解説
九州発祥のファミリーレストランの代表格チェーン。
元々は米軍基地内の売店。福岡空港の国内線ができたことを契機に機内食製造と空港の食堂を運営するようになる。
ファミレス事業の源流は1959年、天神で始めたレストラン。この頃からセントラルキッチンやフランチャイズ方式を取り入れていたが、大阪万博をきっかけとしてファミレス事業を開始した。ロイヤルホストとしての1号店は北九州市にあった(後述の通り現存しない)。
すかいらーく(ガスト)、デニーズなどの同業他社に対し、「多少高くて出すのが遅くても、本物志向を」という方針で差別化を図っている。
ちなみに「本業」の機内食事業は現在でも継続しているほか、ロイヤルホストより前に同じ創業者が立ち上げたフランス料理店「花の木」も継続中。いずれもロイヤルホストの属しているロイヤルホールディングス傘下である。
歴史
機内食のノウハウも用いて、大阪万博の会場に出店した飲食店が好評を得たことにより、この事業を応用した「街のレストラン」としてファミレスの事業に進出したと言われている。
世界各国の料理を気軽に味わえる街のレストランとして成長し、さらにすかいらーくやデニーズなどの同業者も誕生したことにより「新世代の飲食店事業」としてファミレスを確立したが……
暗黒期
バブル崩壊後、ロイヤルホストに暗黒期が訪れる。
きっかけはすかいらーくが低迷を打開するために新業態のガストの展開したことに始まる。
ガストは価格の安さで客を他社からごっそりかっさらっていった。もちろんロイホもファミレス業界の老舗として黙っている訳にはいかない(それにすかいらーくと同じくバブル崩壊による低迷の打破という意味もあり)とばかりに自身も低価格志向に走ってしまった……
だがこれが裏目に出た
そもそもロイホと違い、ガストは最初っから低価格の格安路線を前提としたチェーン※だったのだ。
他社と違い安くても利益が出る、というより格安でも利益を出せるように「設計」された業態だったのだ。
こんな奴にバカ真面目に価格勝負で殴り合いを挑んでも、どうあがいても「安さ」、さらには「コスパ」でも勝てるわけがない。相手は最初から安売り前提なのだから。
さらに低価格化によるしわ寄せでメニューの質が以前と比べて下がり、結果として評判も下がってしまうという結果になる。評判が売上に大きく関わるといっていい、サービス業に取っては致命的だ。
何より、慣れない低価格路線のために利益もあまり出ない。
…その結果、売上の低下が続き毎年のように赤字を計上するハメになってしまった。
※元々ガストは低価格路線ではなく高級志向の実験店であったが、バブル崩壊を受けて低価格路線に方針が変更された。
原点回帰
これではいかん、とばかりについに経営改革に打って出る。
経営改革のメイン、それは原点回帰。つまり「無理に安さで勝負するよりも、以前のように多少高くても本物志向で良い物を出そうじゃないか」という方針に戻るということだ。
この経営改革(と、不採算店の整理)により、経営状態の回復に成功した。もちろん「万円赤字」なんてマヌケな真似はもうしない。
最初から安売り前提の相手に安さで殴り合いを挑んでも勝てるわけがない、そんなことをするよりも自分の得意とするやり方で行くほうがずっといいってことである。
現況
2008年頃からは新規出店を暫く凍結し、不採算店を大量に閉店させていたため、店舗数は減少傾向にある。また、閉店させた店舗はステーキメインの新業態「カウボーイ家族」に転換されていることも少なくなかった。
2013年以降は新規出店を再開し、2015年には今まで縁のなかった沖縄県にも進出した。
2019年からは「カウボーイ家族」の大量閉店が相次ぎ、コロナ禍が更に追い打ちをかけ(ロイヤルホスト店舗の閉店も多かった)、2022年6月30日にブランドが消滅。最後に残った店は、2012年に業態転換されたロイヤルホスト1号店であり、同店舗も通算51年の営業に幕を閉じる事に(同店舗の建物はそのまま残され、ブロンコビリーが出店している)。
外部リンク
JR東日本のあの副業との関係
JR東日本の副業の一つに、駅構内に入居しているハンバーガー店「ベッカーズ」というものがある。
これは元はロイヤルホストのファストフード事業部である。(その後キリンHD→JR東日本と経営が移管され、今に至る)
関連タグ
マリリン・モンロー:此処のオニオングラタンスープをお気に召されたことから店がブレイク。「花の木」に夫婦で来たこともあるのだそう。
WORKING!! - アニメ版に協力をしている。
ワグナリア - ロイヤルホストが元ネタとされている。