサワは、

その活動そのものを「核P-MODEL」と命名し、一人パターンの翻訳に没頭した。



アシュオンの異変は、培養器の中にアンチ・ビストロンが侵入したことによって生じ、加速された。

人々の取り巻く世界が、ありのままの実態としてその姿を見せるのは、

自然界に遍く存在するビストロンが正しく機能しているからである。

しかし、人為的に放出されるアンチ・ビストロンの関与によって

ビストロンは機能不全を起こし、人々は誤った世界像を見せられることになる。

アンチ・ビストロンは現在、主にマスメディアを通じて大量に放出されているが、

ここ数年でその量は激増の一途を辿り、ついに培養器の中にまで侵入し、

アシュオンの体内に入り込んだのだった。



翻訳機が最初にはじき出したアシュオンを表す文字「亜種音」は、

かつての「亞種音」の変異形であった。メディアを通じて放出される

アンチ・ビストロンを「亞」という文字の中心に開いた空間から逆流させないよう

アシュオン自らが「亜」という文字に変更し、空間を遮断したのである。



しかし、アシュオンに侵入した僅かなアンチ・ビストロンの逆流を防いだところで、

メディアによるアンチ・ビストロンの大量放出が止むわけではない。

危険を察知したアシュオンは休みなく活動を続け、

いくつもの言語的なパターンを翻訳機に送り込んだ。



かくしてここに、核P-MODELの翻訳アーカイブ「ビストロン」は誕生した。

                       「ビストロン」ブックレットより引用


収録曲編集

01.二重展望3(1:42)編集

インストゥルメンタル。P-MODELの二重展望シリーズの三作目。ライブ「トーキョー・ビストロン」の4日間の公演のオープニングとしてアレンジされた二重展望3.1~3.4が演奏された。3.1~3.3は核P-MODELライブ達成記念としてテスラカイトのショップで購入できる他、3.4はライブ音源集「LIVEの方法2 導入のマジック」に収録された。2020年4月1日の平沢の誕生日には新たにアレンジされた「二重展望2020」が無料でMP3配信された。


02.Big Brother(3:23)編集

タイトルはジョージ・オーウェルの傑作ディストピア小説1984」に登場する指導者から取られた。平沢は同アルバムの解説で、「初期のP-MODELにこのタイトルの曲が無いのが不思議なくらい」と述べている(P-MODELデビュー作のIN A MODEL ROOMも1984を下敷きにしているため)。公式サイトから無料でダウンロード可能。

2008年にRemixされた上で、シングルカットされた。


03.アンチ・ビストロン(3:47)編集

平沢曰く「80年代風と言えなくもない」。「ファイファイ屋」「フェイイェイ派」など独自の単語が盛り込まれている。

2005年にRemixされた上で、シングルカットされた。


04.崇めよ我はTVなり(4:11)編集

痛烈なテレビ批判曲。イントロやアウトロにジョージ・W・ブッシュが2002年に発したの"mass destruction"がサンプリングされている。余談だが、2013年の核P-MODELライブ「パラレル・コザック」の会場がTBS運営の赤坂BLITZで、そこでの一曲目としてこの曲が演奏された。


05.巡航プシクラオン(4:13)編集

06.暗黒πドゥアイ(3:27)編集

パイドゥアイとはタイ語で「一緒に行きましょう」の意味。イラク戦争米軍、そして自衛隊を派遣した日本を暗喩していると思われる。前述の二重展望3と同じく、核P-MODELライブ達成記念としてライブバージョンの「暗黒πドゥアイ(マイナーバージョン)」がテスラカイトのショップから購入できる。


07.パラ・ユニフス(3:07)編集

間奏のブザーのような音声はアニメ「妄想代理人」のオープニング「夢の島思念公園」の中盤部分と同じ処理がされている。当初は無料配信曲の候補だった。


08.Space Hook(3:44)編集

イーヤ ソイヨ イ ラッタリヤホー ラッタリヤ イ」という歌詞はブックレットでは「翻訳不可能」と注釈が添えられている。


09.ビストロン(5:04)編集

平沢曰く「和風」。


10.アンチモネシア(4:45)編集

アンチモネシアとは、亜種音のメッセージによると南太平洋のどこかに存在した群島で、その土壌がレアメタルの一種、アンチモンをふんだんに含んでいたことから「アンチモネシア」と呼ばれていたらしい。超国家的な海賊集団によって滅亡させられたが、このことは歌詞の中に盛り込まれてはいないという。

関連タグ編集

平沢進 核P-MODEL P-MODEL ディストピア


外部リンク編集

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