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伊豆急行100系

いずきゅうこうひゃっけい

かつて伊豆急行が1961年の開業当初から所有していた電車。派生形式である1000系についても本項で扱う。
目次 [非表示]

概要編集

1961年12月10日の伊豆急行線開通時に導入された電車。1972年までに計53両が製造され、その中には私鉄の車両としては珍しい食堂車も含まれていた。

2002年4月27日に一旦営業運転を終えたが、車庫での入換用に残されていた1両が2011年に現役復帰を果たし、2019年まで運行されていた。


当初は東急電鉄の中古車を導入する事も検討されたが、観光路線ということで新造車である100系が開発・投入されることになったという経緯がある。


構造編集

車体は国鉄線への乗り入れを考慮した20m級正面貫通式鋼製車体で、全区間のおよそ1/3がトンネルという伊豆急行の事情を反映してA-A基準の不燃化対策がとられている。


台車はプレスした鋼板を溶接で組み立てたコイルばね式だが、親会社でかつ製造メーカーが同じ東急5000系の台車設計が下敷きとされており、一体側枠の軸ばね構造とコイルばねの横剛性で復元力を確保する枕ばね構造を持つ。駆動装置は国鉄と同じく中空軸平行カルダン駆動を採用。

制御系は電動車1両で完結する1M方式を採用。電動車に搭載された補助電源装置は連結した付随車にも給電可能な容量を持つ。

ブレーキは発電・空気ブレーキ併用電磁自動空気ブレーキで、国鉄の旧型電車との併結が可能。なお改造によって新性能電車との併結も可能としていた。



形式一覧編集

【HD伊豆急01】伊豆とともに生きた電車【100系】

↑上からクモハ100形、クモハ110形低運転台、クモハ110形高運転台、クモハ110形改造車、サシ190形、サロ180形、サハ180形


クモハ100形編集

開業時に導入された両運転台を持つ電動制御車。熱海方にパンタグラフを装備。4両が在籍した。

単行で使用されることは基本的になく、増結車や他の電動車の代わりとして使用されたり、貨車の牽引等に使用された。

103は入れ替え車両として残り、後に保存車となった。(後述)

車番製造年運転台冷房化その他
1011961年低運転台廃車後東急車輛へ
1021961年低運転台
1031961年低運転台保存車(現存)
1041961年低運転台

伊豆急行100系


クモハ110形編集

片運転台の電動制御車で、新製車18両と改造車3両が在籍した。

車番製造年運転台向き冷房化その他
1111961年低運転台熱海方
1121961年低運転台熱海方
1131961年低運転台下田方
1141961年低運転台下田方
1151961年低運転台下田方
1161961年低運転台下田方
1171961年低運転台下田方
1181961年低運転台下田方1000系に改造
1191961年低運転台下田方
1201961年低運転台下田方1000系に改造
1211962年低運転台下田方イズノスケラッピング
1221963年低運転台下田方イズノスケラッピング
1231963年低運転台下田方河津桜ラッピング
1241964年高運転台下田方河津桜ラッピング
1251964年高運転台下田方
1261964年高運転台熱海方方転・イズノスケラッピング
1271964年高運転台熱海方方転
1281968年高運転台熱海方方転・イズノスケラッピング
1291982年先頭化改造車下田方元モハ145
1301982年先頭化改造車下田方元モハ146
1311982年先頭化改造車下田方元モハ147

伊豆急行100系(高運転台)

↑高運転台車両


モハ140形編集

パンタグラフを持つ中間電動車。1967年~1968年に7両が製造された。

モハ145~147の3両はクモハ110形に改造。

残る4両は全車非冷房のまま1993年までに廃車された。


クハ150形編集

片運転台の制御車。熱海方を向いていた。新製車10両と改造車1両が在籍した。

クハ155は、70年まで車体はそのまま半室グリーン車とされ、サロハ183とペアを組んでいた。

車番製造年運転台冷房その他
1511961年低運転台事故復旧時に高運転台化
1521961年低運転台事故復旧時に高運転台化
1531961年低運転台
1541961年低運転台
1551961年低運転台1963~70年までクロハ155として運用
1561961年低運転台
1571961年低運転台河津桜ラッピング
1581962年低運転台
1591962年低運転台
1601972年高運転台スカート装着車
1611982年先頭車化改造元サハ176

サハ170形編集

モーターを持たない中間車(付随車)。新製車4両と改造車3両が在籍し、1両は先頭車化改造された。

車番製造乗務員室トイレ冷房その他
1711964年◯(熱海方)1986年に設置
1721968年◯(熱海方)1992年に設置
1731970年◯(下田方)元サロハ181
1741970年◯(下田方)元サロハ182
1751972年◯(熱海方)
1761972年◯(熱海方)クハ161へ改造
1771973年元サロハ183

サロハ180形→サハ170形編集

1961年~1962年に3両が製造された。

当初は普通車として製造する予定が、急遽半室グリーン席に変更。トイレと乗務員室を持つ。

サロハ183は追加製造車で、方向転換しクロハ155とペアを組んでいた。

全車サハ170形に改造。外観の変化は無し。


サロ180形→サハ180形編集

1963年~1970年に6両が製造された。窓が普通車と異なる。

サロハと車番が被らないように、サロ184~187が最初に製造され、サロハが消滅後にサロ181、182が追加製造された。サロ183は欠番。

サロ184~187は1970~72年に冷房化。

1986年にサハへ格下げられた。(回転クロスシートの向きの固定化以外はそのまま。)

車番製造冷房その他
1841963年改造サロ1801に改造
1851963年改造
1861964年改造
1871968年改造
1811970年リクライニングシート
1821970年リクライニングシート

サシ190形→サハ190形編集

1963年に1両がサントリーの寄付金で製造された食堂車。通称スコールカー。

JR伊東線内は営業が出来ず、1969年に休車。1974年にサハ190形に改造(車体の交換)。

サロ180形と同じ窓になり、1000系の基礎となった。


1000系編集

【HD伊豆急01-1】あれ、どこか違うぞ?【1000系】

↑上からサハ190形、クモハ1000形、サロ1801、サハ1801

1979年と1983年に2編成が100系から改造された。

165系に近い先頭形状と、サハ190形と同等の側面を持つ。

クモハ1000形とクハ1500形による2両1編成で、100系と違いこの2両は常にペアを組んでいた。100系の中間車に組み込まれることもあった。

1987年には、サハ184を改造したサロ1801が登場。ドアを中央部に設置した半室構造で、熱海方が禁煙席、下田方が喫煙席。ロイヤルボックスという特別車だったが、1999年に普通車に格下げられた。100系の中間車として使用された。


運用編集

伊豆急行線開通時に用意された22両のうち4両は宣伝を兼ねて東急東横線で試運転が行われた。このため大東急解体後に初めて東急線を走った20m級車両でもある。

一方伊豆急行線でも試運転が行われ、1961年11月16日には伊東-伊豆急下田間全線で試運転が行われ、開通の日を迎えた。


開通後、伊豆急線の利用者は想定を遥かに上回るペースで増加し、1962年から幾度も増備が繰り返され53両の所帯へと成長。編成両数も伸びて行き、最長5両だった編成は1973年には10両編成にまで伸びた。しかし1974年のオイルショックで利用者が減少し、編成は短縮傾向となった。


編成例編集

  • デビュー当時

クモハ110形+クハ150形+クモハ100形

  • 1970年頃

クモハ110形+サハ170形+モハ140形+クハ150形+クモハ110形+クハ150形

  • 2000年頃

イズノスケ

クモハ110形+サハ180形+クモハ1000形-クハ1500形+クモハ100形+サハ180形+クモハ110形

河津桜

クモハ123+クモハ124+クハ157

  • ラストラン

さよなら100系10両編成号

クモハ121+サハ182+|クモハ103|+|クモハ129+サハ1801+クモハ126|+|クモハ131+サハ172+|クモハ1102-クハ1502|

伊豆急行Thanks day号

クモハ129+サハ1801+クモハ126|+|クモハ131+ サハ172+クモハ1102-クハ1502|


廃車編集

1979年より、1000系及びリゾート21への改造(機器流用)のため廃車が発生。1993年にモハ140形が形式消滅。

その後老朽化のため2001年頃より200系に置き換えられる形で急速に廃車が進み、2002年3月28日に運行された「さよなら100系 10両編成号」を以て営業運転を終了した。

クモハ103号車が入れ替え用として伊豆高原車両区に残った他、クモハ101号が東急車輛に譲渡された。


保存車編集

クモハ101編集

東急車輛に保存されたが、2011年に解体された。

部品はクモハ103の修理・予備に使われた他、伊豆高原駅にあるミュージアムに展示。


クモハ103編集

伊豆高原駅の車両基地で入換作業に使用されていたが、伊豆急行開業50周年に合わせて本線復活運転を行うことが発表され、2011年11月より復活営業運転を開始し、団体臨時列車や貸切などに使用された。

2019年7月7日に老朽化等を理由に再び引退。2022年3月31日に廃車。

現在は伊豆高原駅北側の本線と繋がっていない線路に留置されている。



関連イラスト編集

短時間挑戦 2737伊豆の夏



関連タグ編集

伊豆急行 100系 1000系

200系(元JR113系115系):後継車両。2008年まで運用

2100系:観光用車両。一部車両は100系の部品を流用。

8000系3000系:現在の伊豆急行の一般車両。

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