概要
まず説明しなければならないのは、これは三菱グループとの資本や系列とは一切関係がない会社の商品である事である。
これは熊本県の松田工業(現:マツダトータルソリューションズ株式会社)が1919年にスリーダイヤのマークと三菱の名を商標登録しているサイダー飲料であった。
戦前は全国区で販売されていただけでなく、日本海軍への売り込みに成功し、さらに朝鮮・台湾・満洲、日中戦争の日本占領地にも販路を拡大していた。
第二次世界大戦敗戦後は販路を縮小し、主に九州エリアでの販売になった。1967年より、弘乳舎というメーカーに製造販売を委託していた。
すなわち、本家三菱グループ・三菱鉛筆・松田工業(弘乳舎)の間でスリーダイヤのマークを使う事ができる権利を保有していた。
三菱とあるので、知らない人が見たら「三菱は飲料も手がけていたのか」と誤解するのも無理はない。
というより、実際に三菱グループの飲料メーカーは確かに存在するのだが、こちらは「三菱」の名を冠していないというのだからややこしい話である。
長年、九州エリアで親しまれた地サイダーであったが、2014年、三菱グループの三菱商事が商標を買収後、残念ながら2017年5月31日を以て生産を終了した。
やはり三菱グループにとっては邪魔だったのだろうか(2016年の熊本地震の後遺症で撤退した、という説もある)。
何かの機会に復刻版が出ることを期待したい。
弘乳舎はサイダー製造から撤退し、現在は乳製品・デザート販売および粉製品輸入業となっている。
また、マツダトータルソリューションズは飲料水から完全に撤退し、不動産賃貸業や占いを業務としている。