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ブラックバーン・スクア

ぶらっくばーんすくあ

ブラックバーン・スクアはイギリス海軍が第二次世界大戦で運用した単発レシプロ爆撃機。 本機は同大戦において、最初にドイツ機を撃墜した栄誉を持っている。 スクア(Skua)とはトウゾクカモメの意味。
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歴史~イギリス海軍初の急降下爆撃機~編集


開発から配備まで編集

イギリス航空省は海軍の要望に基づいて、1934年に仕様書O.27/34を発行。航空機会社各社に発注した。しかし、その仕様は無茶苦茶。ざっくり言うなら雷撃以外全部出来る艦載機を作れ。中島でも逃げ出す。だがそこは英国面(?)。競争にはブラックバーンだけでなく、アブロ(ランカスターの会社)、ホーカー(ホーカーハリケーンの会社)、ボールトンボール(デファイアントの会社)、更には兵器製造の超名門ヴィッカースも参加。強敵ぞろいの中、ブラックバーンが1935年4月に原型2機の発注を獲得した。

そして1937年2月9日に最初の原型機K5178が飛行。無茶苦茶な仕様にも負けず、良好な性能を示した。

1938年5月4日に2機目の原型機K5179が飛行し、その3ヶ月後の8月28日には最初の量産機が完成・飛行した。

量産型飛行の2ヶ月後の10月からホーカーのニムロッド(複葉単座戦闘機)および同社製オスプレイ(複葉複座戦闘偵察機)を置き換える形で配備が始まる。最初に配備されたのはアークロイヤル搭載の航空隊だった。その後フューリアスにも配備され、1939年終わりには全ての機体の納入が終わった。

原型機の発注から飛行まで時間が空いているが、これは新技術(主に引き込み式脚と可変ピッチプロペラ)を盛り込んだ為と言われている。


第二次大戦編集

開戦当初は主に戦闘機として運用されることが多く、1940年に入るまで本来の急降下爆撃機としての任務は無かった。そもそも急降下爆撃用の照準器が取り付けられたのが退役間近の1941年っていう。それまでは爆撃時は通常の射撃照準器を使い、乗員の経験と勘で何とかやっていたそうな。

1939年編集

9月14日にアークロイヤル搭載第800飛行隊のスクアが潜水艦U-30を攻撃。U-30は帰還している為、撃沈には至らなかったようだ。

同26日には同じくアークロイヤル搭載第803飛行隊のスクアがDo18飛行艇を撃墜。これが大戦初の撃墜と呼ばれている。

1940年編集

4月10日にノルウェー南西部のベルゲン港にて、応急修理の為、接舷中だった軽巡洋艦ケーニヒスベルクに対し、アークロイヤルではなくオークニー諸島(イギリス北東の沖合い)にあるハットストン基地から出撃した第800、803航空隊の16機が急降下爆撃を敢行、これを撃沈した。投下した16発中直撃3発、至近弾3発を数え、外れたうちの5発も繋留されていた岸壁を捉えていた。

5月末にはダイナモ作戦・・・かどうかは分からないが、ダンゲルクの戦いに戦闘機として参加。だからスクアは爆撃機だっていっとろうが!

6月13日には第800飛行隊がノルウェーのトロンハイムにあった戦艦シャルンホルストに攻撃。このときは上手くいかず、出撃15機のうち8機が失われ、命中弾は1発のみ、それも不発であった。

9月23日に発生した、対ヴィシーフランス海軍戦のダカール沖海戦に参加。2日目の24日に戦艦リシュリューに対し攻撃を行うも、対空砲火に阻まれて至近弾のみで命中弾はなく3機を対空砲火で失っただった。


会戦より奮迅していたが、1940年には性能不足もあって交代が始まり、戦闘機任務をフルマーに、間を置いて爆撃機任務をバラクーダおよびアメリカからレンドリースされたアヴェンジャーに譲っていった。最後の実戦参加記録は1941年2月9日とされている。その後は標的曳航や練習に使われ、1945年3月には完全に姿を消した。


評価編集


書籍等ではよく「旧式戦闘機」として扱われるが、前述のように本来は爆撃機である。つまりそもそも戦闘機ですらないのだ。旧式以前の話である。

ちゃんと評価をするなら、

艦上爆撃機にしては制空任務にもよく活躍した

と言うべきだろう。

アークロイヤルの艦載機を見ると、その傾向が顕著に見て取れる。アークロイヤルの艦載機は、ソードフィッシュ48機とスクア12~24機となっていて、いわゆる戦闘機が搭載されていない。スクアの戦闘機としての性能に頼ったところも大きいのであろう。実際に「対爆撃機」「対複葉戦闘機」ならばスクアは十分な戦闘機能力を有していた。

それでもBf109などの陸上単葉機との戦闘では被害は甚大だった。これは、近代的艦上戦闘機を保有していないイギリス海軍の対戦闘機任務を、本来は艦上爆撃機であるスクアが行わなければならなかったための悲劇である。


また、本機はイギリス海軍にとって、初めての急降下爆撃機・引き込み式脚装備機・可変ピッチプロペラ機と初めてづくしの機体だった。活躍期間と生産機数を考えればその武勲は決して乏しくなく、ソードフィッシュと共に大戦序盤のFAA(イギリス海軍航空隊)を支えていた主役でもある。


余談編集

名称について編集

日本語資料や本によってはスキュアと書かれていることもあるが、発音的にはスクアの方が正しい。どちらを使うかは執筆者の好みである。


関連タグ編集

イギリス軍 英国面

ブラックバーン・ロック:スクアの操縦席後部にデファイアントと同様の機銃座を設け、戦闘機化した機体。ポンコツだった。

フルマー:同じくイギリス海軍の機体。ロックとは違い、要求は満たしていたし活躍もした。

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