概要
この2人が対面するまでに、「スーツを着た者を殺せ」と指示を受けていた春太は伊地知潔高を含む渋谷を観測していた補助監督数名に死傷を含む重傷を負わせており、それらを発見した七海は仲間に手を出されたことで「ナメやがって」と零すほどの怒りを蓄えていた。
そして釘崎野薔薇と新田明を嬲っていた春太を発見した七海の表情は、普段は無表情で冷静沈着の彼からは想像も出来ないほど不機嫌な、眉間に皺が寄り口を曲げた、明らかに苛立ちと怒りの籠ったものであった。
春太に近づくや七海は静かに尋ねる。
「仲間の数と配置は?」
それに対し「知らない」と戯けながら春太は七海を蹴飛ばすが、1級術師屈指のタフネスを持つ七海相手では石壁を蹴ったような無意味な攻撃でしかなく、怪訝なオーラを醸しながらも七海は冷静に尋ねる。
「仲間の数と配置は?」
もう一度春太は「知らない」と答えようとするも、言い切る前に十劃呪法を帯びたパンチでものの十数m吹っ飛ばされてしまう。
自身の術式で一命を取り留めたものの、流石に勝てないことを察して逃げようとするも髪を掴まれてしまい、再び七海は落ち着いた様子で尋ねる。
「仲間の数と配置は?」
春太は偽夏油達からは指示内容しか聞いてなかった様子で、先程までの余裕綽々の態度はどこへやら「だから知らない」と逆ギレ気味に答えようとするも、今度は腹パンを喰らい大量に吐血する羽目に。
愛用の刀を操作した不意打ちも釘崎によって妨害されてしまい、万事休すの春太は七海に首根っこを掴まれ、「これ以上訊いても無駄だ」と判断したのか七海は質問を変える。
「ここに来るまで、何人もの補助監督が殺されていました」
「アナタですね?」
と、眉間に皺を寄せ、呪布を巻いた腕に青筋を立てた七海は怒りを込めて尋ねる。それに対し恐怖を痛感し、乾いた笑いを上げ涙を浮かべながら春太は答えた。
「ご ごめんなさ」
結果、泣いて許されるはずもなく、七海の十劃呪法と怒りが込められた鉄拳により春太は渋谷東急のガラス扉をぶち破りながら吹っ飛ばされ、その先の鉄筋コンクリート造りの壁を陥没させめり込むのであった(尤も、自身の術式で死なずに気絶するに留まっている)。
この台詞には七海の冷静さを保ちながらも、それでも仲間を失う理不尽に対する怒りが込められており、それを何度も尋問の如く繰り返し発せられたことで、春太のお手本のような三下悪役のやられっぷりも相まって非常に印象に残りやすい台詞となっている。
アニメでは
36話、「鈍刀」にて映像化。
全体的に七海の怒りが原作よりもマシマシになっており、ネクタイを手に巻きながら春太の方へ歩いてゆく。春太発見時の七海の不機嫌な表情は原作通りなものの、1回目の「仲間の数と配置は?」の時点で明らかに原作よりも表情が怒りを帯びており、
- 2回目:あくまで冷静に尋ねる原作と違って口元で表情が見切れているものの、口の動きと声色が明らかに怒りが籠ったものとなっており、この時点で拳に青筋が立ち始めている。
- 3回目:まだまだ冷静な表情を保っていた原作に対し、表情も青筋が立つどころか完全な怒り顔と化しており、それも相まって声色の怒りも凄まじいことに(また、春太の頭頂部の代わりに彼のトレードマークであるサイドテールが掴まれている)。
最後に春太が吹っ飛ばされる直前の七海の表情にも青筋が立ちまくり、MAPPAの迫力ある作画とスーツの下から浮き出た筋肉も相まって原作以上に怒りが込められたものとなっており、それに対して春太の謝罪シーンは怖気付いた表情の原作に対し、あまりの恐怖に涙と凍りついた笑みを浮かべた表情をしている。原作では描かれなかった迫力ある吹っ飛ばされるシーンも相まって、仲間思いな七海の本気の怒りを感じさせるシーンとなっている。
余談
春太の担当声優である羽多野渉氏に七海の担当声優である津田健次郎氏とのこのシーンでの掛け合いを尋ねたところ、羽多野氏曰く「怖かったです」とのこと。
「すごい怖い目に合わされたことしか覚えていない」、「津田さんのリクエストで行われたリテイクの演技がめっちゃ怖かった」とも答えており、羽多野氏にとっても凄まじく印象に残った場面となった模様。これが1級術師担当声優の実力か…。