「差し出すだけでいい、お前の願いをこの私に」
概要
ディズニー100周年記念映画『ウィッシュ』の登場人物の1人。
本作の舞台である、願いが叶うといわれている魔法の王国「ロサス王国」を治める国王。
壮年の髭を生やしたハンサムな男性で、幼い頃故郷を滅ぼされ両親を殺されたという過去があり、そこから魔法を身につけて一代でロサス王国を建国して争いもなく経済的にも恵まれた国家にした手腕の持ち主。その強い才覚故かナルシスト気味なところも見られる。
持ち曲は主人公アーシャとのデュエット曲「輝く願い(At All Costs)」、ソロ曲「無礼者たちへ(This Is The Thanks I Get⁈)」。
「人々の夢を叶える」を謳い文句にして18歳になった人間の願い事を提出させてその記憶を忘れさせる代わりに自身の魔力によって月に1回願いを叶えるという儀式を行っており、人々から支持されているが、実は王は提出された願いを見て僅かでも自身の王国に害になりそうな願いは叶えずにその記憶も戻さないという検閲を行っていた(国民や観光客はあくまで厳正な抽選で願いが叶えてもらえると思っている。叶わない可能性も理解している)。
その事実を知り王に翻意を持った主人公アーシャや自身以外にも願いを叶える力を持つ星の妖精スターの存在を知り、自身の立場を脅かす存在として捕えようとするが…
余談
- 名前の由来は、「マグニフィセント」と思われる。
- 当初はアマヤ王妃とマグニフィコ王の二人がヴィランであった模様。
- 人種差別や宗教的な迫害が普通だったこの時代に移民を受け入れ、宗教同士が対立しないようにしている安定した国をつくるなど、歴史上誰一人としてできていないレベルの偉業を成し遂げており、とてつもなく優秀な王であったことがうかがえる。
- 原語版の声を担当したクリス・パインはディズニー製作の実写映画「イントゥ・ザ・ウッズ」でシンデレラの王子役を演じている。
- 彼のキャラクターデザインは歴代のヴィラン達をオマージュしている。例えば緑色の魔法は『眠りの森の美女』のマレフィセント、実験道具の窯や大きな鏡、マントの柄は『白雪姫』の女王、マントのシルエットは『アラジン』のジャファーがモチーフである。
関連イラスト
評価(ネタバレ注意)
「願いを支配する最恐のヴィラン」と公式サイトで紹介されており、夢や願いを奪うという行為は作品などで夢を見ることや願いを持つことをテーマとするディズニー作品の悪役が行うに相応しい行為といえる。
…が、実際はというと、示唆される悲しい過去、其れなりに立派だった国家の統治理念、時代背景からすると極めて稀有な貧困とも紛争とも無縁な理想的過ぎる市民の生活、コロコロ表情が変わるどこか人間味がある性格、願いの内容を全てチェックして叶えない願いも特段何をするでもなく、むしろ厳重に保護魔法をかけ保管するだけという彼なりの思いやり(『どんな願いも自分の目の前で壊れていくのを見たくない』という信念からの行動)などの要素から、ファンの間では外国でも日本でもどちらかというと「憎めないヴィラン」として見られている。
それ以前に本作におけるヴィランとしての振る舞いも、アーシャとスターの予想外の行動の数々と、そんな非常事態の中で協力を呼び掛けてもまるで緊張感のない国民達への失望から来る危機意識が高じてやむなく禁断の力に手を出したことによる副作用的な暴走といった感じであり、決してただの野心や欲望だけの悪行ではないものとして描かれている。
このため、本編を鑑賞したファン達の中でも「邪悪な暴君か、悲劇の賢王か」で評価が分かれる程である。
もし彼に非を求めるとしたら、最大の危険因子であるアーシャに(まだ正式な弟子にもなっていないのに)自身の秘密を明かしてしまうという「人を見る目の無さ」であろうか。
日本語吹替版で演じた福山雅治氏も、彼のことは「過剰な正義によって悪に転じてしまった悲劇の王」と評している。
原語版のクリス・パイン、日本語吹替版の福山雅治氏のどちらとも演技の評判は良好で、上記のようなキャラ造形やマグニフィコへの判官贔屓的な見方もあってか実際にファンアートや沼にハマる人も多く、海外では振るわなかった本作の興行収入が日本では好調だった原因の一つとして分析されており、日本では公開してからしばらく後に主人公のアーシャよりもマグニフィコの方が人気キャラクターであるかのような宣伝を行っている。
日本では《マグぴ》と愛称で呼ばれており、ディズニーも公式コメントでそのことに触れているなど、日本ならではの世界では珍しい現象も起きている。
関連タグ
マクスウェル・ロード(ワンダーウーマン1984)…マグニフィコ王のアンチテーゼとも言えるヴィラン。