概要
人新世(英:Anthropocene アンドロポセン)は人類が地球の地質や地球環境に大きな影響を与えるようになった地質時代の非公式な呼び名。
1万年前に最後の氷期が終わり、それ以来現代に至るまでの時代を「完新世(かんしんせい)」という(かつては「洪積世」と言った)が、完新世の「次の時代」としてこの呼び名が提唱されている。
学会では今のところ正式な呼び名として認定されていないが、遠い未来の人々、もしくは人類に代わって地球に君臨するであろう何者かの時代には、「人新世を代表する生物 ホモ・サピエンス」と言われるのもしれない。
そう呼ばれる年代
人新世の開始時期は論者により一定していない。最も古いものは「農耕の始まり」(紀元前1万年頃)に起点を置くもので、この場合、人新世は完新世よりも少し早く始まったことになる。
他にもサブアトランティック期と呼ばれる温暖期(日本では縄文海進と言われる)が終わった紀元前1000年ごろを出発点とする議論、ヨーロッパ人によるアメリカ大陸の植民地化が始まった1492年で区切る議論、18世紀の産業革命の開始をスタート時期にする議論などがある。
今のところ最も有力な提案は、世界初の核実験(そして広島・長崎での核の実戦使用)が行われた1945年を出発点とするものである。
これ以降、核実験や原子力事故により大量の放射性物質が世界にバラまかれたため、地質のマーカーとして使いやすいのである。またこれは化学肥料や農薬など人工合成された化学物質が大量に使われ始めた時期とも一致する。