「…戦火を不必要に広げてはならぬ。
今は所在が知れずとも…エルランのメダリオンがあるかぎり、
大陸全土を巻き込むような戦乱を起こしてはならぬのだ」
概要
手のひらサイズの古びた青銅製のメダリオン。
時おり青白い炎のような妖しい光を放つことから、「炎の紋章」の俗称で呼ばれることもある。
たまに光ること以外は一見何の変哲もない調度品だが、その正体はかつて世界を滅ぼしたとされる邪神が封じこめられている器。
蒼い炎のような光は、封印されてなお視認できるほど強烈な邪神の負の気(=闘いの気のようなもの)が漏れだしているもの。
邪神の負の気はベオク・ラグズの戦闘本能を極度に増幅させる作用があり、普通の人がこのメダリオンに触れると身体能力が跳ね上がると同時に破壊衝動に支配されて正気を失い、手当たり次第に見境なく殺戮を行う暴走状態に陥るという極めて物騒な代物である。
正の気が強い鷺の民やミスト以外の人物が直接触れるのは危険すぎるため、常人が扱う場合は布などで厳重に包んでから持ち運ばなければならない。
また戦乱や闘争が生み出す負の気が世に満ちると、眠っている邪神が刺激されて封印が解かれ復活してしまうとされている。これを防ぐには、定期的にメダリオンの前で鷺の民の微睡の呪歌を歌い負の気を鎮めることが不可欠となる。
メダリオンの光の強さは周辺の戦場やテリウス大陸全域に充満する負の気の量に比例しており、負の気が多く光が強いときはただ近くにいるだけでも少なからず悪影響を受ける。
所在の変遷
大昔に鷺の民エルランが、英雄達によって倒された邪神をメダリオンに封印。封印後のメダリオンはエルランの意思を継ぐ鷺の民によって800年近く管理され、戦乱の世にあっても負の気で邪神が目覚めぬよう微睡の呪歌を聴かされ続けてきた。
そもそも争いが起きなければ邪神を目覚めさせうる負の気も発生しないため、デギンハンザーはメダリオンと邪神の脅威を後世へ伝え争いを諌める役を担った。
しかし『蒼炎』の20年前に起きた「セリノスの大虐殺」の折、メダリオンは白鷺姫リーリアと共にデイン王国王子アシュナードの手へ渡ってしまう。
邪神の復活を目論むアシュナードをリーリアは拒み、エルナとガウェインにメダリオンを託す。二人はメダリオンを取り返されないようデインから亡命し、人目のつかぬ辺境の地へと落ち延びていった。
蒼炎の軌跡
物語当初はガウェインの娘であるミストが所持。序盤でデインの将軍漆黒の騎士がメダリオンを奪いに来るも、辛くもこれを逃れる。
劇中フォルカやラグズ王族と関わる中でメダリオンの危険性と重要性を知っていくアイクであったが、デインと内通していたナーシルによって盗まれ、20年前と同じくアシュナードの下へ戻ってしまう。
デイン=クリミア戦役の最終局面、アイク率いるクリミア軍の前に追い詰められたアシュナードが、最後の切り札であるメダリオンに触れる展開は今でも語り草となっている。
暁の女神
鷺の民の生き残りであるリュシオンとリアーネが管理することになったが、終盤にて大陸のほぼ全ヵ国が参戦する事態になり、微睡の呪歌をもってしても負の気が抑えられない規模になったことでもはや邪神の復活が避けられなくなってしまう。
関係者は「邪神が負の気で強制的に目覚めるくらいなら、そうなる前に呪歌で目覚めさせた方が多分マシ」という見解に至り、解放の呪歌の詠唱素養を有するミカヤの力でメダリオンの封印が解放されることとなった。
ところが、これまで数々の悲劇を引き起こしてきたメダリオンから満を持して目覚めたのは、邪神と呼べるような存在ではなく……?