一級魔法使い試験編
いっきゅうまほうつかいしけんへん
名称は『葬送のフリーレン』の公式『X(旧ツイッター)』のポスターより。
漫画では、第37話から第60話までの内容にあたる(単行本では、第4巻から第7巻にかけて収録)。それ以前に連続した話が描かれた断頭台のアウラ編を超える長編エピソードとなる。テレビアニメでは、2024年冬期の第2クールのほぼ全て(第18話~第28話)を使って最後まで描かれた。
このエピソードにおいては、大量の新キャラクターが登場するのが特徴。新キャラクターの中には後のエピソードにも再び登場する重要キャラクターも含まれている(デンケン、ゼーリエなど)。
一級魔法使い試験が開催される魔法都市オイサーストに着いたフリーレン、フェルン、シュタルク一行。大魔法使いのゼーリエが創設した大陸魔法協会の北部支部を訪れ、一級魔法使いになるため試験を受験したフリーレンとフェルンの二人は、他の受験者達と協力し、時には敵対もしながら、一次試験、二次試験、三次試験へと臨む。
主な受験者一覧
名前 | 階級 | 一次試験の所属パーティー | 備考 |
---|---|---|---|
メトーデ | 不明 | 第1パーティー | 多彩な魔法を扱う |
レンゲ | 不明 | 第1パーティー | |
トーン | 不明 | 第1パーティー | |
フリーレン | 無し | 第2パーティー | 主人公 |
ラヴィーネ | 三級魔法使い | 第2パーティー | カンネの幼馴染 |
カンネ | 三級魔法使い | 第2パーティー | ラヴィーネの幼馴染 |
フェルン | 三級魔法使い | 第4パーティー | フリーレンの弟子 |
ユーベル | 三級魔法使い | 第4パーティー | 過去の試験で試験官を殺害 |
ラント | 二級魔法使い | 第4パーティー | |
ヴィアベル | 二級魔法使い | 第8パーティー | 北部魔法隊隊長 |
エーレ | 二級魔法使い | 第8パーティー | 魔法学校の首席 |
シャルフ | 三級魔法使い | 第8パーティー | |
デンケン | 二級魔法使い | 第13パーティー | 宮廷魔法使い |
リヒター | 二級魔法使い | 第13パーティー | オイサーストで魔道具店を経営 |
ラオフェン | 三級魔法使い | 第13パーティー | |
エーデル | 二級魔法使い | 第17パーティー | 精神魔法の専門家 |
ドゥンスト | 不明 | 第17パーティー | |
ブライ | 不明 | 第17パーティー |
大陸魔法協会
聖都シュトラール及び魔法都市オイサーストで開催される試験。開催期間は3年に一度。受験資格は五級以上の魔法使いの資格があればよく、二級未満からの飛び級も認められる。他に、聖杖の証の所持者など腕前が認められた場合、特別に受験を許可される事もある。
試験は一次、二次、三次まであり、全て合格した者は一級魔法使いとして認められ、難所である北部高原への(同行者含めた)立ち入りが許可される。また、大魔法使いのゼーリエより一つだけ望みの魔法を授けられる特権が与えられる。
試験官を務める一級魔法使い達の協議によって開催毎に試験内容は変わり、試験次第では合格者が0という事もある上、試験内容によっては試験中に死者が出る事も珍しくないが、大陸魔法協会としては「この程度で死ぬなら一級魔法使いにはいらない・有望ならこの程度では死なない」というスタンスを採っている。
ただ一次試験の試験官を務めたゲナウは、さも当然のように上記のスタンスを述べたが、二次試験の試験官だったゼンゼのように、意味もなく闇雲に死者が出る事を良しとしない者もいる(これは、大陸魔法協会の長であるゼーリエも然りである)。
下記は作中にて描写された、勇者ヒンメルの死から29年後に魔法都市オイサーストで開催された一級試験の内容。一級魔法使いには我の強い者が多いという事から、パーティプレイが出来る"最低限の協調性"はあるかも図る目的で、一次・二次は協力型の試験となった。
一次試験
受験者は総勢57名で、三人一組のパーティーに分かれて受けるパーティー戦。試験官はゲナウ。
北側諸国グローブ盆地の広い区域に、ゼーリエによって雨などの水はおろか塵1つ通さない強力な結界が張られ、その内部にて行われる。
区域内に生息している隕鉄鳥(シュティレ)という小鳥を捕獲し、「翌日の日没までに各パーティーに配布された籠にシュティレを入れ所持していること」「その時点でメンバー全員が揃っていること」の二つの条件を満たした場合のみ合格となる。
シュティレは極めて頑丈な上、最大飛行速度は音速を超え、並の拘束魔法や攻撃魔法も効かない。おまけに魔力にも敏感なため魔力を抑えただけでは20m程に近づいた時点で察知し、更に近づけば逃げてしまう。その上魔力をほとんど持っていないので魔力探知で居場所がわからず、更に魔力が込められた物(水場など)にも寄っていかないため、捕らえるにはそれらを覆す拘束魔法や魔力を消すほど抑える技術の他、運も必要になる。
また区域内には大型の肉食の魔物である屍誘鳥(ガイゼル)も多数いるため、実力不足で魔力探知が甘く接近に気づかない場合餌食になる。試験中は基本的に区域内での行動は自由とされているため、シュティレを捕まえたパーティーに戦闘を仕掛け奪う事も認められている。その上パーティーの誰かが欠けてしまっても失格になるため、争奪戦に見せかけた対人戦となっている。
組み分けは試験開始前に、ゲナウ配布の「魔力を込める事で仲間の位置が判る腕輪」に書かれた数字によって分けられた。しかし第2パーティーに幼馴染で高い連携を持つラヴィーネとカンネが一緒に入っていたり、第8パーティーや第17パーティーはメンバーがそれぞれ知り合いだったりするなど、人選は適当で公正に組み分けされていたとは言い難い。
最終的に第1、第2、第4、第8、第13、第17の全6パーティー、18名が合格。残りの全13パーティー、39名は失格(作中確認出来る限りではその内死者が4名)となった。合格を勝ち取った全6パーティーの経緯は下記を参照。
- 第1パーティー・・・シュティレを手に入れ合格。他のパーティーを倒して奪い取ったかのようにも見える描写があるが、詳細は不明。
- 第2パーティー・・・フリーレンの魔法でシュティレを捕獲。後にデンケンの第13パーティーにシュティレを奪われてしまうが、戦闘の末に奪い返し、合格。
- 第4パーティー・・・シュティレの巣を偶然見つけた事でフェルンの魔法により捕獲。後にヴィアベルの第8パーティーにシュティレを狙われるも返り討ちにし、最後まで守り切って合格。
- 第8パーティー・・・フェルンの第4パーティーからシュティレを奪おうとするも失敗。後に偶然発見した他のシュティレをヴィアベルの魔法で捕まえて合格。
- 第13パーティー・・・フリーレンの第2パーティーからシュティレを奪おうとするも失敗。後に他の脱落パーティーから殴り合いの末、シュティレを奪い合格。
- 第17パーティー・・・シュティレを捕獲し合格(魔法で誘き寄せたのかどうかは不明だが、ドゥンストの尻に止まった所をエーデルが捕獲した模様)。
二次試験
一次試験合格者の6パーティー、18名が受験。目的は北側諸国の迷宮である「零落の王墓」の攻略。試験官はゼンゼ。未踏破の迷宮の最深部にまで辿り着いた者は全員合格となる。最深部に辿り着いた証明として、ゼンゼ自身も受験生に手は貸さないが一緒に迷宮を攻略する。
また、事前に受験者にはレルネンが開発した脱出用ゴーレムが入った瓶が配布され、罠に閉じ込められる・命に関わる負傷などで試験継続が不可能と判断した場合、瓶を割れば不合格にはなるものの、ゴーレムが現れ使用者の身を守りつつ、迷宮の外にまで運び出し、負傷している場合は回復魔法もかけてくれる。翌日の夜明けには自動で瓶は割れるようになっており、これが試験の期限にもなっている。
迷宮はかつての統一王朝期の物で、入り口は複数あるがどれも最深部に通じている。内部各所には致死性の罠が存在し、ミミック、ガーゴイルといった魔物が生息している。一方でちゃんとメダルなど宝が入った宝箱なども複数存在している。
最も厄介なのは迷宮の最深部に潜む「水鏡の悪魔(シュピーゲル)」という、宝物庫の内部にいる魔物(宝石のような外観をしておりそういった盗掘防止の装置かもしれない)。
それ自体には攻撃手段を持たない脆弱な魔物だが、迷宮に入った人物の記憶を読み取り、実力も魔力も技術も模倣した実態を持った完璧な複製体(姿も模倣するが影のようになっていて複製であると一目でわかる。また実際には心が無く心の働きを精密に模倣しているだけのため、精神操作魔法は効かない)を作り出す。
シュピーゲルは迷宮内部に入った者全員の複製体を作り出すため、迷宮に入った者の実力が高いほど厄介となり、さらに時間と共に最深部に集まってくる習性があるため悠長にもしていられない。
そして一度複製体を倒しても、シュピーゲルを倒さない限り複製体はまた復活する。よって受験者にとって持久戦や消耗戦は極めて不利であり、短期決戦が望まれる。
作中ではフリーレンの複製体が宝物庫の守護を担ったうえで「命懸けで宝物庫の扉を閉じる魔法」をかけた点、同行した試験官のゼンゼの複製体も現れたという二点により、非常に厄介な事となった。その攻略には最低でも受験者複数名が協力し合い、複製された者に相性のいい魔法使いが対処する事が必要となる。
最終的に障害となっていたフリーレンの複製体をフリーレンとフェルンの二人が撃破し、シュピーゲル自体も倒された事でついに「零落の王墓」は攻略され、その時点で無事の全12名(メトーデ、フリーレン、カンネ、フェルン、ユーベル、ラント、ヴィアベル、エーレ、シャルフ、デンケン、ラオフェン、ドゥンスト)が合格した。
残りの6名(レンゲ、トーン、ラヴィーネ、リヒター、エーデル、ブライ)は罠に嵌まったり、複製体の攻撃を受けた事で脱出用ゴーレムを使用し、脱落となった。
三次試験
二次試験の合格者12名が受験。本来の試験官はレルネン。
今回参加していたフリーレンに助けられる形で、二次試験での合格者が異例の数となり、従来通りの三次試験では実力不足に端を発した犠牲者が多くなるとの理由で、ゼーリエの鶴の一声により急遽計画を変更。特例としてゼーリエ自身が試験官を務め、彼女と一対一の面接(というより対話)を行い、その場で合否を告げるというスピーディーな内容となった。
判定は完全にゼーリエ個人の好み・私情・直観による独断で決められ、一級魔法使いになった自分のイメージが出来ない者や単に実力不足の者(カンネ、ドゥンスト、ラオフェン、シャルフ、エーレ)は一目で不合格判定をされた。フリーレンも価値観的な理由で不合格を確信しており、案の定1チャンスの質問を得て不合格に終わった。
その一方で思わぬ資質を見せた者や、ゼーリエに臆せず己がエゴを貫き通した者(フェルン、デンケン、ユーベル、ラント、ヴィアベル、メトーデ)は合格となった。
結果、想定以上に合格者が現れ、自ら判定したゼーリエ自身も「今年の受験者はどうなっている」「今年は豊作」とコメントし、最初は「ゼンゼが実力不足の者ばかり多数合格させた」と考えていたものの、試験終了後に自らの見当違いを認め謝罪した。
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葬送のフリーレン。 11巻までの内容です。 デンケンとレルネンが初めて出会うお話。 二人の”名前”が好きで書きました。 ひねくれて真っすぐな若者たち。4,480文字pixiv小説作品