ミゲル(クロノクロス)
うんめいにとらわれしものたち
「運命は、すべてを知り、
すべてを支配する。
誰も、運命から
逃れられはしない……」
主人公セルジュの幼馴染であるレナの父親。アル二村に住んでたが、14年前から行方不明になっている。一人称は「私」。
主人公の父ワヅキとは隣家ということもあり友人同士。彼の息子セルジュがヒョウ鬼に襲われて大怪我をした際、治療のため共に同行。亜人の村マブーレの賢者のもとを訪れるはずだったが、嵐に遭ったことで神の庭に迷い込んでしまう。ワヅキとセルジュはアルニ村へ帰還したが、ミゲルだけは帰ることはなかった。
これが14年前の出来事である。
以下ネタバレ注意
実は「フェイトの力(未来を知ること)」に魅せられ、ミゲルはクロノポリス(情報の海)と一体化していた(アルティマニアより)。永遠とも言える寿命を手にしたが、引き換えにここを離れることができなくなっていた。
10年前、死海が形成された際にHOMEのフェイトが消滅。ANOTHERのフェイトは、HOMEに直接介入ができなくなってしまう(そのためHOMEとANOTHERの事象には違いがある)。運命の書を通してデータ受信が精一杯だったが、かろうじてミゲルを死海の管理者(監視者)として固着させることに成功した。即ち、ミゲル=死海におけるフェイトである。
セルジュ一行が死海の中心にある「滅びの塔(のリーネの広場)」を訪れた際に初めて姿を現し、この場が「タイムクラッシュ爆心地(殺された未来の集う場所)」であることを語った。ANOTHERのフェイトから情報をもらっていたのか、ヤマネコ化したセルジュのことも知っていた様子である。死海化の原因も知っていたようだが、セルジュを気遣ったのか「10年前、あることが原因で死海化した」と言葉を濁している。
セルジュたちに向けて「生きることは、緩やかに死んでいくこと」と告げ、この死海には朽ち果てるものはないと語る。そしてセルジュたちにも永遠を生きる権利があるとして仲間に誘うが拒否される。一応、選択肢で「受け入れる」と選ぶこともできるが、仲間たちが拒否するため意味はない。
自分が倒れれば次元の揺らぎが復活し、ANOTHER WORLDへの移動が可能になることを告げ戦闘となる。
見た目は一般人のモブにしか見えないが、はっきり言ってとんでもない初見殺しボスである。固有エレメント「聖龍剣(メイン画像の光る剣)」は単体攻撃であるものの、この時点でセルジュの属性は黒なので相性と威力の問題でほぼ確実に即死する。しかもこれを使う直前に「センスティブ(魔法防御ダウン)」を使用してくる。このコンボによる被ダメージはおよそ360~400前後(セルジュがくらった場合)。この時点でパーティーのHPが大体270~360くらいなので、このコンボの凶悪さがよくわかるであろう。
またHPが減少すると強力な全体攻撃「コメット」と「ホーリー」を使用してくる。あともう少しで勝てるというところでこの凶悪コンボである。大抵のプレイヤーはこれで煮え湯を飲まされたことだろう。だが対策も可能であり、事前にトラップを仕掛ければ奪い取って無効化できる。
他にも「フィルブラック(敵単体を黒属性に変更させる)」からの「フォトン(白属性単体攻撃)」も使用してくるが、こちらは大したダメージではない。ミゲルの使うエレメントはすべて白属性なので、フィールドが白に染まらないようにしよう。
戦う場所が前作の主人公とヒロインが出会った場所ということ、前作の登場人物たちが出てくること、使用されるBGMがこれまでのボス戦と違うこと、そして上記の鬼畜的な強さなどから色んな意味で印象に残るボスである。
なお、戦闘から逃走すると「逃げても、ムダだよ。残念だが、君らをここから生かして帰すわけにはいかないんでね。」と殺る気満々の台詞を言い放つ。更にマップから出ようとすると「ダメだよ。決着がつくまでは、ここからだすわけにはいかない。」と、絶対に逃げられない。
この作中屈指の実力についてディレクターの加藤は「クロノポリスと合一し、死界の番人となったから」と説明している。
セルジュたちに敗れた後、「強くなったな、セルジュ君」と言葉を送り、セルジュたちなら「運命」に打ち勝てるかもしれないと敗北を認めた。そして、この星に飛来した鉱物型生命体ラヴォスについて語る。更に3年前、アカシア龍騎士団が凍てついた炎を求め死海に訪れたことや、死海に取り込まれてしまったことを教えた。ちなみにツクヨミを連れて死海を探索すると、龍騎士団は既に死亡していることが判明する。
直後、死海に眠る凍てついた炎を渡すまいとフェイトが動き、自らの手で死海を消滅させようとする。ミゲルはセルジュたちに逃げるように告げ、最期にここにはいない娘に向けて「幸せな明日を生きろ」と独白、その生命を終えた。
永遠の寿命に魅せられ生きることを死ぬことと否定したミゲルだが、最期に願ったのは「娘が幸せな日々を生きる」ことであった。力尽きたミゲルに呼応するように、死海もまた消え去った。
セルジュからもたびたび気遣われる様子が見られ、敵であるものの決して悪人ではなかった。
また前述の通り、セルジュたちとの決着を強く望んでいたが、敗北した際は「ああ、これで、いいんだ。」と口にしており、倒されることを望んでいたとも取れる発言をしている。
本作のキャッチコピーである「殺された未来が、復讐に来る」の意味がミゲル戦後に判明する。ミゲルやクロノたちがたびたび口にする「殺された未来」とは、クロノたちがラヴォスを倒すことで改変された結果、「なかったことにされた歴史(ラヴォスによって滅ぼされるはずだった本来の歴史)」である。ラヴォスが倒された結果、滅びの未来は回避された。故に殺された未来(歴史改変された未来)なのである。ラヴォスによって滅ぼされたはずの未来が再び脅威になることが「殺された未来の復讐」に当たる。
永遠の命に魅せられた理由は特に語られていないが、設定資料には「自らの運命に絶望した」と記載されている。クロノポリス(フェイト)から自分の寿命が短いことを知ったのだろうか?
アルティマニアによれば、ANOTHERのミゲルは「何らかの事情によりフェイトに消去された」とのこと。そのためHOMEにしか存在していない。
劇中では語られないが、次元の揺らぎが機能しなかったのはミゲルを通してフェイトが妨害を行っていたためと思われる。
なお、ミゲルが何度か口にした「運命」とはフェイトのことである。「運命からは逃げられない」という台詞はアルティマニアにも用いられている。
ちなみにミゲルという名は大天使ミカエルに由来するもの。劇中ではキッドが「見えない天使が人の行いを見守ってる」と発言しており、まさにミゲルは神(フェイト)に仕える天使であったと言える。
一部のスタッフが共通しているゼノギアスにも『メガネ』『主人公と同郷』『娘がいる』『見た目とは裏腹に強い』『剣の使い手』『物語の核心部分を知っている』『天使の名を関する立場にある』という人物が登場している。
また同作には『父親で娘がいる』『本来は善人だったが敵側になる』『サイボーグ化したことで「老いることのない肉体」を手に入れる(人間を滅ぶだけの存在と見ている)』『死闘の末に娘を想いながら最期を迎える』といった類似点のあるキャラも登場している。