概要
フランシーヌは、本編より遡ること約200年前の過去篇に登場する女性で、錬金術師の兄弟・白銀、白金と並ぶ、物語の始まりを司る重要なキャラクターの1人である。
人物
1780年代の神聖ローマ帝国時代のプラハで暮らしていたリンゴ売りの女性。誰に対しても優しく慈愛を持って接した為多くの人々に慕われていた。屈託の無い無邪気な笑顔が印象的で、容姿の美しさとも相まって非常に魅力的だった。白兄弟と知り合った当初は明るく活発な面が目立ったが、金に拉致されて以降は病に冒されていたこともあり、打ち沈んだ姿を見せていた。
経歴
元々はフランス・クローグ村出身だったが、12歳の時に村が飢饉に見舞われ、口減らしの為に人買いへ売りに出された。その後人買いから逃れてプラハに流れ着き、リンゴを売ったりお針子の仕事をしたりして糊口を凌いでいく。生活は貧しかったが、身寄りの無い孤児たちを積極的に引き取って面倒を見たり、近隣の住民に自身の食べ物を分け与えたりと常に他者への気遣いと思いやりを忘れなかった。
一緒に暮らしていた孤児の1人が重度の肺炎を患った際、金が底を突いて医者にも診せられず、思い倦ねた末に卵泥棒をした過去があり、肩口には罪人の証である烙印が押されている。しかし卵が結局口に入ることは無く、その子は病死してしまうという無惨な結末も明かされている。
偶々薬売りをしていた白兄弟と知り合い交流するようになるが、彼らのフランシーヌへの想いが高じて恋心に変化した時に悲劇は訪れる。銀が先にプロポーズした為彼の愛を受け入れるが、同じくフランシーヌに恋をしていた金が嫉妬に狂い、彼女を連れ去ってプラハを出奔。二人は引き裂かれてしまう。
その後金と共に欧州各国を転々とした末、故郷のクローグ村に戻り領主の古屋敷で暮らすようになる。銀が妻の所在を突き止め漸く彼女のもとを訪ねた時には、既に謎の疫病で隔離小屋に閉じ込められた後だった。二人はそれぞれ彼女の病を治そうと、万病に効く錬金術の霊薬・『生命の水(アクア・ウイタエ)』を生む『柔らかい石』の精製に成功するが、彼女はその服用を拒否。銀の妻でありながら彼を置き去りにした事、そして長きにわたって金と暮らす“不貞”を働いた罪を償うと、自ら隔離小屋に火を放ち自害した。享年28。
最期に銀へ遺した言葉は彼に届かなかったが、加藤鳴海は自らの師の遺言と重ね合わせ、
『自分は(霊薬によって無理に長らえるのではなく)一人の人間として本物の人生を生きた』
と言いたかったのではないかと推測している。
その他
関連イラスト
[https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=51230739]