「君は何を思って、どんな人生を歩んできたの?教えてよ。」
解説
CV:長谷川育美
第4巻から登場する三級魔法使い。緑のサイドテールと厚い二重に、中央がくぼんだ陰気そうな目が特徴。
人物
初登場時にエルフのクラフトに会って早々「人殺しの目をしているな」と言われ、実際に襲ってきた山賊を全員惨殺しているらしい。
長命のフリーレンが、自身が過去に敗れた『自分より魔力の低い11人の魔法使い(内6人が人間)』の話をした直後に登場しており、ユーベルもこの魔法使い達に匹敵する実力者であることを匂わせている。
ラントからは「人殺しを何とも思っていない」、ヴィアベルからは「ここで殺しておいたほうがいい」と言われるなど、完全に危険人物扱いされている。
試験で他の魔法使いと本気で戦うことを楽しみにしていたり、(複製体が)脱出のための保険であるゴーレムを真っ先に狙うなど命のやり取りを重視しているかのような価値観を見せる。
あるいは単純に命そのものを心底「どうでもいい」と思っているのか、時には自分自身の命をも損なうような危険な行動も起こす。
ただし、本人からすれば殺しが好きというわけではないらしく、実際に殺すチャンスがあっても殺さなかったことをラントから指摘され、殺すまでの猶予が欲しいというヴィアベルの意見に共感している。
…とはいえ「相手を一歩引かせればいい」という条件の試験で相手を真っ二つにしたり(ユーベルいわく「切りすぎちゃった」らしいが)、襲ってきた山賊を惨殺したりしてるので「好きではないが、結果的に殺してしまったらしょうがない」「殺してもいいと思ったら躊躇なく殺す」という感覚なのかもしれない。
ラントのことは、彼が扱う魔法への興味も含めてか気に入っており「メガネ君」と呼んで、以後行動を共にしている様子が描かれている。
出番
本格登場は一級魔法使い試験で、一次試験でフェルンやラントと組んだ第4パーティーに所属。
この時、2年前の二級試験では試験官の一級魔法使いを殺して失格となったことが語られた。
一級魔法使い試験では最後の三次試験において面接官を務めたゼーリエから即座に合格を言い渡されたが、弟子思いのゼーリエの弟子を殺したからか、彼女からは心底不愉快そうな顔で見られていた。
現在はユーベルも一応一級魔法使いとなったため、ゼーリエの新しい弟子となって大陸魔法協会の魔法使いとしてゼーリエの命令に従っている。
能力
共感
自身が「共感」した相手の魔法をコピーできる。反面、共感できない魔法は使えないとのこと。
これは特殊能力と言うよりユーベルが魔法を感覚で使うことに起因しているらしく、ラントは「その魔法がどんな原理で動いているのかも知らずにそのまま使っちゃうタイプ」と分析している。
「口で説明されてもわからないけど、他の人の真似したらうまくできた」ような感じだろうか。
『大体なんでも切る魔法(レイルザイデン)』
自分が切れると思った物を切る魔法。ユーベルの十八番であり、本人が切れるイメージができれば本当に『大体なんでも』切ってしまう魔法。射程はおよそ5メートル。
「大体なんでも~」といういい加減で凄くなさそうなネーミングと「自分が切れると思ったものは切れるし、切れないものは切れない」という説明から、当初ラントからは「それがどうした?」という顔をされたこともある。
だがその威力は、守りに特化した一級魔法使いのブルグが作り出す鉄壁の防御術式で守られた『不動の外套』を中の人間ごとうっかり切ってしまうほどであり、作中でも屈指の殺傷力を誇る。
大前提としてフリーレン世界では「魔法はイメージの世界」とされ、イメージできないことは実現できない。
ユーベルの場合は幼少期に姉が針仕事で布を鋏で裁断しているのを見続けたことから「布っていうのはさ、切れる物なんだよ。切れて当たり前の物だ。」とのイメージを得ている。
しかしこれは、試験官のゼンゼから「完全にいかれている」と評される行為。
『不動の外套』があらゆる攻撃魔法を受け付けないほど強力なことは「魔法使いであれば馬鹿でもわかる」ことであり、ユーベルも例外ではない。
頭でそれがわかっていながら「布だから切れた(切れて当然)」というイメージをもつことは、「小さな蟻が巨大な竜を踏み潰すイメージができないように」困難なことであるらしく、相当特殊な才能とされている。
「いかれている」という言葉は、常識外れとは別に、布では切れて当たり前のものだが、人ではそうではないこと、ゼンゼの目の前で鋏を突きつけた殺人につながる感覚に一種の恐怖を感じ取ったもう一つの意味もあるのだろう。
試験においては切るイメージを持ちやすい『髪』を使うゼンゼの複製体(戦闘力までもゼンゼ本人と同じ)を上記の理屈(ユーベル曰く「理屈じゃないんだよな」)で瞬殺している。
髪vs刃物はイメージ的には勝ってあたりまえに思えるが、この髪も本来なら強力な魔法が組み込まれた代物であり、それまで大概の実力を見せていた他の受験者の面々がその魔法の髪の前に手も足も出ず一蹴されている。
それをあっさりと切断するイメージができるのはユーベルぐらいなのだろう。
みんな頭を使い過ぎなんだよ。髪は切る物でしょ
この言葉から、ユーベルは理屈よりも感覚、直感的に行動する人物であると分かるが、ゼンゼは「もはや才覚の域に達している」と評した。
強力無比な攻撃に思えるが、ユーベルが切れるイメージができないものは切れないという単純な弱点がある。
一級魔法使いの強力な魔法をスパスパ切断する反面、一般的な防御魔法には簡単に防がれてしまう。
ヴィアベルとの戦いでも防御魔法でほとんどを防がれた上で射程距離を見抜かれ、拘束魔法を受けて事実上敗北しており、本人もヴィアベルやデンケンには実力で劣ると認めている。
この辺り、メトーデの「魔法使い同士の戦いは手数が無数にあり極めて複雑で難解なジャンケン」という言葉を体現したキャラクターと言える。
一方で自身が切れない(切れるイメージができない)防御魔法、それに匹敵するほどの魔法が何重にも掛けられているゼンゼの髪をスパスパと切っていることから、「自身が切れないであろうはずのモノ(この場合防御魔法に匹敵する魔法)でも、掛けられている対象が自身が切れるモノ(この場合髪)であれば(であるとイメージできれば)切れる」という認識の上書きをしている可能性がある。
しかしこれは魔法を掛けられている対象が切れるとイメージできる髪だからできるのであって、切れるとイメージできないものの場合はさすがに認識を上書きできずに切れないという結果になる。この認識の上書きがあらゆる対象(特に防御魔法)にできれば、この魔法は文字通り最強の魔法とも言えそうだが、今のところのユーベルの才ではその域まで達していないと思われる。
ただし、これに関して切れないのはあくまでも防御魔法であって、防御魔法に匹敵する魔法は防御魔法ではないため切れるという可能性もある。
また、漫画(やアニメ)では発動地点である自身から切ろうとした対象に見えない斬撃が飛んでいくというような描写がされているが、その飛んでいく途中にあるものは切れていない。このことから「切ろうと(切れると)思った対象しか切れない」という特性があると思われる。
ただし、発動対象を切れると認識する(視認する)必要があるため、あいだにあるものが切ろうとする対象より小さくないといけない可能性がある。
『見た者を拘束する魔法(ソルガニール)』
ヴィアベルが得意とする拘束魔法。相手の全身を視界におさめることで身動きや魔法を封じる。
ヴィアベルの「殺す覚悟のための猶予が欲しい」という感性に共感したことで習得した。
余談
ドイツ語でユーベル【Übel】は「邪悪」「不快」「吐き気」等、散々な意味を持つようだが、【Jubel】なら「喜び」を意味するらしく、ネガティブなだけの命名では無いのかもしれない。もっともこの2つの単語はドイツ語だと発音が異なり、前者は【yːbəl】、後者は【juː.bl̩】である。
関連イラスト
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ランユベ:ラントとユーベルのカップリング。