概要
サキュバスである現魔王とその夫である元勇者との間に生まれた娘達の総称。また彼女達から生まれた「魔王の血を色濃く引く者」もリリムと呼ばれる。
魔王から色白の肌と真っ白の髪と魔力を帯びた赤瞳を受け継いでいる。
個体によっては角や尻尾が動物のようになっていたり、虫のような甲殻で手足を覆う者も居る。白い髪についても個体差があり、白と他色とのメッシュになっている者、毛先だけ色が違う者もいる。
サキュバスとして性行為一色に染め上げられた好色な性格を持つだけでなく、母親同様、全ての人間と魔物達を深く愛し、彼らと彼女らが共生し、愛し合い、交じわり合う姿を理想の体現と見なし、それを何よりも好む。
彼女達は、魔王の理想の継承者たちであり、そしてその力の証でもある。リリムが生まれる(ちなみに、魔王の出産は一般人でも立ち会いが出来る)、という事は魔王が夫とそれだけ交わりを重ね、それにより更なる力を得たという事を同時に意味する。
リリムのある者は反魔物を掲げる国々を落とし、そこの新たな統治者となり、ある者は一から支配領域を造り上げる。
そうすることで魔王の勢力は更に拡大し、世界は魔王とその眷属の魔力で満たされることになる。
彼女達はその中で、母のように一人の愛する男性を見つけ、理想の夫婦になりたいと願ってやまない。
前述の通りリリムとは魔王の血を色濃く受け継いだ者の総称である。現魔王から生まれた娘たちが女の子を産んだ場合、彼女達もリリムとなる。リリムと呼ばれる条件は魔王の血を「濃く」引くことであるため、そうして世代交代を経て血が薄まれば「魔王の子孫ではあるが、リリムではない魔物娘」が生まれることになるのかもしれない。現魔王の血統として生まれる以外でリリムたちが新たに誕生することはない。だが、噂話として魔王が人間の女性を「養子」にとった事が語られている。だが、養子にとることで後天的なリリム化を実際に実際に起こそうとするなら、その女性にもかなりの素質が必要、なおかつ魔王側にすら負担が生じる、という例外中の例外、規格外の事態である。
そのためサキュバスの亜種の中では唯一アルプの個体が存在しない。ただし後述する通りアリスの個体は存在する。
現在開発中の『魔物娘図鑑RPG』のヒロイン(仮)として、新たなリリムが登場することが発表されている(参考)。
能力
その最大の特徴はダークマターのそれに酷似した黒い塊を形成するほどの膨大な魔力であろう。
「ハートの女王」などの上位のリリムは少なくとも中級神クラスの力を持つ。
戦闘能力、魔力ともにまんべんなく強いが、後述の魔物化能力や淫魔としての誘惑・魅了能力の比重が大きい。
そのため、他分野の魔法においては、魔術に特化したバフォメットのほうが優れている傾向がある。
が、あくまで種族としての平均値の話であり、殆どのバフォメットよりも高度な魔術を操る個体も存在する。
リリムは魔王から受け継いだ「サキュバスとして最高の力」と「すべての魔物の魔力」をその身に宿しており、ほぼ全ての男性が一目見るだけで彼女達の虜となる。魔力による補助なしでも、その魅力は反魔物を掲げる主神教の敬虔な信仰者ですら抗うことが出来ないものである。
「ほぼ」なのは、リリムたちの魅了の力が「彼女達のような美しい女性に惹かれたり、性欲を抱き、交わりたいと欲する」事を強化するものであるため。例えば、妻が既に居るインキュバスのように乗り気でない場合、魅力を感じさせるまでは出来ても、意思を曲げて寝取ったりはできない。
この他、人間の女性と交わる事で相手の女性を任意の魔物娘に変化させることができる。リリムたちを魔王のシステムの維持者たらしめている能力の一つである。
ただしごく一部の種族についてはリリムですら人間から変化させることができないとされている。
具体的には魔物化する前から人間でない種族、人間から転化した事例の無い(原理的にそれが起こりえない)種族がこれに該当するようである。
個別に例を挙げると
- 魔王やリリムからの出産でのみ誕生するリリムそのもの
- 本来は人間とも魔物とも異なる種族の一部個体が「サキュバス」化した種族である亜人や天使(ただしダークエルフのように種族全体が魔物化している亜人種族の場合は完全に「魔物娘の一種」となっており、これに当てはまらない)
- クー・シー等(魔物ではない)動物が魔物化した種族
- 精霊・エレメント及び魔法生物に分類されている種族の大部分
が当てはまる。
他には現在の主神とは異なる神が人間を転化させた存在であるファラオ等も該当する。
リリムの個体
一桁台の王女
第一王女から第九王女の間くらいまでには(世界観において)重要な役割を持つリリムが居る、と原作者から語られている。
- 次女
呼称は不明。魔王夫妻がジパング旅行中に産まれた娘。真面目な性格の持ち主。「地獄」の名を持つ施設を運営している。主神教やジパングの神話に登場する、悪しき魂が裁かれる地獄から着想を得て設立したが、モチーフと異なり現世に存在する。裁判所と刑務所の機能を兼ね備え、過去や相手の精神を見る能力を持つ魔物娘たちが働いているらしく、その判決は公正らしい。
- 三女:「ハートの女王」
別次元に存在する、お伽の国めいた「不思議の国」の主宰者。サキュバスの突然変異種であるアリスの性質を併せ持つ。そのため姿こそ幼いものの、神々に匹敵する魔力と卓越した魔術の才の持ち主。彼女はその膨大な力でもってその領域を創り出し、「原種」となる魔物娘の生態を捻じ曲げて独自の「固有種」を作り出すなど、自身の思うままのルールを定め暴君のごとく君臨している。
とはいっても不思議の国の住人たちからはわがままな子供をあやすように可愛がられ、彼女が命じる「極刑」は「いつもと違った環境で伴侶と気持ちよくなれるイベント」として認識されたりと、比較的慕われている模様。
また、他のアリスが愛する男性との記憶を保持し、その相手との子を持つことができるようにする能力を持つ。
- 四女:デルエラ
魔王勢力の拡大に極めて積極的な姿勢をとるリリム。主神信仰の国々でも上位の規模を誇る宗教国家レスカティエを落とした実績の持ち主。
レスカティエは強力な勇者を多く輩出する国でもあるが、最強の勇者ウィルマリナをはじめとする優秀な人材を自陣営に転向させている。
固有名持ちの公式リリムとしては、現状において唯一ビジュアルが公開されている。
十女以降の王女
一桁台の王女たちについては未公開の設定を含め、公式世界観において重要な役割を持つ者が居ると語られており、そのためファンによる二次創作(魔物娘図鑑二次)においては、オリジナルリリムの誕生順は二桁台以降と設定される。
- 十女:マリ
放浪癖を持つ芸術家肌のリリム。他者を引きつけ初対面の相手とも打ち解ける一方、怒りっぽく激しい一面もあり、ほうぼうで騒動を引き起こす。「Maritan」氏原案のオリジナルキャラクター(魔物娘図鑑二次)であり、原作者監修のゲーム『堕落乙女異聞』の続編『堕落乙女異聞Ⅱ レスカティエ潜入記録』にゲスト出演、という形で登場している。初代、Ⅱともに「本作独自の設定は公式ではない」と提示されており、現時点ではクロビネガからの公式書籍には登場していない。
現時点では上記の通り「魔王の娘」世代の個体のみが言及されている。「放浪の魔物学者」が書いた『魔物娘図鑑』においても、「魔王の娘達の総称」とだけ記されている。彼が旅し取材した国々や地域においても「魔王の孫」以降の個体は(仮に生まれていても)あまり一般的には認知されていないのかもしれない。
リリムの総個体数は明言されていない。魔物娘たちはそうでない存在より妊娠しにくい傾向があるが、魔王は夫と少なくとも千年以上愛し合っているとされている。魔物娘図鑑SS投稿所では十一番目以降の姉妹のキャラクターが複数生み出されている。