解説
世界保健機関(WHO)による定義としては「避妊をしていないのに12ヶ月以上にわたって妊娠に至れない状態」のこと。
原因も様々で、子宮を病気や事故で物理的に摘出せざるを得なかった場合や染色体等の先天性疾患、子宮筋腫などの病気や性行為感染症などの影響によるもの、その他原因が不明なことも多い。
男性の場合は精子自体が無い無精子症、あるいは精子の運動が悪かったり、ホルモン異常や勃起不全なども原因となる。
元々、人間は地球上の動物の中でもその妊娠率はかなり低い部類に入る種である(若く健康で肉体的に適齢期にある男女が最も適切なタイミングで性交を行って妊娠確率は約30~40%程度といわれる)ため、子供をもうけるには継続的に性生活を行っていく必要がある。
しかし、それでも子供ができない場合は不妊の疑いが出てくる。
なお、妊娠自体はするのだが何度もすぐに流産となってしまう場合を不育症と呼び、これは広義的には不妊症の一つとして数えられるが、厳密には異なる。
過去には、不妊は「女性側の原因が大きい」とされ、封建的な社会においては長期間子供が授からない女性は夫やその家族から冷遇され、離縁されてしまうことも多かった。しかし実際には男女共に不妊に繋がるファクターを抱えている。現在では、不妊のうち「男性が原因であるケース」は40%以上であると言われている。だが、男性不妊に関しては女性不妊より知識が周知されていない面もあり、また男性も「種無し」の烙印でプライドを傷つけられることを恐れて検査が後回しになり配偶者と険悪になったり離婚に至るケースも多く、不妊治療が間に合わない年齢になってしまうことが多い。
女性の場合、適齢期を超えた妊娠は肉体への負担もあり、さらに年齢と共に卵子が老化していき、有効卵子枯渇による閉経も存在する。また、男性の場合も女性ほど顕著ではないが、加齢に伴って精子の老化・劣化が起こる。
さらに現在の日本では、経済的理由やライフスタイル(妊娠適齢期にある若い時期には、家族を養う経済力や時間的余裕が無い)による晩婚化が進んでおり、出産時期の高齢化による不妊も増えてきている。
治療も高齢になるほど高額の費用がかかり肉体への負担も大きくなるため、不妊か否かの検査及び不妊治療をするか否かの決断はなるべく早いことが望ましい。
また、不妊治療を打ち切るタイミングでも当事者が心理的に追いつめられがちな事が多いため、夫婦2人で生きる、あるいは養子をとる選択肢も早めに考慮しておくことが望ましい。
別名・表記揺れ
関連タグ
外部リンク
・不妊 … wikipedia
・男性不妊症 … wikipedia