概要
2010年代、プリウスのドライバーが起こした交通事故が立て続けに報道された。それらは「人混みに突っ込んで複数の死傷者を出した」「コンビニに突っ込んだ」などの派手なものであったため、プリウスを危険視する風潮が蔓延するようになった。
同時期に発展したSNSや動画サイトでは、その暴走ぶりをミサイルに例えて、「プリウスミサイル」という俗語が誕生した。
ただし、実際にはプリウスの事故率は他の同クラス車種と同程度であり、人気車種ゆえに販売台数に比例して事故件数が目立ったことと、ネームバリューが悪い方向に作用して広がったネットミームである。(価格帯や仕様上、子育てを終えた壮年夫婦が大型車を手放して手頃なプリウスを選ぶケースが多いこと、そういう事情から六十代以上に特に支持されているという点もある)
あくまで「そういう印象があるよね」というネタとして楽しむものであり、エビデンスなしに本気でプリウスを糾弾するなら、告訴を受ける可能性もある。
ミーム成立の経緯
SNSでは事故のほか、プリウスの非常識な運転や駐車が頻繁に報告された。これは、車オタクの間では「プリウスはハイブリッド・燃費競争で車をつまらなくした主犯格」というネガティブな印象があり、もともとバッシングされやすかったという土壌があったためである。
プリウスほどではないが、同じくトヨタのハイブリッドカーであるアクアもしばしば同様の扱いを受けている。
プリウスミサイルの原因
原因としてよく指摘されるのが、一般的なAT車と異なる、2代目以降のプリウス独自のシフトパターンにある。この主張を簡単にまとめると、一般的なAT車のドライブ(D)やリバース(R)の位置がMT車と逆の位置にあるため、MTまたは旧来のAT車に慣れきった高齢者が間違えやすいのだという。
しかし、プリウス以外のトヨタのハイブリッドカーのいくつかにもこのようなパターンのシフトが採用されている(初代アクアは一般のAT車同様のゲート式)し、同様に変則的なシフトパターンの車は多数存在しているが、それらがミサイルと呼ばれるほど事故を起こしているという印象もデータもない。
そもそも高齢者の事故で多い原因は「アクセルとブレーキを踏み間違えた」であり、「シフトレバー操作を間違えた」と申告した例は確認されていない。
プリウスをはじめとするハイブリッド車は、低速走行時のエンジン音がしないため走行音で直感的に踏み間違えたことに気づくことなく、ブレーキを踏んでいるのに停止しないことに脳がパニックになって、さらにアクセルを踏み続けてしまうという…という指摘もあるが、暴走するほどアクセルを踏み込むような状態ではエンジンがかかるし、そもそも自動車の前進に対して咄嗟にブレーキを踏めないのでは純ガソリン車でも事故になる(軽自動車を始め、純ガソリン車でも同様の事故はよく見られる)ため、根拠としては薄弱だ。
この他には衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)が搭載されていない=乗用車での義務化が遅れていることや、(プリウス自体はハッチバックだが)4ドアのセダンタイプを好む、かつ200~350万円程度の価格帯(3代目ZVW30の場合)の車両を買うのが高齢者層であることに加えて、3代目登場時に実施されていた「エコカー減税」と「エコカー補助金」の対象車であったために数が多くなったことなどが理由として挙げられる。
急発進事故の多発を受けて、トヨタを含む各自動車メーカーは誤発進防止システム(トヨタの呼称は踏み間違い加速抑制システム)を開発、自社生産車種に搭載している。国土交通省は標準装着車と後付けの装置も含めて、高齢者が安全性能の高い車を少しでも安く買えることを狙い「サポカー補助金」を出すなど普及を後押しするようになった。
なお、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故は高齢者特有というイメージがあるが、若年のドライバー(特に免許取り立ての若者)でも同様の事故はしばしば発生している…というかむしろ、統計上は実は若年層(24歳以下)の方が踏み間違いによる人身事故は多いという統計データがある。このためサポカー補助金が出ない若者にこそサポカーは勧められる。
プリウスに不具合が多いのでは?という可能性が指摘されたこともあるが、全ての車両は例えばハイブリッドカーであれば、基本的には電子的,或いは機械的な不具合があると、極めて低速で走行するようになりエンジンや電気モーターが超高回転になることはない。
男性運転手が計量学者,計測工学者兼通産省高級官僚であったことを理由且つ白金レクサス暴走致死事件と酷似していることで話題になった東池袋20系プリウス暴走致死事件では法廷で男性は車両の不具合を訴えた。当初は最高裁まで挑む予定だったが実現しなかった。
外部リンク
関連項目
キケンなあいのり:ヒロインが運転免許を取ろうとするエピソードでもあるのだが、さんざん練習で暴走した上にようやく手に入れたのがボロボロの赤プリウスだったことから視聴者がこれを想起し、放送終了後にプリウスミサイルがトレンドに入ってしまった。