「聞くがいい。人の世は、間もなく終わりを迎える。
その時セルジュ、おまえは世界の敵になり、世界はおまえの敵になる。
推測でも、予想でもない。それは歴史だ」
実質すべての元凶に近い存在。
タグとしてはヤマネコの方が使われており、ヤマネコ(クロノクロス)では余り引っかからない。
単体でのフィギュア化もされており、なぜかセルジュ、キッドの倍近くの値段である。
プロフィール
猫科の亜人
年齢 | 性別 | 種別 | 出身地 | 身長 | 体重 | 体格 | 利き腕 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
17 | ♂ | 放浪中 | アルニ | 194cm | 80kg | がっしり | 右 |
概要
ANOTHER WORLDに迷い込んだセルジュの旅の行く手をあちこちで遮る宿敵。
HOME・ANOTHERの両WORLDで名が知れ渡り、各地で悪行を働いている悪党として存在しているが、
HOMEのヤマネコは作中での三年前で死海にて行方不明になっており、作中で出てくるヤマネコはANOTHERのみとなっている。
その姿は猫の亜人ではあるが、作中に登場する「亜人たち」とは全く別の存在。設定資料集には人間の姿のヤマネコが描かれており、初期段階は人間だった様子。
武器は大鎌。
従者としてツクヨミが居る。現在はエルニド諸島の領主・蛇骨大佐の友人として蛇骨館にとどまっている。
セルジュが謎の声に呼ばれて次元を渡った後、まるで待っていたようなタイミングでアカシア龍騎士団のカーシュを派遣させた。逆にセルジュたちが自分のところへ乗り込んできた時は、彼を「時の刺客、クロノ・トリガー」と呼び、手を差し出して懐柔しようとした。果たして彼の狙いとは一体――
関連イラスト
関連タグ
セルジュ(クロノクロス) サラ・キッド・ジール ツクヨミ(クロノクロス)
以下ネタバレ注意
ネタバレ
ダークセルジュ
物語の中盤、「龍の涙」を用いた儀式によりセルジュと精神を交換したヤマネコの姿。それがダークセルジュである。外見はセルジュだが中身はまったくの別物となっている。イベントでは「セルジュ」もしくは「ヤマネコ」と表記され、ダークセルジュという名称は戦闘時とアルティマニアでの表記である。ちなみにセルジュの名前を変えていてもダークセルジュと表記される。
セルジュの肉体に残っていた感情の影響を受け、ダークセルジュは人類に対して破壊活動を行うようになる。これは「人間をメチャクチャにしてやりたい」という愛憎の表れとなっている(アルティマニアより)。
表情は邪悪なセルジュそのもので、衣装もヤマネコ時に着ていたもののまま。なぜか瞳の色がセルジュとは対照に紅くなっている。
ちなみに最上段にある「ヤマネコ」のプロフィールはセルジュと入れ替わった後のもの。
プレイヤーは中盤からラストダンジョン直前のダンジョンまで「ヤマネコ」の姿で冒険しなければならない。元の姿に戻れるが、それは上記のダークセルジュとの決着の前辺りとなる。具体的にはラスダンの手前の手前のダンジョンをクリアしてから。
はっきり言ってストーリー中はヤマネコでいる方の期間が長い。しかもヒロインからは完全に敵(ルッカの仇)とみなされてしまう。更にそのヒロインはダークセルジュと行動を共にしているという事実。NTRってレベルじゃねーぞ。
キッドが敵になった時はさすがのセルジュも気落ちしていたようで、「セルジュ」の時に過ごした彼女との思い出を回想していた。作中では示されないのでわかりにくいが、この「キッド」は生への執着が薄く、献身的であり、無に帰したい衝動を持つ「もうひとつの人格」である。
この事実をキッドは知らず、二重人格の理由についても「キッドがこういう側面を持っていたのか」「もしくはもう一つの人格が生み出したのがキッドなのか」とアルティマニアに記載されており、どちらが主人格かは不明とされている。
もちろんキッドは仲間として戻ってくるが、これがなんとラスダン出現後である。まあ、拉致られて二度とPTに戻って来ないヒロインよりはマシだろうか……。
正体
率直に言えば、ヤマネコとは「セルジュの父ワヅキ」である。
14年前、ヒョウ鬼に襲われて致命傷を受けたセルジュは神の庭にある凍てついた炎と接触し、その傷を癒した。しかし、ワヅキは炎に近づいた影響で不安定になっており、そこへセルジュが抱いていた死のイメージ(ヒョウ鬼)が肉体に反映されてしまい猫の亜人と化してしまった。更にクロノポリスのメーンコンピューター・フェイトの精神がワヅキの精神に反映され、やがて自分を見失ったワヅキはフェイトと一体化してしまった。こうして生まれたのが「ヤマネコ」である。
レナの言葉を借りるなら「自分をフェイトと思い込んでいるワヅキ」と言ったところか。
ただしアナザーエデンとのコラボで登場した際は、正体を知るセルジュから説得の言葉を掛けられても「もう遅い。奴には届かない」と告げており、まるでヤマネコとワヅキの人格は別々の存在であるかのように告げている。
クロノポリスから帰還した時点ではまだ「ワヅキ」だったらしく、精神に異常をきたしながらもセルジュを妻のもとまで送り届けている。そして10年ほど前に姿を消した(アルティマニアより)。
なお、クロノがいうには、飽くまでヤマネコはフェイトの分身とのこと。ただし分身と言っても限りなく本物に近いらしく、決戦の直前にダークセルジュがフェイト(コンピューターの方)に命令を下したり、ダークセルジュの絶命時にはコンピューターのフェイトも死ぬなどしている。
なお、フェイトのベースになったのは前作クロノトリガーに登場した「マザーブレーン」である。
この辺りはフェイトに関連することなのでそちらのネタバレを参照。
目的
凍てついた炎を手にし「人と機械が融合した新たなる種の誕生」を目的としている。
フェイトは凍てついた炎を守護している内に一つの夢を見るようになった。そしてその夢を実現するべく炎を求めたが、ルッカがフェイトに対し秘密裏に仕掛けていたシステム「プロメテウス」により炎はセルジュしかアクセスできなくなってしまった。
セルジュを溺死に見せかけて殺害。その後、大陸に渡ったヤマネコはプロメテウスの制作者であるルッカと接触。凍てついた炎を手に入れるべく協力を持ち掛けるが交渉は決裂となり、ヤマネコとツクヨミはルッカハウス(孤児院)を焼き払い、ルッカを拉致した。アルティマニアによれば、この交渉をキッドに話を聞かれており、「凍てついた炎は危険なもの」「ヤマネコに凍てついた炎を渡してはいけない」と考えるようになったという。
いずれも失敗に終わったため、ヤマネコは「アナザーのセルジュが」ANOTHERWORLDに来るのを待つことにした。いずれセルジュがANOTHERにある凍てついた炎と接触を図るのがわかっていたからである。
この理由に関しては劇中で詳しい説明はないが、ヤマネコはルッカハウスを襲撃した際に「未来のセルジュ」と出会っている。成長した17歳のセルジュを一目で「息子」と見抜いたのは、ヤマネコが「父親」だったからなのだろう。これが正しいことは、ホームワールドの運命の書からデータ受信すればすぐにわかることである。同じ理由でセルジュがアナザーにやってくればすぐにわかるというわけである。
ツクヨミとは敵対する者同士だが、凍てついた炎を手にするという目的は同じなので一時的に手を組むことにしたという。
ヤマネコがセルジュの肉体を奪ったのは、プロメテウスを攻略し凍てついた炎にアクセスするためである。
これらの設定はゼノギアスに登場する主人公の宿敵グラーフ様を想起させるが、本作には他にもゼノギアスを思わせる設定が盛り込まれているのも特徴である。
劇中の軌跡
1万年前、A.D.2400年に存在していたフェイトはラヴォスが起こしたタイムクラッシュによりクロノポリスごとこの時代へと来てしまった。更にそれに対抗するべく、「星」そのものが並行世界のA.D.2400年から龍人(アザーラの子孫で、並行世界の人類)が住まう星の塔(ディノポリス)を呼び込んだ。二種族は互いに殺し合い、最終的にクロノポリス側が勝利。龍人は滅亡した。
フェイトは凍てついた炎の力を用いて、龍人の生体マシンである龍神を六つに分割し、封印。この龍神の力を利用したのがエレメントである。元々エルニド諸島には龍人たちが暮らしており、この頃は神の庭と呼ばれていたが、龍神が封印されフェイトが新たな神となったため、フェイトが住まう海域が神の庭と呼ばれるようになった。
それから時は流れ、本編開始の14年前。神の庭に迷い込んだセルジュは凍てついた炎と接触。これによりシステム「プロメテウス」が起動し、凍てついた炎はセルジュしか受け付けなくなってしまった。更にその場にいたワヅキは、凍てついた炎のせいで不安定になっており、そこへセルジュが抱く「死」のイメージ(黒ヒョウ)が反映され、ネコの亜人の姿となってしまった。更にフェイトの精神までが混ざり込んでしまった。このためワヅキは精神に異常をきたしてしまう。
またワヅキに同行していたミゲルも「老いのない時間」「フェイトの力」をエサに仲間に誘い込み、死海(HOMEにおける神の庭)の管理を行わせた(HOMEのフェイトは消滅しており、ANOTHERのフェイトでは手が出せなかったため)。
ANOTHERのミゲルは何らの事情によりフェイトによって消去されたという(アルティマニアより)。
そして10年前。
自分を見失ったワヅキはフェイト(ヤマネコ)となり、セルジュの殺害を決行。その後、接触してきたツクヨミと手を組み、プロメテウスの制作者であるルッカのもとを訪れる。交渉は決裂したため孤児院を焼き払い、ルッカを拉致した。いずれも炎のロックは解かれなかったのでHOMEのセルジュがANOTHERに来るのを待つことにした。
セルジュがANOTHERにやってくると古龍の砦に誘き出し、蛇骨大佐をけしかける。しかし蛇骨は劣勢となり、もう利用価値はないと判断。背後に回って剣で貫いてしまう。
そして今度は自らがセルジュたちと対決。思わぬ苦戦を強いられるがまだ余裕を見せており、セルジュに対して「おまえに私は倒せはしないよ。なぜなら今の自分を否定することになるのだから」と言い放つ。
直後、龍の涙を用いた儀式を開始。これによりセルジュとヤマネコの精神は入れ替わり、セルジュはヤマネコに、ヤマネコはダークセルジュとなった。
そしてセルジュの仲間たちを騙して『ヤマネコ』を倒させる。そしてキッドからダガーを受け取りトドメを刺そうとするが、「ルッカの仇」と発言したことで正体を怪しまれてしまう。
次の瞬間、本性を現したヤマネコはキッドの腹を刺し、続けて仲間たちを打ち倒す。最期にセルジュに対して「神の庭に来い」と告げ、異次元空間カオスフィールドへと飛ばしてしまうのだった。
その後、セルジュの肉体に残っていた感情の影響を受け、ダークセルジュは暴走。人類に対する愛憎の表れとして破壊活動を開始。文字通り「人類をめちゃくちゃにしたくなった」のだ。
彼がキッドを殺さなかったり、セルジュを異次元に追放するだけにトドメたり、すぐに凍てついた炎を手にしなかったのはこの辺りが原因だと思われる。
現に彼が炎を手にしようと動き出したのは、セルジュが元の姿を取り戻してから(余裕がなくなってから)である。
フェイトは死海のミゲルを通じてセルジュたちがANOTHERにやって来れないように妨害していたようだが、ミゲルはセルジュたちに敗北。このままでは死海の凍てついた炎がセルジュたちに取られてしまうため、阻止するべく自らの手で死海を消滅させた。
その後、ANOTHERに舞い戻ったセルジュを迎え撃つべくキッドと共に一行を襲撃。モンスターを率いて包囲するが、ファルガの介入により逃げられてしまう。
セルジュが元の肉体を取り戻そうとしていることを察知し、妨害に赴くが撃退される。去り際にヤマネコは、決着をつけるべく神の庭へ来るように言い残した。
言葉通り凍てついた炎の前に現れたセルジュたちに対し、ヤマネコはコンピューターのフェイトとしての姿となり、漆黒の巨人へと変貌。セルジュに「お前が生まれてきた意味を教えてもらおう!!」と問い、最後の戦いを演じる。
偽物が本物に勝てるわけがなく、凍てついた炎を巡る戦いはセルジュが制した。フェイトは神が人に負けた事実に驚愕しながら消滅していった。謀略の果てに自身が最も恐れていた「自分が消える」という歴史が誕生してしまった瞬間であった。
何より人への羨望から狂気に走り、セルジュを殺した彼が「セルジュの姿で最期を迎える」というのはこの上ない皮肉であった。
ホームのセルジュの肉体(ダークセルジュ)が滅びたことを考えると、結局のところ「ホームのセルジュ」もヤマネコが引き起こした死の運命から逃れられなかったと言える。そういう意味では息子の身代わりになって死んだと言ってもいいのかもしれない。
アナザーエデンでのヤマネコ
「間もなく この世界に 運命の神が
降誕する。
交差した夢の果てに 運命が
目を覚ますのだ!」
並行世界に生きる存在として登場。原作とは別人である。
幻視胎(星の夢を観測するための存在)と星の見る夢がリンクした結果、次元に裂け目が生じ、別の時代のセルジュ、キッド、ツクヨミと共にアルドたちの世界へとやって来てしまう。
ここでもヤマネコは暗躍し、アルドとフィーネを亡き者にすることで「主人公とヒロインが死亡したパラレルワールド」を生み出した。そしてここを起点に新たな楽園を、エデンを築こうとする。
自らが神となることで……。
終盤ではアルテナを取り込んだ新たな龍神を呼び出してセルジュたちにけしかけるが、これもまた彼の策略だった。倒された龍神の力を幻視胎に送ることで利用したのだ。
(つまり原作とは逆に、セルジュたちに龍神を倒させた)
そして最終決戦の場『時の塔』にて両者は対峙。そこでヤマネコは幻視胎が既にフェイトのメーン・システムと接触したことで侵食されていることを語り、セルジュたちにけしかける。
だがアルドたちによって幻視胎が沈黙すると機は熟したと見て融合を開始。新たなる神マザーフェイトとなって最後の決戦を繰り広げる。
「見るがいい。運命の神……
新たなるフェイトの降誕だ!
これが私の 真の姿だ」
セルジュ「ヤマネコ……ごめん……」
セルジュ「こんなことになったのはすべて 僕のせいだ」
セルジュ「この世界は 僕らのいるべき世界じゃない」
セルジュ「こんなことはもう やめよう?」
フェイト「セルジュ もう遅い」
フェイト「おまえが何を言おうと ヤツには届かない」
フェイト「残念だったな」
セルジュ「父さん……」
フェイト「茶番は終わりだ」
死闘の末にマザーフェイトはアルドとキッドのコンビネーションの前に怯み、最期は実の息子の一撃によって終止符が打たれたのだった。