概要
上州(群馬県利根郡水上町)に伝わる民話で語られる、夜になると山小屋を揺すり大きな声で鳴く正体不明の化け物で、ワウーやワァウーおばけとも呼ばれる。
武尊山(ほたかやま)の麓にある刈俣へ狩りに行った鉄砲撃ちが、その日は村に帰らず小さな山小屋へ泊まったところ、何者かが夜になると「ワァウー、ワァウー」と鳴いて小屋をグラグラと揺すったために、恐怖のあまり一睡もできなかった。
肝を冷やした鉄砲撃ちは次の日逃げ帰ってきて、村人達に「ワァウーのお化けが出た」ことを触れ回ったのである。
しかし数日後、曲物作り(木材加工)を生業とする村人達が材料を得るために仕方なく山小屋に泊まったところ、夜のなると「ワァウー、ワァウー」と鳴く声が近づいてきて、身体が痺れ上がるほどの大声となった。
あまりの恐ろしさに村人達は3,4日間も外に出られずに怯えていたが、いよいよ化け物は「ワァウー、ワァウー」と小屋が潰れるほどの勢いで揺すってきたのだ。
村人達は震えながら「遠くのくわばら、遠くのくわばら」と唱え、夜明けまでなんとか持ちこたえた山小屋からついに逃げ帰った。
そのためこの山小屋があるあたりは、「ワァウー沢」と呼ばれるようになり恐れられた。