概要
てんとう虫コミックス39巻及び、藤子・F・不二雄大全集13巻に収録
小さな樽にサバイバル生活の必需品が詰まっている。樽自体にはボタンが付いており、ボタンを押すと霧が流れ、その霧の中を進むと、たとえどこにいる状況であろうと本物の無人島に辿り着く。もう一度ボタンを押すと霧が晴れ、元の場所に戻ることができる。またセットの内容は以下の通り。
マイハウスガス
このガスを木に噴きつけると、幹がキビがらのように軽く柔らかくなるので、人力で折ったり持ち運ぶなどして簡単に小屋を作り上げることができる。家を完成後は木は元通りの頑丈さに戻るようである。
ちなみに2007年版では「発泡スチロールみたいに」との表現になり、2017年版ではこれに当たる部分は言及されていない。
キモノン液
植物にこの液を注射すると、葉が衣服を象るので、衣服として使用できる。
食べ物さがしめがね
この眼鏡をかけると食べ物しか見えなくなるので、野生の植物などを食料として採取する際、食用に適する物のみをより分けることができる。
魚型かまぼこのもと
瓶の中に小さな魚型のかまぼこが入っており、これを海にばら撒くと海中で膨張し、本物の魚そっくりになる。骨はないため食べやすい。
脅かしラッパ銃
2017年版に登場したオリジナル道具。これを鳴らすと猛獣は驚いて逃げる。
ストーリー
空地でしずかとバトミントンをしていたのび太だったが、羽を落としたり高く飛ばし過ぎてばかりで、そこにやって来たジャイアンとスネ夫はこれをバカにし、ジャイアンが代わってしずかとバトミントンをし、スネ夫は彼のプレーを褒めまくっていた。自分がしずかと遊んでいるといつも誰かが邪魔してくると思い、彼女と二人っきりで思いっきり遊びたいとドラえもんに相談。
そして無人島へども行きたいとつぶやくと、「またまたとっぴなことを」と言われたものの、「ロビンソンクルーソーセット」を出してくれた。これの説明を聞いたのび太は無人島に怯えるしずかの隣で自分が頼もしく振舞う姿を想像しニヤニヤしていたが、ドラえもんは危ないからと急に道具をしまい始め、風呂場で溺れかけたほどだからと言うことだったが、気を付けるからと何とか貸してもらうことができた。
その後しずかと公園のボートに乗ると、どうして突然ボートに誘ったのかなどを聞かれたものの、のび太はこっそりとセットのスイッチを押し、これの中から霧が発生。これにしずかは怯え早く岸に戻るよう言ったが、同じ場所をぐるぐる回っているだけだったので自分が漕ぐ役を交代。そして霧が晴れるとそこは海上だったため、しずかはどうしてこんなところへ連れてきたのか泣き出したが、のび太は「ボートを漕いだのは君だよ」と返し、そんな中遠くに陸を発見した。
上陸してみるとそこは本物の無人島で、泣いてばかりいるしずかにのび太は「安心しなさい、僕がついてる」と言って慰めたが、「だから心配なのよ」と言われてしまった。それでものび太はまずい家を作ることにし、救いの手が何年かかるか分からないからと思ったが、その時ふと我に返りドラえもんの言葉を思い出して一時不安になるも、せっかくしずかと2人っきりになれたんだからとやりきることを決心。
そして「マイハウスガス」を取り出し木に吹きかけ、見事なログハウスを完成させた。このできにはしずかだけでなくのび太自身も信じられなかったが、しずかは風が吹いたら潰れそうだからと入ろうとしなかった。一応のび太も触ったり蹴ったりしてみたが全く問題はなく、「僕って信用ないんだな」と思っていると、その時雨が降り出ししずかはびしょ濡れになってしまった。
そこでのび太は「キモノン液」を葉に注射して服に変え、これに着替えたしずかと食べ物を探しに行き、「食べ物さがしめがね」を使って食用の果物などを判別。そしてしずかがこれらを採取している間、海に「魚型かまぼこのもと」を落とし、夕食にはこれを食べることになった。この最中しずかから「いざとなるととっても頼りになるのね」と言われ、2人きりの時間を堪能した後、のび太は再びスイッチを押して周りを元通りにした。
本当にこのまま帰れるかや、最後に思いがけない災難があるのではと不安になっていてが、無事元の公園に帰ることができのび太は大喜びだった。そしてドラえもんは自分をバカにしていたけど、ちゃんと失敗ぜずにやりきったと自信をつけていたが、その後管理人からボートの超過料金、5時間分の3500円を言われ、ママは怒りながらこれを払うことになった。
アニメにおける原作との主な相違点
大山版は1983年8月12日に、水田版は2007年1月26日及び、2017年8月18日にそれぞれ放送している。
1983年版
- 冒頭のび太はしずかとボートに乗っていたが、うまく漕げなかっのでジャイアンが強引に代わりボートを進ませた。
- のび太は帰宅中に言っていたこともまとめてドラえもんに話ていて、最初に無人島に行きたいことを切り出した。またドラえもんはこの道具の名前の由来についても説明していて、全身が黒い毛で覆われた人が釣り糸を垂らしているイメージも映し出された。ちなみにのび太がしたイメージでは2人ともそれっぽい服装になっていて、ドラえもんが貸すのを止めようとする一連の下りは省略されている。
- のび太が道具のスイッチを押す前にジャイアンとスネ夫も近くの島まで来ていた。
- しずかが、どうしてこんなとこへ連れて来たのか聞いた際ののび太の返事はカットされていて、その後「だから心配」と言われた際はずっこけている。
- しずかが雨に濡れていた一方、ジャイアンとスネ夫もアメの被害にあっていた。ちなみにしずかは葉っぱの服を着た際、頭に花も付けていた。
- のび太達が夕食を食べている間にジャイアンとスネ夫は小屋に忍び込み道具を持ち出し、ボートで逃げてしまったため、のび太としずかは絶望して泣き始めてしまったが、のび太がこれを投げ捨てた際にスイッチが押され周りが元に戻ったためドラえもんが迎えに来てくれ、3人でタケコプターで帰宅する場面で終了している。だがその一方でジャイアン達は帰れずに困り果て泣き叫んでいた。
2007年版
- サブタイトルには「しずかちゃんと無人島生活!」の煽り文句が追加されている。
- のび太はジャイアンにラケットを渡すのを嫌がったが、スネ夫が腕をジャイアンの方に向けさせた。
- ドラえもんがこのセットを出した際、のび太は「それって食べられるの?」と聞いていて、ドラえもんは呆れてロビンソンクルーソーについて説明した。またこれに対してのび太が「ふうん」だけだったので、「もっと感激してよね」と言っている。ちなみにのび太から逃げまわった際、ドラえもんは四足歩行になっている。
- のび太からボートを漕いだのが自分だと言われた際、しずかは「あっそうか」とつぶやいていた。
- ログハウスが頑丈になったのは「固定ガス」をかけたためだった。
- のび太は着替え中のしずかを覗いてしまい「見ないで」と言われていて、しずかが葉っぱの服を試着した際は、のび太はいやらしい目つきになり、鼻の下を伸ばしていた。
- 夕日を見つめた際、のび太はしずかの肩に手を回そうとしたが直前で止めている。また「帰れるかもしれない」というのび太の発言に、しずかは「今ののび太さんなら信じられるわ」と言っている。
- 無事に帰還できた時、しずかは服を忘れて来たことに気付いたが、無事に帰ってこられたので気にしないことにした。
- ラストではボートの超過料金を支払ったことで、のび太は来月の小遣いをなしにされてしまった。
2017年版
- 原作の扉絵をオマージュしたサブタイトル画面では、ドラえもんは画面左端に浮かんでいた。
- ジャイアンとしずかのバトミントンを見て、スネ夫は「さっきとはまるで違うスポーツみたい」と言っている。
- 1983年版と同じく、のび太は帰宅中に言っていたこともまとめてドラえもんに話して、これにドラえもんは「皆で遊べばいいじゃないか」と言っていた。また2007年版と同じくドラえもんはロビンソンクルーソーについても説明していて、のび太はドラえもんをくすぐりまくってセットを持って行った。
- 「ボートを漕いだのは君だろ」と言われた際、しずかは「のび太さんが漕げないからでしょ!」と返していて、のび太も「そりゃそうだけど」とつぶやいている。
- のび太はログハウスを建てる際には、カンナや指揮棒のような道具も使っていた。
- のび太は大きな葉っぱを傘代わりにして外に出ていて、2007年版と同じく着替え中のしずかを覗き見してしまっていて、靴を投げられている。
- のび太は魚型のかまぼこを採取した際には、「何が上手くいかないだよ。今日は絶好調だぞ!」と豪語していて、これは1987年版と同じく夕食として食べている。ちなみにこの時のび太も葉っぱのズボンを着用していた。またこの時2人がオオカミの群れに襲われそうになる下りが追加され、のび太は「脅かしラッパ銃」で追い払おうとしたが、飛んできた火の粉が手に当たり地面に落としてしまい、オオカミに襲われかけたが、地面に手を付いた際に偶然ラッパが押され追い払うことができた。
- 星空を眺めた際しずかは、「もしこのまま帰れなくても2人で一緒に頑張っていきましょ」と寄り添われながら言われ、よだれを垂らしていた。ちなみに帰る際はしずかがボートを漕いでいて、しずかはいつもの服に着替えていた。
- ラストでのび太は怒ったママに追いかけられ、ドラえもんは窓から顔を出しながら「ほーら、ろくな目にあわない」と呆れていた。