概要
ゲーム「クロノクロス」の舞台。領主が住む本島と複数の島々で構成される。人間、亜人、妖精、龍族(ドラゴン)といった様々な種族が共存して暮らしている。しかし、亜人は人間から迫害される傾向にあり、龍族に至っては絶滅寸前となっている。
ちなみに「エルニド諸島」はフィリピンに実在しており、パワラン諸島にある島々がエルニドと呼ばれている。「神が創った最後の秘境」とも呼ばれる。
HOME WORLD(以下HOME)ANOTHER WORLD(以下ANOTHER)とでいくつかの違いがあるが、地理的にはほぼ同じ構成である。
エルニド諸島は自然豊かな土地で、さらに諸島を構成する島ごとに環境に個性があり、エルニド本島をはじめ独自の生態系が発展する場所である。各地には龍人と呼ばれる古代人たちの遺跡・遺物が見られる。
「クロノトリガー」と世界観を共通するが、海流的に閉ざされた場所であることもあって、大陸(及びクロノトリガーの現代で登場した世界)とは異なる文化が息づいている。
同時に大陸との交流もあり、若者を中心に大陸に憧れを抱く文化もある。
都市化されたテルミナや民族文化が継承されているアルニ村やガルドーブ、亜人の居住地であるマブーレなど、人々の営みも多様である。
政治的には軍事国家パレポリの勢力下であるが、蛇骨館のアカシア龍騎士団などの自警組織の力もあって、パレポリからの完全な支配はなされていない(物語開始時)。
地名・都市・ダンジョン一覧
アルニ村
辺境の漁村。主人公セルジュの故郷。ゲーム的には最初の村であり、プレイヤーの冒険はここから始まることになる。
南国情緒が溢れる漁村であり、人々は木と藁で造った高床式住居で暮らしている。
トカゲ岩
最初に訪れるダンジョン。オパーサの浜の近くにある。オトナ大トカゲ、コドモ大トカゲという珍しいモンスターがうろついている。このモンスターから採れる虹色のウロコで作ったアクセサリーが、ホームのアル二村の女のたちの間で流行している。
オパーサの浜
10年前、セルジュの生死を分けた場所。
風鳴きの岬
アル二村の近郊にある岬。セルジュとキッドが「再会」した場所となる。アナザーではセルジュの墓が建てられており、序盤でここにキッドを連れて行くと隠しイベントが起こる。
ヒドラの沼
アル二村の近郊にある、ヒドラという珍しいモンスターが住まう沼地。ホームとアナザーで様相が大きく異なっている。
ホームでは、まれに龍族の亜種と言われるヒドラの姿が見られ、妖精ドワッフたちもここで暮らしている。ヒドラの血、肉、骨などすべての部位が病気や怪我を治す効果を持つ。これらは高額で取引されており、密猟者の存在によりヒドラの個体数が減少。妖精ドワッフたちは人間を敵視している。
アナザーでは、度重なる密漁によりヒドラが絶滅し、主を失ったことで汚染が進んだ結果、沼から毒素を含んだガスが吹き出すようになった。今やまともな生物の住めない危険地帯と化し、モンスターが跋扈している。
龍神の滝
アル二村と古龍の砦の中間に位置する滝。母なる星と龍神を奉った聖なる地であり、かつて龍族はこの地で星の力を集めてエレメントを生成していたという。しかし、大陸の人間がエルニドへ入植するようになってから龍神信仰は薄らぎ、この場の存在も忘れられていった。
溺れ谷
アル二村とテルミナの境目にある谷。龍族と思しき巨大な龍の骨が見られる。
テルミナ
エルニド最大の港町。首都的な役割を果たしており、エルニドの経済はここを中心に回っている。大陸文化の影響が強く出ており、アルニ村やガルドーブとはまったく異なる町並みが広がる。近郊には領主が住む「蛇骨館」がある。
『設定資料集』によれば、元々は集落だったという。蛇骨大佐の祖先がエルニドの原住民を退け、入植した際にこの集落の長となり、統治の意味も込めてアカシア龍騎士団(自警団)が結成された。
蛇骨館
領主である蛇骨大佐とその娘リデルが住む館。アナザーでの内部はアカシア龍騎士団が警護している。正門には屈強な騎士「ルートヴィッヒ」が警護についており、ピエールを仲間にするルートで戦うことになる。
ホームでは3年前、蛇骨大佐らが行方不明となった後、崩落し廃墟と化している。『アルティマニア』によれば、「落雷かパレポリの内偵が起こした事故で焼失した」とのこと。
『ラジカル・ドリーマーズ』にも同名の建造物が舞台となっている。
蛇骨館・崖
蛇骨館の北側にある切り立った崖。アカシア龍騎士団が常に監視しており、不審者を見つけると投石攻撃を行う。アルフを仲間にするルートで訪れることになる。
影切りの森
鬱蒼とした森で、各所にモンスターが徘徊している。日がまったく射さず、影ができないことからこの名前がついた。森の奥にある地下水脈には蛇骨館に入るための通路が存在する。スラッシュを仲間にするルートで来ることになり、四天王のゾアと戦うことになる。
ガルドーブ
龍を奉る海上の村。人間と亜人が上手く共存している珍しい場所。海の上にある関係上、桟橋には常に数隻の船(ボート)が停泊している光景が見られる。村には「龍の社」があり、中には龍の巫女が守る秘宝「龍の涙」が安置されている。アナザーではディレアが村長を務め、ホームではディレアが亡くなっているため後任のスティーナが長となっている。
マブーレ
人間により住む土地を奪われた亜人たちがひっそりと暮らす場所。エルニドでも辺境と言われている。洞窟や岩をくり抜いて作った住居が見られる。
ゼルベス
ホームにある海上移動娯楽都市。船そのものが娯楽施設となっており、人によっては一度乗ったらなかなか降りることができないという。スタッフとして働く亜人たちの姿が見られる他、下部にある「グランドスラム」ではモンスター同士の闘技場が存在する。
海賊船・天下無敵号
アナザーにおける「ゼルベス」の姿。こちらは海賊となったファルガがキャプテンを務めており、蛇骨大佐に反旗を翻した者の集まりとなっている。終盤ではアナザーにおけるセルジュたちの拠点となる。
隠者の小屋
小さな孤島にある小屋。かつてラディウスとその親友ガライが修行場所として使用していた。アナザーでは隠居したラディウスの住居となっている。
死炎山
火山。古龍の砦に行くためにはここを通り抜ける必要がある。
古龍の砦(夢の中の迷宮)
序盤における大規模なダンジョン。龍の民の文明が色濃く残っており、現在でも装置が稼働している珍しい場所。マシンナリーを守護者としたモンスターの姿などが見られる。
冒頭では「夢の中の迷宮」という名称で登場。
カオスフィールド
この世界にはないもう一つの世界。死者たちの魂がここにやってくることもあり、住民たちはいずれも生きている者ではない。
亡者の島
元々は普通の島だったが、ラディウスが海に流した魔剣グランドリオンがここへ流れ着いた結果、その影響により亡鬼が闊歩する魔境と化した。
水龍の島
自然が多く残る孤島。妖精ラズリーの故郷がある。
土龍の島
砂漠が広がる島。島内には洞窟があり、主にここの探索がメインとなる。
世界のへそ
世界の中心にあると言われる孤島。周囲は断崖絶壁に遮られ、空路でなければ立ち入ることができない。
海月海(くらげかい)
三つの大岩が海上から突き出し、トライアングルを形成している不思議な海域。海の底には「光る何かがある」と言われている。
死海
ホームにある、猛毒を含んだ珊瑚礁に囲まれた危険な海域。「死せる海」、「魔の海域」、「龍神に呪われた地」とも言われており、エルニドで最も立ち入ってはいけない場所として語られている。しかし、噂とは裏腹に内部に入った者はいないという。
滅びの塔(タイム・クラッシュ爆心地)
死海の中央に鎮座しており、「未来の建造物」がまるで溶けて入り混じったような場所。
神の庭
アナザーにおける死海。
時間要塞・クロノポリス
神の庭の中央に鎮座する施設。
なお、本作のオマージュ要素が散見されるゼノブレイド2にて、よく似た設定の建造物「世界樹」が登場している。
天龍の島
龍神の一体、天龍が住むと言われる場所。
星の塔(ディノポリス)
本作における事実上のラストダンジョン。ダンジョンの長さ、ボスの数も随一。
時の闇の彼方
ラストバトルの舞台。戦闘での背景のみの登場であり、ダンジョンではない。
次元の狭間
隠しダンジョン。この世界にあるいくつかの狭間の一つで、様々なモンスターと戦うことができる。ダンジョンというよりは闘技場に近く、内部を探索するタイプではない。「巨大スペッキオの部屋」には2周目以降でなければ入れない。
関連リンク
※以下はクロノクロスに関する重大なネタバレが含まれます※
ネタバレ
実は舞台となるA.D1020はラヴォスが引き起こしたタイム・クラッシュによって改変された時代である。エルニド諸島は改変後に誕生したので前作ではエルニド海と呼ばれ、海しか存在しない場所だった。
では、なぜエルニド諸島が形成されたのかというと少々複雑な事情がある。
クロノたちに倒される可能性を知った古代のラヴォスは、自らの運命を変えるべくA.D.2400から「凍てついた炎(ラヴォスの一部)」を呼び寄せようとした。しかし、炎はクロノポリスという研究施設に保管されており、ちょうど研究員たちが反時間転移の実験を行っていた。このためクロノポリスと研究員(未来人)たちはB.C.10000へと横滑りしてしまった。
クロノポリスの出現に危機を感じた「星」は、それに対抗するべく並行世界のA.D.2400から龍人たちが住まうディノポリスを呼び寄せた。龍人は前作の登場人物・恐竜人アザーラの子孫で、別の次元で人類に打ち勝ち繁栄した種族である。進化したことで龍人となり、星に近い存在となっていた。
人間と龍人。遠い昔に滅ぼしたはずの種族と顔を合わせた両者は、この時代においても過酷な生存競争を繰り広げることとなる。結果、フェイト率いるクロノポリス側が勝利。龍人は滅亡し、彼らが用いていた自然制御マシン(星のエネルギーの集合体)龍神は凍てついた炎によって六つに分割される形で封印された。
実は龍人がいた当時はエルニド全体が神の庭と呼ばれていたが、フェイトが龍神を封印したことで新たな『神』となったため、クロノポリスのある海域が神の庭と呼ばれるようになった。
その後、フェイトはタイムパラドクスによって歴史が変わり、自分たちの消滅を恐れた。そこでエルニド海に次々と人工島を創り上げ、エルニド本島、土龍の島、水龍の島、黒龍の島などを築いた。更に研究員たちの記憶を抹消し、原住民として住まわせた。こうして形成されたのがエルニド諸島である。なお、現代では研究員たちは「神の庭からやってきた最初の入植者」としてエルニドに伝わっている。
つまり、エルニドの人々は研究員(未来人)の子孫である。ただし大陸からの入植者(蛇骨大佐の祖先)の子孫や、龍人と共存していた亜人なども今のエルニドに住んでいる。
なぜかエルニド本島には龍人の遺跡である「古龍の砦」があるが、これは龍人の遺跡があった場所にフェイトが本島を創ったということなのだろう。
要約すると「エルニド諸島」とは、運命を操る神が創ったものということになる。だがフェイトすらも隠れ蓑にしてある人物が暗躍していたのだ。上記の歴史改変もその人物がそうなるように仕向けたと言っても過言ではない。
それに関してはこちらのネタバレを参照。